【派遣のプロが教える】派遣の仕事を契約途中で辞めることは可能?やむを得ない理由とは?

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「派遣の契約途中で辞めることは可能なの?」
このような疑問を抱えていませんか?

派遣会社に長年勤務をして、現在は転職エージェントである「#就職しよう」の中塚が、派遣の契約途中での退職について解説します。

この記事があなたのお役に立てば幸いです。

丸山社会保険労務士事務所丸山様
<アドバイザー>
社会保険労務士
丸山社会保険労務士事務所

所長 丸山 直也
(2022年4月執筆)

社会保険労務士・キャリアコンサルタント・ファイナンシャルプランナー(AFP/2級)

社会保険労務士事務所勤務後、単身中国上海へ留学、以降上海にて労務コンサルタント、法務アドバイザーなどを日系企業に提供する。2020年帰国し、丸山社会保険労務士事務所を設立。
現在は人事制度設計、人事労務コンサルタントなど中国進出企業への労務サポートを含め、中小企業に『迅速』『法令順守』『価値の創造』を意識した労務サービスを提供している。

個人向け相談会などのカウンセリング・コンサルタントと企業再編プロジェクトのマネジメント経験を活かし、生活・お金・仕事を軸にしたカウンセリング業務及びプランニングなどの業務を行っている。

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派遣の契約期間中だけど途中で辞めることは可能?

派遣社員は一般的には有期労働契約(一定期間の雇用契約を定めた雇用契約)であるため、原則として契約期間中に退職することはできません。ただし「やむを得ない理由がある場合」、または1年を超える労働契約を締結し、労働契約の初日から1年を超えたものは契約期間の途中でも退職することが可能です。

やむを得ない理由とは主に以下の通りです。

  • 事故や病気のため就業継続が困難になった場合
  • ご家族の介護などご家庭の事情により就業継続が困難になった場合
  • 急な引っ越しが決まった場合
  • 事前に聞いていた業務内容や待遇と実情が大きく異なる場合
  • 派遣先企業でパワハラやセクハラの被害を受けた場合

いずれの理由の場合も、まずは派遣会社の担当者に「派遣の仕事の継続が難しくなったこと」を伝え、今後どのようにしていくか相談する必要があります。

また、「正社員への転職が成功したので派遣の仕事を途中で辞めたい」という場合もありますが、そういった理由での退職は派遣先企業と派遣会社の双方に迷惑を掛けてしまいます。

派遣の就業期間は3ヶ月、6ヶ月とあらかじめ定められているため、できれば契約満了日まで就業して、その後転職先の企業に入社できるよう入社日の調整をすることをおすすめします。

派遣の契約途中で辞める時の流れや手順は?

派遣の仕事を契約途中で辞める時の手順は以下の通りです。

【①派遣会社の担当者に相談する】
  • 派遣の契約途中で辞めたくなった場合は、まず派遣会社の営業担当に相談してください。
  • 派遣社員の雇用主は派遣会社なので、仕事に関する悩みは基本的にまずは派遣会社に相談することになります。派遣会社に相談せずに自分から派遣先企業に退職の相談をしてしまうと、話がこじれたり、トラブルに繋がったりする可能性もあります。
  • また、派遣先企業には派遣会社から契約終了の旨を伝えてくれます。
【②派遣会社の担当者が契約終了の手続きを進める】
  • 退職することが決定したら、派遣会社の担当者が契約終了の手続きを進めてくれます。
  • 派遣会社から書類にサインや捺印を求められることもありますので、メールや郵便物など退職の手続きに関する連絡を見落とさないように注意しましょう。
  • また、契約途中の退職は、派遣先企業にも迷惑を掛けることになるので、派遣先企業の上司や同僚などお世話になっている方には自分から挨拶をすることもおすすめします。
丸山社会保険労務士事務所丸山様 社会保険労務士 丸山直也のアドバイス!
退職前には就業規則を確認したうえで、派遣会社にわからないことなどを含め、相談しましょう。特に退職後に転職先が決まっていないなどの場合は、離職票の発行を申請しておくとよいでしょう。

離職票は従業員からの申出により、事業主は発行すればよいとされています。離職票は退職後に雇用保険基本手当の受給に必要な書類となり、また国民年金保険料の免除申請において退職時の特例免除申請に必要な書類でもあるため、退職後新たな就業先を探すために転職活動をする場合には必要な書類といえるでしょう。
また、すでに就業期間が6カ月を超え有給休暇の権利を取得している場合は、有給に関する内容等を事前に派遣会社と協議しておくことをお勧めいたします。

従業員には退職日までに有給を使用する権利があります。残された期間で有給を使用する場合に、日程に余裕がないと使用者側の時季変更権を行使する期間が残されていないこととなります。業務によっては引継ぎなど時間を必要とすることからトラブルの原因となりますので、こういったことを前提に事前に従業員側の権利行使についても協議する時間を設けることが重要です。
(2022年4月執筆)

派遣の仕事を契約途中で辞める場合、申し出からどれくらいで辞めることができる?

