【弁護士監修】派遣社員の無断欠勤はどんな影響を及ぼす? 解雇や損害賠償の恐れ

記事監修者ゆら総合法律事務所
阿部 由羅
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「もし無断欠勤をしてしまったら、仕事にどんな支障をきたしてしまうの?」

と不安に思っていませんか。

この記事では、派遣の無断欠勤について解説します。弁護士にも監修いただきました。

派遣社員の方々が、安心して仕事を続けられるよう、少しでもこの記事が役に立てば幸いです。

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目次

派遣社員が無断欠勤したらどうなる?

派遣社員が無断欠勤した場合、連絡が取れない状態が続くと警察へ連絡まで発展する可能性があります。

いつも出勤していた派遣社員が突然来なくなると、まず派遣先企業から派遣会社へ連絡が入り、派遣社員の連絡先が分かる場合は本人へも連絡が入ります。

派遣先企業から連絡が入ったら、派遣会社も派遣社員に直接連絡しますが、連絡がつかない場合は家族への連絡したりや自宅訪問したりします。

それでも、派遣社員の所在が分からない場合は、事故や事件など何かトラブルに巻き込まれたのではないかと警察へ通報することまで発展しかねません。

警察に通報した結果、警察が派遣社員の家にまで来たというケースも実際にあります。

毎日出勤していた派遣社員が、突然音信不通となると、派遣先企業や派遣会社に心配や迷惑をかけることになるため無断欠勤は避けるようにしましょう。

派遣社員が無断欠勤をしたらクビになる場合もあるの?

派遣社員が無断欠勤をした際に、派遣先の企業をクビになってしまう場合もあります。

どのような条件で、無断欠勤が解雇になるのかお伝えすると同時に、解雇にならない場合や、解雇になるボーダーラインについてそれぞれ解説していきます。

無断欠勤で解雇になる条件とは?

無断欠勤をした派遣社員が、派遣会社を解雇になるかどうかは、欠勤の期間や理由などを総合的に考慮して判断されます。

目安としては、2週間以上無断欠勤が続くと、解雇になる可能性が高いと考えられます(東京地裁平成12年10月27日判決など)。

しかし、無断欠勤の責任が専ら派遣社員側にあるのか、それとも会社側にも一定の責任が認められるのかによっては、解雇に必要な無断欠勤期間が延びたり短縮されたりする場合もあります。

ただし、解雇されるかどうかにかかわらず、一度だけ無断欠勤しただけでも、派遣社員が与える派遣先企業への印象は悪くなってしまうので、連絡もなしに会社を休むのはやめましょう。

無断欠勤で解雇にならない場合とは?

