【社労士監修】派遣の2018年問題とは?2018年問題の概要とその後

記事監修者東 社会保険労務士事務所
小高 東

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「派遣の2018年問題ってなに?」

と思っていませんか?

  • 派遣の2018年問題が何なのか
  • 派遣の2018年問題がどうなったのか

2018年から時間が経過しましたが、まだまだ気になる方も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、派遣の2018年問題がどういうものなのかをわかりやすく解説し、その後どうなっているのか詳しくご紹介します。

派遣の2018年問題とは?

派遣の2018年問題とは、次の2つの法改正の影響が2018年前後から生じることを指しています。

  • 2012年の労働契約法の改正
  • 2015年の労働者派遣法の施行

なぜ「問題」と言われてるのか?

2つの法改正では、主に以下の2つのルールが規定されました。

  • 無期労働契約への転換
  • 派遣の期間制限

これらのルールが定められることによって、派遣社員が直接雇用へ転換しやすくなりました。

その反面、派遣社員の立場がより不安定になったり、派遣先企業による派遣切り・雇い止めが起こるリスクも増えてしまいました。

このようなリスクがあることから、2つの法改正による影響を「問題」として注視しているのです。

「無期労働契約への転換」とは?

無期労働契約への転換とは、有期労働契約が5年を超えた場合、無期労働契約への転換を申し込むことができるというものです。

この「無期労働契約への転換」は、2012年の労働契約法の改正により決められたルールです。

登録型派遣と呼ばれる派遣の働き方は、派遣先企業への派遣が決まった際に、派遣会社と雇用契約を結ぶことになりますが、契約期間は決められています。

しかしながら、2013年以降に契約期間が決められている雇用契約を派遣会社と締結した場合、契約更新をしながらも5年を超えると、派遣会社と無期労働契約を結ぶことが可能になったのです。

より具体的な条件は、次の2点になります。

  1. 同じ派遣会社で通算5年以上勤務している
  2. 契約更新を1回以上行っている

無期労働契約を結ぶと、収入面で安定し、長期で同じ派遣先企業で働ける可能性が広がるなどのメリットがあります。

反面、フルタイム勤務になったり、派遣先企業がコロコロ変わる、または派遣先企業がずっと変わらないなどデメリットもあるのです。

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派遣の無期労働契約について、より詳しい内容はこちらの記事で解説しています。

【社労士監修】無期雇用派遣とは?正社員との違いやメリット、デメリットを解説【社労士監修】無期雇用派遣とは?正社員との違いやメリット、デメリットを解説

「派遣の期間制限」とは?

派遣の期間制限とは、有期労働契約の派遣社員は、派遣先企業の同一部署で働ける期間を最長3年間までと制限されているというものです。

この「派遣の期間制限」は、2015年の労働者派遣法の改正により決められたルールです。

派遣の期間制限は2種類あります。

①事業所単位の期間制限
これは、派遣会社が派遣先企業の同一部署へ社員を派遣できる期間を最長3年間と定めたものです。派遣会社は派遣可能期間を超えて派遣社員を派遣することはできません。(※ただし3年を限度に延長できる場合もあります)
②個人単位の期間制限
これは、派遣社員が派遣先企業の同一部署で就業できる期間を最長3年間と定めたものです。3年を超えて同一部署で就業することはできませんし、派遣会社を変更しても制限がリセットされることはありません。(※ただしクーリング期間が過ぎれば再度就業は可能です)

この派遣の期間制限が設けられたことにより、派遣社員は3年ごとに働く場所を変えなければならないという雇用の不安定さがあります。

しかしながら、同時に派遣会社に対して「雇用安定措置」も義務付けられました。

「雇用安定措置」とは?

雇用安定措置とは、派遣会社が派遣社員に対して、雇用を安定させるために以下の措置を講じることを義務付けしているものです。

  1. 派遣先企業へ直接雇用を依頼すること
  2. 新たな派遣先企業を提供すること
  3. 派遣会社で無期労働契約を結ぶこと
  4. その他、雇用の安定のための措置を講じること

派遣会社は、3年派遣する見込みの雇用契約を派遣社員と締結する場合、上記の措置を行わなければなりません。

ただし、1年以上3年未満の派遣見込みの雇用契約の場合は義務ではなく努力義務となりますし、派遣会社と無期雇用している方や60歳以上の派遣社員は対象外となるなど条件もあるため注意が必要です。

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派遣の期間制限は「派遣3年ルール」との言われています。

派遣3年ルールのメリット・デメリットなど、より詳しい内容を知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

【弁護士監修】派遣3年ルールとは?直接雇用の可能性や制度の抜け道を解説!【弁護士監修】派遣3年ルールとは?直接雇用の可能性や制度の抜け道を解説!