派遣の仕事を契約途中で辞める際、派遣会社に退職の意思を伝えてから実際に退職日までの期間は、辞める理由や双方の都合によって異なります。

一般的には、後任の手配や引継ぎなどのために1ヵ月程度の期間が必要となる場合が多いです。

ただし、パワハラやセクハラなど派遣先企業でのトラブルが理由で退職したい場合は、即日退職が可能な場合もあります。

また、「急な引っ越し」や「ご家庭の都合」で退職を希望する場合は、派遣会社や派遣先企業と相談の上、なるべく派遣先企業に迷惑の掛からないタイミングで退職となる場合が多いです。

派遣の仕事を契約途中で辞める場合、派遣社員は損害賠償や違約金を請求されるの?

派遣の契約途中で辞めても、派遣社員が派遣会社や派遣先企業から損害賠償や違約金を請求されることはありません。

労働基準法で、「労働契約が不履行になっても違約金や損害賠償を予定する契約をしてはらない」と定められています。

第二章 労働契約
(賠償予定の禁止)
第十六条 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。
厚生労働省-e-GOV法令検索-労働基準法

ただし、注意が必要なのは損害賠償請求そのものを禁止しているのではないということです。従業員が重大な過失により使用者に損害を与えた場合などは損害賠償請求が認められることもあります。

丸山社会保険労務士事務所丸山様 社会保険労務士 丸山直也のアドバイス!
もしも派遣社員が悪質な派遣会社から、損害賠償や違約金を請求されてしまった場合、基本的には公的機関である「総合労働相談コーナー」に相談するのがよいでしょう。無料で相談でき、女性相談員を配置している都道府県もあり、ひろく労働相談内容をカバーしてくれている窓口と言えます。

民間機構では、労働組合・地域ユニオン・個人ユニオンやNPO団体があります。無料での電話相談を実施しているところもあります。中には加入の必要性や組合費の支払等が必要な場合もありますので注意が必要です。

また弁護士や社労士が参加する無料相談会などが、市役所や日本労働組合総連合組合で開催されていますので、そういった情報も確認してみるとよいかもしれません。
(2022年4月執筆)

派遣の契約途中で辞めた場合は、雇用保険(失業手当)を受取ることができるの?

派遣の契約途中で辞めた場合も、雇用保険の受給資格を満たしている場合は受給が可能です。

また、契約途中で退職する場合は「自己都合」となるため通常3ヶ月と7日の待期期間が発生しますが、退職理由が派遣先企業のパワハラやセクハラなどが原因であれば「会社都合退職」となり、雇用保険の待機期間は7日となります。

雇用保険の基本手当の受給要件は以下の通りです。

雇用保険の基本手当(失業手当)の受給要件は、下記①~③を満たす必要があります。

  1. 基本的に、離職の日(退職日)以前の2年間に被保険者期間が通算して12カ月以上ある
  2. 公共職業安定所に離職票を提出し、「求職の申込み」をする
  3. 失業状態である認定「失業認定」を受ける

ただし、退職理由が「自己都合」の場合は、雇用保険を受け取るまでに7日の待期期間と最長3カ月の給付制限期間を満たす必要があります。また、「会社都合退職」の場合は7日の待期期間のみとなります。

基本手当の給付日数は、基本的に被保険者期間1年で【90日分】、10年以上【120日】、20年以上【150日】となります。また退職理由に基づき特定受給資格者、特定理由離職者に該当する場合、基本手当の給付日数が通常より加算されることとなります。

特定受給資格者とは、派遣先企業のパワハラやセクハラ、あるいは事業主から直接もしくは間接に退職勧奨を受けた(早期退職優遇制度等に応募する場合を除く)ことにより離職したもの等が該当します。特定理由離職者とは特定受給資格者以外のもので期間の定めのある労働契約が更新されなかったこと、その他やむを得ない理由により離職したものが該当します。