無断欠勤をしたとしても、欠勤の理由が以下の点にある場合には、解雇が認められない可能性が高いです。

  • セクハラなどの職場環境が理由で無断欠勤になった場合
  • 精神疾患が理由で無断欠勤になった場合
  • 自然災害や事故が原因の場合

上記の事情があるにもかかわらず、会社が従業員を解雇することは「解雇権の濫用」に当たり、違法の疑いがあります。

もし欠勤にやむを得ない事情があるのにも関わらず、不当解雇を行われそうになった場合は、派遣会社に相談をして労働基準法に則って対処してもらうようにしましょう。

解雇になるボーダーラインは派遣会社の就業規則によっても異なる

2週間以上の無断欠勤が解雇の目安とお伝えしましたが、
派遣会社の就業規則の中で、2週間よりも短い期間の無断欠勤で解雇する旨が定められている場合があります。

例えば、

  • 2週間以上、無断欠勤した場合は懲戒解雇
  • 無断欠勤が7日以上にわたる場合は普通解雇

と規定されている場合は、2週間未満の無断欠勤であっても、会社が普通解雇処分を通告してくる可能性があります。

この場合でも、会社の普通解雇が「解雇権の濫用」に当たるかどうかの審査が行われるので、解雇が当然に有効となるわけではありません。

しかし、会社の就業規則の内容を把握しておくに越したことはないでしょう。

派遣社員が無断欠席をした時の派遣先企業への影響

派遣社員が無断欠席をしてしまった場合、派遣先の企業に、どのような影響を及ぼしてしまうのか、大きく2つに分けて紹介します。

派遣社員が行っていた業務が滞ってしまう

派遣社員が無断欠勤をしてしまった場合、担当業務が進まなくなり、事業所全体の業務に影響を及ぼす恐れもあります。

業務内容や人員配置にもよりますが、仮に派遣社員1人で営業事務の仕事に就いていた場合、無断欠勤すると見積書や申込書の作成ができないなどが生じる可能性があります。

派遣社員と連絡を取れる状態ならば、欠勤中の業務を上司や同僚に引き継ぐことができます。

しかし、派遣社員が無断欠勤して連絡が取れない場合、どのように業務を進めていけばいいのか分からなくなってしまい、周囲に多大な負担をかけてしまいます。

新しい人材派遣の要請が行われる

無断欠勤が続いた場合、派遣先企業が派遣社員に見切りをつけて、新しい人材の派遣要請を行う場合もあります。

派遣社員が何日も休んでしまうと、業務が滞ってしまって、派遣先企業全体の仕事が経ち回らなくなることを防ぐために、新しい派遣社員を要請することになるでしょう。

無断欠勤は一度でも行ってはいけない行為ですが、連続で行ってしまうと、さらに派遣先企業からの信用を失うことになり、解雇される可能性を高めてしまうことになりえます。

派遣社員が無断欠勤をした時の派遣会社への影響

派遣社員が無断欠勤をしたことで、派遣会社にどのような影響を与えることになるのか、解説していきます。

派遣社員が無断欠勤したことを謝罪しなければならない

派遣社員が無断欠勤をした場合、派遣会社は派遣先企業へ謝罪をしなければなりません。

派遣会社としては、しっかりと働ける人材を派遣先企業へ派遣する義務があるため、派遣義務が果たせなかったことに関して、派遣会社は派遣先企業へ謝罪することになります。

派遣会社に負担をかけないためにも、無断欠勤などはせずに、契約期間中は真摯に勤務に励んでいきましょう。

新しい人材の派遣要請があれば応えなければならない

派遣会社がいくら派遣社員の契約をまだ続けたいと思っていても、派遣先企業から連続した無断欠勤を理由に、派遣要請が出された場合は、派遣先企業からの要請に応えなければなりません。

派遣要請を受けた派遣会社は、大急ぎで新しい人材を用意しなければならないため、派遣社員が契約満了を迎えるまで行う必要のない仕事が増えることになります。

派遣先企業からの信用を失ってしまう

派遣社員が無断欠勤をしてしまうと、派遣先企業から派遣会社は、「無断欠勤をするような派遣社員を提供した」ということで、信用を失ってしまうことになります。

最悪の場合、派遣会社は信用を失うだけでなく、派遣先企業から損害賠償請求を受けたり、契約を打ち切られたりしてしまう可能性もあります。

つまり、派遣社員が無断欠勤をすると、派遣会社がさまざまな実害を被りかねないのです。

無断欠勤をしたら賠償請求されるの?

派遣社員が無断欠勤をした時に、派遣先や派遣会社から損害賠償を請求されることはあるのでしょうか?

派遣先企業からの損害賠償の可能性と、派遣会社の無断欠席に関してのペナルティについて紹介します。

多額の損害を出した場合は賠償請求されることもある

派遣社員が無断欠勤したことに関して、多額の損害などが出る場合、派遣会社および派遣先企業は、派遣社員に損害賠償を請求することが可能です。

実際には、訴えるためにも多額のお金が必要となるため、派遣社員が損害賠償請求を受けることは稀ですが、仕事が滞ったことで大きな損害が発生する場合は、賠償請求される可能性も十分にありえます。

出勤停止や減給になる可能性もある

派遣会社は損害賠償請求以外に、出勤停止や減給するといった処置を取る可能性があります。

減給の幅や出勤停止が行われる日数は、具体的な事情や派遣会社の就業規則によって異なるため、派遣会社へ登録する際には、就業規則にしっかり目を通しておくようにしましょう。

出勤停止になってしまうと減給どころか、しばらくの間給料がない状態となってしまうので、無断欠勤はしない方が身のためです。

派遣バイトで無断欠勤した時はどうなる?

