【社労士監修】派遣は残業代が出ない?残業の仕組みとルール

記事監修者社労士オフィスなかがわ
中川 建

「派遣で残業をする際に、残業代が支給されるのか不安・・・」

とお悩みではありませんか?

この記事では、派遣社員の残業代について解説します。残業の仕組みを理解して、残業代がもらえる働き方を覚えていただければ幸いです。

派遣は残業代が出ないって本当?

派遣社員が残業をした場合は、派遣会社は必ず残業代を派遣社員に支払わなければなりません。

そもそも残業代がでない派遣会社は、残業そのものを禁止しています。

派遣社員に残業をさせているのにも関わらず、残業代を支払わない派遣会社は事業免許停止になるため、事業が存続できなくなってしまいます。

派遣会社は事業免許を取得するために、厚生労働大臣に申請をして許可をもらわなければならないため、規則に則って派遣事業を行っていかなければなりません。

厚生労働大臣からの許可をもらい続けるためにも、派遣会社にとって事業免許はとても重要な役割を持っています。

そもそも派遣は残業ができるの?

派遣社員が週40時間以上の残業をするためには、派遣会社の就業規則に残業が規定されていることと、派遣会社が36協定を締結している必要があります。

36協定を締結し、法定労働時間を超えて派遣社員が業務を行うことを労働基準監督署に届出をすることによって、派遣社員も月45時間・年360時間まで残業ができるようになります。

また、労使間で合意がされている場合に認められる特別条項では、残業(時間外労働)と休日労働の合計時間が月100時間未満(月99時間まで)の残業も可能になります。

ただし、45時間以上を超える残業は年6か月までの制限が設けられている点にはご注意ください。

注意
残業は必要だと判断した派遣先企業の指揮命令者の判断によって決められるため、派遣先企業は残業代を支払う経費を抑えるために、派遣社員に残業をさせないようにすることがほとんどです。

残業が認められている派遣会社であっても、派遣社員が希望すれば残業が必ず出来るわけではないため、残業代を入れた月給で考えていくのは危険です。

時間外労働(残業)をさせるためには、36協定が必要です!
・労働基準法では、労働時間は原則として、1日8時間・1週40時間以内とされています。これを「法定労働時間」といいます。

・法定労働時間を超えて労働者に時間外労働(残業)をさせる場合には、
労働基準法第36条に基づく労使協定(36協定)の締結所轄労働基準監督署長への届出が必要です。

・36協定では、「時間外労働を行う業務の種類」や「1日、1か月、1年当たりの時間外労働の上限」などを決めなければなりません。

引用:厚生労働省(36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針|36(サブロク)協定とは)

残業代の仕組みとは?

残業代は、休日や夜勤労働、時間外労働、それぞれのケースによって割増賃金が異なります。

法定時間を超える時間外労働 25%割増
1ヶ月に60時間を超える時間外労働 50%割増
午後10時から午後5時までの深夜労働 25%割増
限度時間外または休日労働 35%割増

※ただし2番目「1ヶ月に60時間を超える時間外労働」は現時点では大企業のみの適用です。中小事業主については令和5年3月31日まで適用の猶予措置がされており、適用猶予の間は中小事業主の場合、月60時間を超えたとしても25%の割増となります。

深夜労働を行うときは時間外労働の割増率と合計して計算されることになります。

残業代の計算については、「=1時間当たりの賃金×残業時間×割増率」で算出することになります。

残業はどこから始まるのかというと、1日の法定労働時間である8時間を過ぎたタイミングから計算されることになるため、派遣社員もどれだけの残業をしたのか把握しておくことが大切です。

派遣の残業代を15分単位で計算するのは違法になる?

派遣社員が残業をした時に、15分単位で残業代を計算することが認められるケースはあります。

企業によっては、残業を1分や5分単位で計算しているところもありますが、残業は1分単位で計算するのが原則です。しかしながら、例外的に切り捨てが認められる場合があります。

そのため、所属している派遣会社がどのような計算方法をとっているのか調べておくことをおすすめします。

残業について疑問に思ったことがあったら、派遣会社に質問をして残業についての情報を把握するようにしてください。

みなし残業と普通の残業って何が違うの?

