派遣のクーリング期間って何? 抵触日との関係性と注意点

「派遣のクーリング期間っていう言葉は聞いたことはあるけど、具体的にどんな事なのか分からない…」

とお悩みではありませんか?

派遣会社に約6年勤務した「#就職しよう」編集部の中塚が、派遣のクーリング期間について解説します。

この記事で派遣のクーリング期間とはどのようなものなのか、より詳しく知って頂ければ幸いです。

派遣のクーリング期間とは

派遣のクーリング期間とは、派遣社員が抵触日を迎えた後に、同じ派遣先企業で再度働くために必要となる空白期間のことです。

派遣社員には、「派遣3年ルール」といわれる制度があり、派遣先企業の同一の部署で3年を超えて働くことができません。

3年を超えた4年目最初の日を抵触日といい、抵触日から始まったクーリング期間が過ぎれば、派遣3年ルールをリセットすることができます。

クーリング期間の具体的な日数は、3ヶ月と1日以上になり、この期間は同じ派遣先企業で働くことができません。

クーリング期間には、個人単位のものと事業単位のものがあるため、ここからは2つの内容についてそれぞれ解説していきます。

個人単位のクーリング期間

個人単位のクーリング期間は、1人の派遣社員が派遣先企業での派遣開始日から3年働いた抵触日から開始されます。

3年の派遣契約を満了し退職してから、3ヶ月と1日以上の期間を空ければ同じ派遣先企業で派遣社員として働くことができます。

事業所単位のクーリング期間

事業所単位のクーリング期間は、派遣会社として同じ派遣先企業に3年間の派遣を行った抵触日から開始されます。

派遣会社の派遣社員が就業を開始した時点から計算されます。

そのため、個人単位の抵触日は3年後でも、事業所単位の抵触日が2年後であれば、その派遣会社の派遣社員は2年間しか働くことができません。

クーリング期間と抵触日の関係性

派遣の抵触日は、最長3年の契約期間が経過した翌日のことを指します。

クーリング期間は、抵触日から開始して3ヶ月と1日以上となっているため、抵触日がいつなのかを知っておく必要があります。

抵触日がいつなのかはっきりと分かっていないと、どのタイミングで復帰できるか分からなくなってしまうため、派遣会社と派遣先企業では労務日数の管理が重要視されます。

クーリング期間と抵触日はどのように算出されるの?

クーリング期間と抵触日がどのように算出されるのか、抵触日の算出方法と通算契約期間の契約についてご紹介します。

どのように計算されるのか把握しておけば、抵触日に向けた準備がスムーズに行えるようになります。

抵触日の算出方法

抵触日は、例えば7月1日に派遣社員を派遣したのであれば、3年後の7月1日が抵触日になります。

抵触日に至るまでの勤務日数は、派遣社員が派遣先企業で働き始めたその日から数えていくことになります。

事業所単位での抵触日も考え方は同じで、派遣会社から最初に派遣された派遣社員の就業開始日から計算し、3年後の同日が事業所単位の抵触日となります。

クーリング期間の算出方法

クーリング期間は、例えば7月1日抵触日を迎えたのであれば、7月1日から9月30日がクーリング期間となります。

クーリング期間を越えれば、派遣社員は同じ派遣先企業で働くことができるため、10月1日から新たに就業することが可能です。

クーリング期間の注意点

クーリング期間を利用するにあたって、注意しておきたい事柄を6つ紹介します。

それぞれを把握しておかないと、大きなトラブルに発展してしまうこともあるため、事前に注意すべき事を把握しておくことをおすすめします。

1.クーリング期間後の就業は有給がリセットされる

クーリング期間を終えれば、抵触日がリセットされて同じ派遣先企業でも働けるようになります。

しかし、有給休暇を取得するために必要となる6ヶ月間の継続勤務と、勤務日の80%以上働かなければならないという条件もリセットされます。

同じ派遣先企業で働けるからといって、有給がそのまま継続して使えるわけではないことには注意が必要です。

2.クーリング期間や期間制限が例外になるケースもある

クーリング期間や期間制限が例外になるケースとして、次の4つが挙げられます。

  • 無期雇用の派遣社員
  • 60歳以上の派遣社員
  • 日数限定業務(正社員の所定労働日数の半数以下かつ、10日以下の業務 )
  • 産休や育児休暇、介護休業を取得する労働者の代替業務