派遣で単発バイトや日雇いの仕事をする場合、無断欠勤してしまうと、無断欠勤した派遣社員の穴を埋めるために派遣先現場の仲間に多大な迷惑をかけてしまいます。

また、派遣会社から信用を失い、それ以上、仕事を任せてもらえなくなる可能性があります。

当日欠勤や無断欠勤が続いた場合、短期契約であっても派遣社員は解雇されたうえで、派遣会社や派遣先企業から賠償金を請求される危険性もあるため十分注意しましょう。

無断欠勤をしてしまってから職場復帰をするために必要なこと

無断欠勤をしてしまった次の日など、同じ派遣先企業で職場復帰をしたい時に、しなければいけないことと、やってはいけないことについて、それぞれ紹介します。

一度失った信頼を取り戻すためにも、慎重に対応をするようにしましょう。

下手な言い訳をせず素直に謝る

派遣社員が、無断欠勤をしてしまった後に、職場復帰を考えるのであれば、無断欠勤について下手な言い訳をせずに、素直に謝ることをおすすめします。

もし無断欠勤をしてしまった理由として、やむを得ない理由があったのであれば、その理由をしっかりと話して、謝罪するようにしましょう。

無理やり無断欠席の理由を作るために、「病院に入院した」というような嘘をついてしまうと、診断書を請求されかねません。

無断欠勤をしてしまったら、まずは真摯な態度で謝ることが、許してもらえる可能性を高めることにつながります。

無断欠勤を謝罪せず放置はNG

無断欠勤をしたのにも関わらず、謝罪せずに放置しておくのはNGです。

無断欠勤をしたことでクビにならなかったとしても、派遣先の企業が許したというわけではありません。

申し訳ないと思う気持ちがあるのであれば、復帰のチャンスをくれるような企業もあるかもしれませんが、謝罪もせず働いていたら、「また勝手に仕事を休むのでは?」と不信感を持たれやすくなってしまいます。

派遣社員として無断欠勤をしてしまったのであれば、迷惑をかけてしまったことに関して、必ず謝罪するようにしましょう。

無断欠勤する気はないのに無断欠勤になってしまった場合どうしたらいい?

万が一、意図せずに無断欠勤になってしまった場合、連絡できるときに即座に連絡し謝罪しましょう。

無断欠勤する気がなかったとしても、一人暮らしで突然体調を崩し、派遣会社にも派遣先企業にも連絡ができない状態になってしまうかもしれません。

そのような時は、連絡ができるようになった段階ですぐに連絡し、なぜ連絡ができなかったのか正直に伝えて、無断欠勤になってしまったことに関して謝罪するようにしましょう。

もし寝坊してしまった場合は、すぐに派遣先企業へ連絡を取って、正直に理由を話して、謝罪するようにしましょう。

何も連絡せずに無断欠勤してしまうほうが、信用を大きく失ってしまうことになります。

ただし、謝罪したとしても、何日も寝坊などが理由で休みが続くと、契約解除にまで発展してしまいかねません。

即日退職をしたい時は無断欠勤せずに派遣会社に相談しよう

無断欠勤や即日退職は厳禁とされている行為ですが、どうしても今すぐ辞めたいと思った時は、無断欠勤せずに、派遣会社に相談するようにしましょう。

「会社に嫌いな人がいるから」、「仕事に飽きたから」というような内容では、契約途中に辞めることは認められません。

「親の介護が必要になった」や、「体調不良で、仕事が続けられそうにない」など、やむを得ない理由であれば、即日退職でも辞めることができる場合もあります。

何かやむを得ない理由があるのであれば、無断欠勤せずに派遣会社へ連絡して、退職したい旨を伝えるようにしましょう。

無断欠勤を考えたくなる前に定期的にリフレッシュしよう

派遣社員に限らず、仕事を続けていると、人間関係に疲れてしまうことや同じ業務の繰り返しでストレスがかかり限界と感じることもあります。

そんな時は無理をせずに、定期的にリフレッシュの時間を取ることをおすすめします。

有給休暇があるのであれば、定期的に休みを取って気分転換するのもひとつの方法です。

仕事以外の時間は、何かストレスを発散できるものを見つけて、心のバランスを保つことも大切です。

無断欠勤してしまうと、派遣先の企業だけでなく、派遣会社にも大きな迷惑をかけて、余計にストレスを溜めてしまうことにもなりかねないため、できるだけ疲れを溜め込まないように工夫しましょう。

派遣社員が仕事を休みたいときはどうしたらいい?