みなし残業とは、あらかじめ労働者に支払われる賃金の中に労働時間関係なく、固定額で残業した場合に支給される割増資金をもらえるという仕組みです。

残業が発生したら計算される普通の残業とは違い、残業をしなかったとしても割増資金が支払われることになります。

また、みなし残業として定められている時間を超過して仕事を行う場合は、超過した時間分の割増額を加えて雇用主が労働者に支払わなければなりません。

みなし残業と定められている時間を超えて労働をすることになった場合は、派遣会社にどれくらいの残業をしたのか伝えて、残業代が正しく支払われるように派遣会社に調整してもらってください。

派遣社員が残業を断るために必要な条件はある?

派遣社員が残業を断るためには条件が必要になります。

どのような条件が必要になるのか、残業を断ることができるケースと断れないケースに分けて解説します。

残業を断ることができるケース

派遣社員が派遣先企業からの残業を断るためには、雇用契約書にて残業できない旨記載がある、または就業条件明示書において残業についての定めがないことが必要です。

具体的に説明すると、以下の項目のどれかが当てはまれば、派遣先企業からの残業を断る事が可能です。

  • 雇用契約書にて残業できない旨の記載があること
  • 就業条件明示書・労働条件通知書に、残業に対する規定が定められていないこと
  • 派遣会社が36協定を締結していないこと

いくら派遣先企業が派遣社員に残業をして欲しいと思っていても、派遣会社が残業させないと決めていたり、残業ができる手続きが行われなかったりしている場合は、派遣社員は残業指示に応える必要はありません。

残業を断れないケース

派遣社員が残業を断れないケースは、就業条件明示書などで残業が定められているかつ、派遣会社が36協定を締結している場合です。

規定を超えるような残業については断ることが可能ですが、残業の規定時間内でおさまる場合は、基本的に派遣社員でも残業拒否はできません。

また、残業が認められている場合であれば、派遣社員の残業申請を派遣会社が認めれば、働いた時間に応じた残業代を支払ってもらえるケースもあります。

派遣社員が残業を断るとどんな影響があるの?

残業ができる派遣会社にもかかわらず、派遣社員が残業を断った場合は、派遣先企業や派遣会社からの信用を失ってしまうことになります。

もちろん派遣先企業が就業規則以上の残業を支持してきた場合は断れますが、規則上問題がない場合は派遣社員も残業をしなければなりません。

ルールが決まっているのにも関わらず派遣社員が残業を断ってしまうと、派遣会社だけでなく派遣先企業にも悪い印象を与えてしまいます。

派遣先企業でのトラブルを避けるためにも、何も考えずに残業を断ってしまわないようにご注意ください。

残業を断る時の注意点

残業が規定され、派遣会社と契約している派遣先企業で働いている派遣社員が、残業を断りたい時に注意しておくべき事柄を紹介します。

残業を断りたい時は伝え方に注意しよう

派遣先企業で残業を言い渡された時に断りたい時は、何かしら正当な理由が必要になります。

例えば体調を崩して対応ができそうにない時や、家族の看病や介護などが必要になった時などです。

「面倒くさいから」や、「遊びに行きたいから」などの理由では相手に不快な思いをさせてしまうため、正当な理由があるときに限り正直に話して残業を断ることが大切です。

本来は就業規則で決められている残業を断ることはできないため、申し訳なく思っている気持ちを伝えることも、相手を不快にさせない伝え方のひとつです。

予定が外せない時は早めの連絡を心がけよう

どうしても予定が外せないような用事がある場合は、早めに派遣先企業にその日は残業に対応できないということを伝えておくことが大切です。

早めに報告をしておけば、派遣先企業も仕事の割り振りなどの調整が行えるため、予定が決まっている時は、派遣先企業への連絡がギリギリにならないようにしてください。

直前になって残業を断ってしまうと、派遣先企業の予定を狂わせることにもなりかねないため、派遣社員は派遣先企業のことも考えて行動することが求められます。

派遣先企業が残業を強制してきたらどうしたらいいの?