期間制限の対象外となる場合は、3年を超えても同じ派遣先企業で働くことができるため、自分が働いている条件がクーリング期間や期間制限の例外になるのか確認しておくことをおすすめします。

3.派遣会社を乗り換えても同じ派遣先企業での期間制限は通算される

派遣社員が派遣会社を乗り換えて同じ派遣先企業で働く際にも、時間制限は通算されます。

そのため、同じ派遣先企業で3年働いたならば、クーリング期間を設けなければなりません。

派遣会社を変えるから期間制限がリセットされるということはないのです。

4.クーリング期間の間は無収入になることもある

クーリング期間である3ヶ月と1日以上の間、他にアルバイトやパートなどの手段で収入源を確保できなければ、無収入になることもあります。

数日程度であれば無収入でも乗り切れるかもしれませんが、3ヶ月ともなると生活に大きな支障をきたすことになりかねません。

5.クーリング期間後に同じ派遣先企業が必ず契約してくれるわけではない

クーリング期間を設けたからといって、同じ派遣先企業が必ず契約してくれるわけではありません。

派遣会社と派遣社員、派遣先企業の間で話が決まっていれば同じ派遣先企業で働くこともできます。

しかし、交渉をせずにクーリング期間を終えた場合、同じ派遣先企業がすでに他の派遣会社の派遣社員を採用したことを理由にそのまま不採用になるということもありえます。

6.クーリング期間の乱用はNG

派遣会社や派遣先企業がクーリング期間を利用して、むやみやたらに派遣社員のまま同じ派遣先企業で引き止めることは、労働者のキャリアップの観点から不適切であるとされています。

派遣社員の希望もなく同じ派遣先企業で働かせたりすることだけでなく、派遣契約の延長に必要となる過半数労働組合の意見聴取を回避しようとすることも、都道府県労働局から指導を受ける対象になりえます。

もし、派遣会社からクーリング期間を使って無理やり同じ派遣先企業で働かされそうになった時は、労働基準監督署などの第三者に報告して相談することが大切です。

クーリング期間中の失業保険の受給は難しい?

クーリング期間中の失業保険の受給は、可能ではあります。

派遣社員が退職した場合、原則として自己都合(一般受給資格者)の扱いとなりますが、「契約更新を重ねて3年以上雇用された場合」は特定理由離職者の扱いになる場合もあります。

特定理由離職者となった場合、給付制限期間となる3ヶ月が不要になるため、クーリング期間内での受給は可能になります。

しかしながら、派遣社員の場合、派遣会社から離職票を受け取れるのが契約満了から1ヶ月後となります。

そのため、失業保険の受給は可能ではありますが、期間は短くなる可能性が高く、また一般受給資格者となればクーリング期間中の受給はできません。

産休・育休を取ったらクーリング期間はどうなるの?

産休や育児休暇を取ったとしても、派遣先企業との契約は続いていることになるため産休や育休の分だけ延長されることはありません。

つまり、産休や育休を取っても取らなくても、派遣社員の抵触日とクーリング期間を迎えるタイミングに変化はありません。

派遣3年ルールのメリットとデメリット

派遣には3年以上同じ派遣先企業で働けない派遣3年ルールが設けられています。

ここからは、クーリング期間にとても関係がある派遣3年ルールが設けられることのメリットとデメリットについて解説します。

派遣3年ルールのメリット

派遣3年ルールが設定されたメリットには、以下の点が挙げられます。

  • 派遣先企業から直接雇用してもらえる確率が上がる
  • 直接雇用してもらえるかわからない派遣先企業に居続けなくて済む

派遣3年ルールの適用前には、派遣社員として同じ企業で働き続けても、直接雇用してもらえないということが多くありました。

しかしながら派遣3年ルールを設けたことで、派遣社員は3年で退職してしまうことから、派遣先企業も自分の会社で直接雇用して優秀な人材を確保するようになったのです。

さらに、派遣社員の場合は、直接雇用してもらえるのか、新しい派遣先企業を探すのか判断できるようになったところがメリットだと言えます。

3年ルールのデメリット

3年ルールで直接雇用してもらえる可能性が高まるとお伝えしましたが、裏を返せば3年間で直接雇用してもらえなければ新しい派遣先企業を探さなければなりません

また、派遣社員として同じ派遣先企業で働き続けていきたいと考えていても制限がついてしまうことはデメリットとなります。

直接雇用を勧められたらクーリング期間を待たずに就職するべき?