これらの受給資格者及び就職困難者に該当する場合、従業員の年齢と被保険者期間に基づき90日~360日の給付日数が決定されます。

丸山社会保険労務士事務所丸山様 社会保険労務士 丸山直也のアドバイス!
雇用保険手続きでは、まずは条件を確認したうえ、離職票の申請をし、受け取ったら退職事由を確認しておきましょう。会社都合であるにも関わらず、自己都合と記載されてしまった場合、給付制限期間の3カ月が発生してしまい、かつ正当な給付日数の受給ができないこととなります。

事業主の側としては会社都合による退職者が自社から出た場合、雇用関連の助成金申請が受給できなくなる、または一定期間申請できない場合があるため、あえて自己都合と悪意で記載する場合があることを労働者側でも理解しておく必要があります。

そのため、退職時には退職届で退職事由を明確にしておくか、労使納得のできる退職理由証明書の交付を求め、ハローワークに書類を提出する前にしっかりと離職票の内容を確認しておく必要があります。
(2022年4月執筆)

派遣の契約途中で辞めた場合は、給料の支払いはどうなるの?

派遣の契約途中で辞めた場合でも、就業した分の給与は支払われます。

ただし、「いきなり仕事に行くのを辞める」など、必要な手続きを踏まずに退職した場合は、タイムカードの確認や給与の計算に時間がかかり、通常の給料日よりも支給が遅れる可能性があります。

派遣会社と派遣先企業にも迷惑を掛けてしまうので、派遣の仕事を途中で辞める際は、手順を踏んで退職することをおすすめします。

派遣の契約途中で辞めたい場合でも引き止められて辞めさせてもらえないときは?

「派遣の仕事を退職したい」と派遣会社の担当者に相談しても引き止められる場合もあります。その際は、派遣会社の担当者の上司にあたる方や、派遣会社の相談窓口などに問い合わせるとよいでしょう。

また、派遣先企業の上司などが退職を引き止めてくる場合は、派遣会社に相談しましょう。派遣会社に相談することによって派遣先企業に掛け合ってくれます。

派遣会社の対応が悪質で、どうしても辞めさせてくれない場合は、最寄りの労働基準監督署に相談をすることをおすすめします。

全国の労働基準監督署の所在地は下記リンクに掲載されています。
お住いの地域のお近くの労働基準監督署についてご確認ください。
【外部リンク】全国労働基準監督署の所在案内(厚生労働省)

丸山社会保険労務士事務所丸山様 社会保険労務士 丸山直也のアドバイス!
まずは意思表示の手段を「退職願」によるものか「退職届」によるものかを理解しておく必要があります。「退職願」であればあくまで合意での解除が前提なので、使用者の側に引き止める余地があると理解できます。「やむを得ない事由」で退職するのであれば、一方的な退職の通知とする「退職届」を提出したうえで、退職事由を明確にし通知しておきましょう。

辞職を拒否される場合は内容証明を使用して退職の通知をすることも考える、またPDF等を添付してメールで発送するのでもよいでしょう。やむを得ない事由での退職が確定し法的要件を充足しているのであれば、まずは強い退職の意思表示を通知しておくことが大切です。

それでも難しい場合は、上記記載の公的・民間機関に相談することに加え、弁護士への依頼も考える必要があるかもしれません。
退職代行サービスや他の士業を使用する場合に注意が必要となるのが依頼内容に交渉等の「非弁行為」が含まれるかどうかです。「非弁行為」は弁護士に認められている行為のため、労働者の金銭的権利を含めて企業と対等に交渉をおこなえるのは基本的に弁護士のみとなります。
できれば労働者の金銭請求権についても詳しい労働法専門の弁護士に依頼するのがよいでしょう。
(2022年4月執筆)

病気やケガが理由で派遣の仕事を辞めるときは診断書が必要?

病気やケガが理由で派遣の仕事の就業継続が困難になり退職する場合、診断書の提出が必要となるわけではありません。

法律上は「病気やケガが理由で退職する場合は、必ず診断書を提出しなければならない」という決まりはありません。

ただし、派遣会社によっては、就業規則や契約書の中に「退職する場合の診断書の提出義務」について明記している場合があります。その場合は診断書の提出をする必要があります。

丸山社会保険労務士事務所丸山様 社会保険労務士 丸山直也のアドバイス!
メンタル不調に関する内容について従業員から診断書の提出を拒否されることがありますが、その必要性があるとすれば、当該事由が事故や病気のため就業継続が困難になったことによる退職である場合があげられます。この場合有期雇用の労働契約解除であっても即時解除が可能となるので、証明書類として診断書を提出することが重要であると考えます。