派遣先企業に契約違反の残業を指示された場合は、派遣会社に相談するようにしてください。

派遣先企業は派遣会社との契約に則って、正しく派遣社員に仕事を割り振らなければならないため、派遣会社は派遣先企業に契約違反となる残業を止めるように指示することが可能です。

派遣社員が、残業を強制されたことで不満を抱いた場合は、新しい求人を紹介してもらうことも可能です。

派遣でもサービス残業はあるの?

残業代が支払われないサービス残業は本来あってはならないものですが、サービス残業したことがあるという派遣社員の方も少なからずいます。

しかし、サービス残業であっても残業の強制と同様に違法行為として扱われます。

派遣社員が良かれと思ってサービス残業をしていても、派遣先企業の体制が公になってしまえば大きなトラブルになってしまうことにもなるため、派遣先企業からサービス残業を指示された派遣社員は、はっきりと断ることが大切です。

派遣先企業が大変そうだからとサービス残業を受け入れてしまう方もいらっしゃいますが、後々のトラブルを避けるためにも、派遣会社に相談をして適切に対応してもらうことをおすすめします。

派遣の求人内容で「残業なし」と書かれている場合、信用していいか?嘘か?

派遣会社で紹介されている求人に「残業なし」と書かれていた場合は、派遣先企業は条件通り残業がない環境で派遣社員を受け入れなければなりません。

派遣会社は嘘の条件を提示しても、条件がマッチしなければ就業にまで至らないことから、 派遣会社が嘘をつくことはありえないため信用出来る求人情報といえます。

また、派遣社員として働いている女性には主婦の方も多いため、家事や育児で残業が行えない事情が分かった上で求人を出している派遣先企業も多くあります。

しかし、ほとんどの派遣先企業はしっかりと契約通りの業務を行わせてくれますが、少なからず契約とは違う指示を出すような派遣先企業があることも事実です。

残業なしと書かれているのにも関わらず、派遣先企業から残業を言い渡された場合は、派遣会社に報告してください。

派遣社員が残業したい場合はどうしたらいい?

派遣社員としてあえて残業をして収入アップさせたいという方は、派遣会社の就業規則などに残業が許可されているかどうか事前に確認するようにしてください。

就業規則等で残業についての規定があれば、派遣社員はその規定通りに残業を行うことができます。

どの時間までの残業を認めているのかは派遣会社によって異なる場合もあるため、派遣会社と残業について相談しながら業務を行うことが大切です。

派遣社員が残業をしたいにも関わらず、残業が認められない派遣会社に登録してしまっては本末転倒なので、残業が認められているかどうか確かめることを忘れないようにしてください。

まとめ

この記事をまとめると、

派遣会社が残業を許可していれば残業代も支払われる
派遣社員が派遣先企業で残業をして、派遣会社から残業した分だけの残業代を支払ってもらうためには、派遣会社が就業規則等で残業を規定していなければなりません。

36協定の締結などといった手続きも必要となりますが、派遣会社が残業を認めていなければ、そもそも派遣社員は残業すること自体できません。

派遣会社が残業を認めていないにもかかわらず、派遣社員の勝手な判断で残業を行なったとしても、残業代は支払われないため注意が必要です。

派遣先企業による残業の強制に注意
ほとんどの派遣先企業では、派遣会社との契約に則って残業が禁止されていれば、派遣社員に残業を強制することはありません。

しかし、残念ながら派遣社員に残業を強制するような企業も0ではありません。

もし、派遣先企業から残業の強制や、派遣会社から認められている残業の時間を超えるような業務をさせられそうになった時は、派遣会社に報告してください。

派遣会社に残業の強制をされたことを伝えれば、派遣先企業に職場環境の改善を指示してもらったり、新しい派遣先企業を紹介してもらったりできます。

監修者のコメント

残業(時間外労働)に関して、法改正が行われ、違反した場合には企業に罰則が適用されます。

働く中で「残業したのに残業代が支払われない」や「残業時間が長時間過ぎる」といった場合は、抱え込まずに早めに相談窓口への相談をすることが望ましいです。

記事監修者社労士オフィスなかがわ
代表 中川 建

社会保険労務士・ファイナンシャル・プランニング技能士2級
新潟で保険代理店で勤務後、社労士オフィスなかがわを設立。自身の過去の経験から労働者の社会保険や保険に対する支援や、障害者雇用を行う事業者支援に従事
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