期間制限がリセットされる「クーリング期間」について、より詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

派遣のクーリング期間って何? 抵触日との関係性と注意点派遣のクーリング期間って何? 抵触日との関係性と注意点

派遣の2018年問題は実際どうなったのか?

現在、無期労働契約への転換のタイミングや派遣の期間制限のタイミングを迎えた方が多くいらっしゃいます。

実際に2018年を過ぎて、その後どうなったのでしょうか。

ここからは、無期労働契約の転換と派遣の期間制限後の雇用安定措置のその後の状況についてご紹介します。

「無期労働契約への転換」のその後

無期労働契約への展開は、2018年を迎えても、全ての方が無期労働契約に転換しているわけではないのが現状です。

2018年に日本労働組合総連合会が行った調査によると、回答者の半数近い人が「自身に無期労働契約の申込権が発生しているかわからない」と回答しています。


画像引用元:日本労働組合総連合会「有期契約労働者に関する調査2018」

また、自身に無期労働契約の申込権があると知っている方のうち、実際に申し込んだ方は全体の30%も満たしていません。


画像引用元:日本労働組合総連合会「有期契約労働者に関する調査2018」

「派遣の期間制限」のその後

派遣の期間制限を迎えて雇用安定措置を講じられた派遣社員は、派遣先企業での直接雇用になった方が多くいらっしゃいます。

厚生労働省が公表しているデータによると、全体の約22%の方が派遣先企業で直接雇用(有期・無期)になっています。


画像引用元:厚生労働省「雇用安定措置について」

ただし、派遣会社から特段の提案がなく就業を続けている方や雇い止めされた方もいらっしゃるのが現状です。

まとめ

この記事をまとめると、

派遣の2018年問題とは、

  • 派遣社員として5年以上雇用契約を締結すると「無期労働契約」に転換することができる
  • 派遣社員として派遣先企業の同一部署で働ける期間は最長3年間までである

この2つのルールが法改正で決められたことで、2018年前後から最初に影響を受ける派遣社員がいることを指しています。

2018年が過ぎた現状は、

  • 無期労働契約に転換する方は、まだ少なく、さらに自身が転換できるか分からない方も多くいらっしゃいます。
  • 派遣の期間制限を迎えた方は、派遣先企業で直接雇用になった方が多くいらっしゃいますが、反面、雇い止めに合ってしまった方もいらっしゃいます。

このようになっています。

派遣社員としてこれから働かれる方も現在派遣社員の方も、ぜひ「派遣の期間制限」と「無期労働契約」を理解して、自身によってよりより働き方を今後選択していただけけることをお祈りいたしております。

この記事が、
あなたの就職活動のお役に立てば幸いです。

記事監修者東 社会保険労務士事務所
代表 小高 東

特定社会保険労務士
民間企業勤務を経て、平成13年に東 社会保険労務士事務所を開設。労使トラブルによる経営リスクを未然に防止する指導・アドバイスを行う。「雇用安定化相談支援事業」雇用管理改善支援アドバイザーや千代田区役所相談員にも従事
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この記事の執筆者
「法人派遣マッチング」ならびに
転職エージェント「♯就職しよう」運営
株式会社アドバンスフロー 代表取締役 中塚 章浩

大手人材サービス会社在籍で2,000名以上の就業に携わり、
「自分に合った派遣会社や人材紹介会社を選ぶ重要性」 を肌で感じてきました。この記事の執筆を通して、派遣会社や人材紹介会社を選ぶ際のミスマッチを少しでも解消できればと思っています。
現在、派遣会社と企業をつなぐ「法人派遣マッチング」と求職者と企業をつなぐ「転職エージェントサービス」を運営しており、それらから得られる最新情報をお伝えするべく、随時、記事の編集や更新も行っています。

経歴
パーソルテンプスタッフ株式会社に在籍後、2010年に株式会社アドバンスフローを設立し、求職者向け情報サイト「♯就職しよう」を運営。現在、#就職しようの執筆とともに、転職・就職などHR領域に関するサービスを多数展開中。 ・執筆者の詳しい経歴はコチラ
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