派遣3年ルールやクーリング期間は、派遣社員のキャリアアップを図るという観点から設定されているものでもあります。

そのため、派遣先企業で働いていて、派遣社員から正社員にならないかと勧められたら、ぜひ検討するべきです。

しかしながら、直接雇用で働くことと派遣社員で働くことは、それぞれメリット・デメリットがあります。

直接雇用で働くべきか、クーリング期間を待って派遣社員として働くべきかは、それぞれ個人によって考え方は変わってきます。

そこでここからは、直接雇用か派遣かどちらを選べば良いか判断材料とするために、派遣と直接雇用のメリットとデメリットを紹介していきます。

派遣のメリット

派遣のメリットは、おもに以下の3つの点が挙げられます。

  • ライフスタイルに合わせた働き方を選べる
  • 様々な派遣先企業で働くチャンスがある
  • 派遣会社のサポートを受けながら働ける

派遣社員は、ある程度自分が望む条件下の派遣先企業を探せるため、プライベートな時間を重視して働くこともできます。

また、契約更新時に派遣先企業を退職して新しい派遣先企業にチャレンジできるため、様々な派遣先企業で働く機会も増えます。

さらに、業務について派遣会社に相談をしながらサポートしてもらえるため、より派遣社員が働きやすい環境で業務が行える点もメリットになります。

派遣のデメリット

派遣のデメリットには、以下のような点が挙げられます。

  • スキル次第で給料の差が生まれる
  • 契約期間に定めがある
  • 契約が更新されないケースもある

派遣社員は専門的な資格が必要になる仕事については高額な時給が設定されていることもありますが、資格の必要のない一般的な仕事に関しては時給が低くなりがちです。

また、契約期間に定めがあるため、時給の高い派遣先企業と契約できたとしても、3年以上は同じ派遣先企業で働くことができません。

その上、契約更新時に契約が終了することもあるため、派遣社員が気に入った派遣先企業で働き続けられない点がデメリットになります。

直接雇用のメリット

派遣から直接雇用になるメリットは、以下の3つの点が挙げられます。

  • 業務の幅が広がり賃金がアップしやすい
  • 契約期間の定めなく安定して働ける
  • 責任のある仕事ができる

正社員になれば派遣社員ではできなかった仕事もできるようになるため、給料アップなどの待遇面が良くなったり、責任のある仕事をできるようになったりします。

また、契約期間の定めがないため、派遣先企業の経営不振や倒産がない限りは、安定して働き続けられる環境がメリットになります。

直接雇用のデメリット

派遣社員から直接雇用になるデメリットには、以下の点があります。

  • ライフスタイルに合わせた仕事がしにくくなる
  • 一つの職場のみで様々な経験が積めなくなる
  • 正社員雇用とは限らない

直接雇用は安定した仕事ができる反面、8時間勤務や残業などに対応することになるため、ライフスタイルに合わせた仕事ができにくくなります。

また、一つの職場で契約期間なく働くことになるため、様々な会社で経験を積むなどのことができなくなってしまいます。

仕事よりもプライベートな時間を重視したい方や、様々な仕事を経験したいという方にとっては直接雇用の働き方はあまり向いていません。

クーリング期間を待たずに同じ派遣先企業で働く方法はあるの?