また退職後に雇用保険の基本手当を受給しようとする場合に特定理由離職者に該当する要件として、「体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、触覚の減退等により離職した者」の要件があります。その場合公共職業安定所は上記症状に関する医師の診断書を判断材料として事実確認を行うため、派遣会社に相談の上準備をしておくことをお勧めします。

また派遣先との関係において、当該診断書などの個人情報が派遣先に共有されないように適切に管理されているか事前に確認することも重要です。派遣会社は従業員等から個人情報管理の措置について説明を求められた場合は、その内容を説明する義務をおっており、派遣会社が派遣先に提供できる個人情報は、氏名・性別・社会保険などの加入の有無などのほか、業務遂行能力に関する情報に限られています。また本人の同意も必要であることが前提です。
(2022年4月執筆)

派遣の契約途中で辞めた場合は、履歴書にどう書いたらいいの?

派遣の契約途中で辞めた理由が「自己都合」の場合は、履歴書には「一身上の都合により退職」と記載します。

退職理由が「引っ越し」や「家族の介護のため」といったやむを得ない理由がある場合は、履歴書に記載したり、面接の際に口頭で伝えることも可能です。

わずかな期間で派遣の仕事を退職している場合は、「すぐに仕事を辞めてしまうタイプの人なのかな?」と面接官に悪い印象を与えてしまう可能性もあるため、可能であれば派遣契約期間満了のタイミングでの退職をおすすめします。

派遣の仕事を辞めたい場合、派遣会社にメールで連絡してもいい?

派遣会社の担当者に退職の相談をする場合は、メールよりも直接会って伝える、または電話連絡が望ましいです。

メールで一方的に「辞めたいです」と希望を伝えるだけでは、退職の理由がわからず、今後についての相談が進みません。

対面や電話で、具体的な退職を希望する理由や、いつ頃退職したいかなどを伝え、今後どのように動いていけばいいのかを相談することをおすすめします。

また、派遣先企業の仕事に関して悩みや不満があり退職したくなった場合は、「今の職場が嫌なので辞めたいです」といきなり伝えるのではなく、仕事に関する悩みや不満が発生した段階で派遣会社の担当者に「職場の●●について悩んでいる」といった内容を事前に相談することをおすすめします。

悩みの解消に繋がるアドバイスをくれたり、派遣先企業でのトラブルが解決するように働きかけてくれる担当者もいます。

まとめ

この記事をまとめると、
派遣の契約途中で辞めたくなった場合、やむを得ない理由があるときは退職することが可能です。

病気、事故、引っ越し、ご家族の介護などの事情により就業継続が困難な場合や、派遣先企業でのパワハラやセクハラの被害に遭った場合など、正当な理由があれば退職は可能です。

ただし、派遣の契約途中で辞める場合はさまざまなデメリットが生じてしまうので、可能であれば契約期間満了のタイミングでの退職をおすすめします。

また、「仕事をする上で悩みがある…」「職場で問題が発生した…」など何か問題が発生した場合は、派遣会社の担当者に相談をおすすめします。派遣先企業でトラブルがあった場合は、派遣会社の担当者が派遣先企業に掛け合いトラブルの解決に向けて動いてくれます。

労務トラブルの予防は、人事担当者や管理をするものとのコミュニケーションをとっておくことが一番の予防になります。普段からあいさつや声かけができる関係づくりを心掛け、信頼関係を築いておきましょう。

この記事があなたの転職活動のお役に立てば幸いです。

この記事の執筆者
「法人派遣マッチング」ならびに
転職エージェント「♯就職しよう」運営
株式会社アドバンスフロー 代表取締役 中塚 章浩

大手人材サービス会社在籍で2,000名以上の就業に携わり、
「自分に合った派遣会社や人材紹介会社を選ぶ重要性」 を肌で感じてきました。この記事の執筆を通して、派遣会社や人材紹介会社を選ぶ際のミスマッチを少しでも解消できればと思っています。
現在、派遣会社と企業をつなぐ「法人派遣マッチング」と求職者と企業をつなぐ「転職エージェントサービス」を運営しており、それらから得られる最新情報をお伝えするべく、随時、記事の編集や更新も行っています。

経歴
パーソルテンプスタッフ株式会社に在籍後、2010年に株式会社アドバンスフローを設立し、求職者向け情報サイト「♯就職しよう」を運営。現在、#就職しようの執筆とともに、転職・就職などHR領域に関するサービスを多数展開中。 ・執筆者の詳しい経歴はコチラ
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