仕事をお休みしたい時は、派遣先企業の上司に連絡をして、体調不良などを理由に休んでいいかの確認を取るようにしましょう。

即日の休みであっても、下手な嘘はつかず、正直に休む理由を伝えることが重要です。

有給休暇や、休日以外のお休みは、出来る限りしないようにすることも大切ですが、何も連絡をせずに休んでしまう行為は、社会人としてやってはいけない事柄のひとつです。

欠勤連絡は派遣会社と派遣先のどちらに連絡したらいい?

派遣社員が欠勤連絡をする際は、はじめに派遣先企業の上司に連絡するようにしましょう。

仕事を休むことによって、最初に迷惑をかけてしまう場所は、派遣先企業になってしまうので、早めに派遣先企業へ連絡を取って休むことを伝えましょう。

その後に派遣会社へ連絡を取って、派遣先企業からお休みをもらったことを、連絡することが一般的です。

体調不良等で休みがちになるなら派遣会社に一度相談しよう

日頃から体調不良などで休みがちになるのであれば、派遣会社に一度相談しておくようにしましょう。

派遣会社に相談することで、派遣先企業との調整してもらったり、次回契約更新時により働きやすい職場を紹介してもらったりしやすくなります。

もしひどく体調を崩してしまい、会社に連絡を取れなかった際にも、派遣会社が休んだことに関してサポートしてくれやすくなるので、体調を崩しやすい方は、事前に派遣会社に話しておくようにしましょう。

まとめ

この記事をまとめると、

無断欠勤の度合いによっては損害賠償や解雇につながる
無断欠勤が何度も続いたり、欠勤したことで派遣先企業に損害を与えてしまった場合、損害賠償請求や解雇をされる可能性は十分にあります。

懲戒解雇などについては条件がありますが、派遣先企業に、勤務が続けられないと判断されてしまうと、契約更新が行われないことにつながります。

仕事を休む時は連絡を取ろう
家庭の事情であったり、体調を崩してしまったりして、仕事を休む時は、必ず連絡を取るようにしましょう。

出来る限り会社を休まないことも大切ですが、無断欠勤をしてしまうと、派遣先企業から信用を失ってしまうことになりかねません。

無断欠勤をしてしまうと、後々より大きな謝罪が必要になるので、早めに連絡を取って、少しでも派遣先企業に、負担をかけないようにすることが大切です。

監修者のコメント

「無断欠勤をしない」ことは、社会人としての常識であるだけでなく、損害賠償や解雇のリスクを回避して、生活の糧を確保するためにきわめて重要です。

特に、長期間無断欠勤が続いたり、断続的に無断欠勤を繰り返したりしていると、派遣会社から解雇されるリスクが高まってしまいます。

勤務が難しいほどに心身の不調を感じたら、早めに派遣先企業の上司や派遣会社に相談して、業務負担について配慮してもらえるように行動してください。

記事監修者ゆら総合法律事務所代表
阿部 由羅

弁護士
西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て、ゆら総合法律事務所を開設。専門は不動産・金融法務。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連の記事執筆にも注力している。
ゆら総合法律事務所
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この記事の執筆者
「法人派遣マッチング」ならびに
転職エージェント「♯就職しよう」運営
株式会社アドバンスフロー 代表取締役 中塚 章浩

大手人材サービス会社在籍で2,000名以上の就業に携わり、
「自分に合った派遣会社や人材紹介会社を選ぶ重要性」 を肌で感じてきました。この記事の執筆を通して、派遣会社や人材紹介会社を選ぶ際のミスマッチを少しでも解消できればと思っています。
現在、派遣会社と企業をつなぐ「法人派遣マッチング」と求職者と企業をつなぐ「転職エージェントサービス」を運営しており、それらから得られる最新情報をお伝えするべく、随時、記事の編集や更新も行っています。

経歴
パーソルテンプスタッフ株式会社に在籍後、2010年に株式会社アドバンスフローを設立し、求職者向け情報サイト「♯就職しよう」を運営。現在、#就職しようの執筆とともに、転職・就職などHR領域に関するサービスを多数展開中。 ・執筆者の詳しい経歴はコチラ
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