クーリング期間を待たなければ、同じ派遣先企業で絶対に働けないというわけではありません。

ここでは、クーリング期間を待たずに同じ派遣先企業で働ける方法を紹介します。

ある程度の条件は必要になりますが、派遣社員として同じ派遣先企業で働き続けたいときに役立つ方法です。

部署移動すれば同じ派遣先企業でも続けて働ける

派遣社員として3年以上働いた派遣先企業であったとしても、部署異動を行えば同じ派遣先企業で働き続けられます。

しかし、部署異動したにも関わらず全く同じ業務を行ったり、3ヶ月と1日以上のクーリング期間を終えたからといって、また同じ部署で働くなどの行為は都道府県労働局の指導対象となるためご注意ください。

部署が変わっても派遣先企業との契約は辞めたくないという時は、同じ派遣先企業の違う部署で違う業務をしていくこともひとつの方法です。

無期雇用に変更する

派遣社員は、有期労働契約が通算5年以上を超えれば無期労働契約に転換することができます。

しかし契約期間が6ヶ月以上ない状態が続いた場合、それ以前に働いていた契約期間は空白期間とされて、通算契約期間として含められなくなる点には注意が必要です。

無期労働契約になれば、派遣会社に雇用期間なく雇用される形となるため、3年ルールの適用外となります。

つまり無期労働契約になることができれば、クーリング期間を設けず同じ派遣先企業で3年以上働き続けられるようになります。

アルバイトやパートに抵触日は存在するの?

アルバイトやパートには、抵触日は存在しません。

抵触日は、元々派遣社員のような期限付きの契約で、キャリアの形成を実現するために設けられたものです。

つまり、派遣社員とは違い直接企業に雇われて雇用期間なく働けるアルバイトやパートの場合は、抵触日に該当しません。

パートとアルバイトにも無期雇用になれる5年ルールがある

パートやアルバイトも、派遣社員と同じように5年以上働くことで無期雇用契約を結べる、5年ルールがあります。

働いている企業と無期雇用契約を結べれば、いつクビになるかわからないというような状態を避けることができるため、パートやアルバイトでも安心して働き続けられるようになります。

契約内容が変更されてテレワークになっても期間制限は変わらない

コロナの影響でテレワークが注目されるようになり、厚生労働省によって派遣先企業のテレワーク導入が推し進められています。

たとえ派遣社員がテレワークを行うことになったとしても、派遣の制限期間には変化はありません。

テレワークは労働時間の把握が大切

テレワークは直接派遣先企業に赴くことなく自宅で働くこともできますが、労働時間の把握がしにくくなってしまいます。

労働時間や日数の把握がしっかり出来なければ、いつ抵触日を迎えるのか分かりにくくなってしまうため、テレワークでは派遣社員の労働時間を把握することが重要になります。

テレワークになっても同じ派遣先企業で働き続けることには変わりはないため、通算労働日数はそのまま増加していく点にご注意ください。

60歳の無期転換権の行使を認めないことは違法になる?

60歳以上の派遣社員には3年ルールの適用外となり、同じ派遣先企業で3年以上勤務し続けることも可能になる特別処置があります。

当然60歳以上の派遣社員であっても、同一の派遣会社で有期雇用契約を結んだ期間が通算5年を超える全ての方が無期労働契約にできるという無期転換権を持っています。

そのため、無期労働契約のある派遣社員から無期雇用の希望が出されれば、派遣会社は認めなければなりません。

60歳以上関係なく、無期転換権を無視して不当な理由で派遣会社が派遣社員との契約を終了させることは違法扱いになります。

まとめ

この記事をまとめると、

クーリング期間を終えれば同じ派遣先企業で働ける
派遣社員は同じ派遣先企業で3年以上働くためには、抵触日から3ヶ月と1日以上のクーリング期間を設けなければなりません。

クーリング期間は必ず同じ派遣先企業で働くことを保証するものではありませんが、派遣社員の希望と派遣先企業の同意があれば、3年以上継続して同じ派遣先企業で働くことが可能になります。

クーリング期間の乱用や有給のリセットに注意
クーリング期間は抵触日をリセットして同じ派遣先企業で働けるようになりますが、有給に必要な労働日数もリセットされることになるため、また一から有給が使えるように働かなければなりません。

また、クーリング期間は派遣社員を同じ派遣先企業に派遣社員を、強制的に派遣できるものではありません。

派遣会社や派遣先企業の都合でクーリング期間を悪用して派遣社員を働かせ続ける行為は、禁止されています。

もし派遣社員の意思確認もせず、派遣会社がクーリング期間を乱用するようなことがあれば、労働基準監督署などの第三者に報告するようにしてください。