【派遣のプロが教える】派遣契約と業務委託契約の違いは?

「派遣と業務委託ってなに?」
「派遣と業務委託って違うものなの?」

と思っていませんか。

派遣会社に長年勤務をして、現在は転職エージェントである「#就職しよう」の中塚が、派遣と業務委託について解説します。

派遣と業務委託の違いについて気になっていた方に、この記事が少しでも役に立てば幸いです。

目次

そもそも派遣契約・業務委託契約とは?

そもそも派遣契約・業務委託契約は、業務負荷の増加や社員不足と言った理由で、外部のサービス事業者の手を借りることで業務を滞りなく進める手段の一つです。

派遣契約と業務委託契約はとても混同しやすく、理解が浅いままでいると知らないうちに違法状態になってしまうこともあります。

1.派遣契約とは?

派遣契約とは、派遣会社と雇用関係にある社員(派遣社員)を派遣先企業に派遣し、派遣先企業からの指揮命令を受けて業務を行わせる契約です。

つまり、派遣社員は派遣先企業の社員から細かく仕事の指示を受けて、あたかも社員の一人かのように仕事を行うことになります。

派遣契約は、大きく分けると以下の3種類がよく知られています。

  1. 一般派遣契約
  2. 特定派遣契約
  3. 紹介予定派遣契約
1-1.一般派遣契約

一般派遣契約とは、後に解説する「特定派遣契約以外の派遣契約」のことです。

オフィスでの事務作業や、工場での組み立て作業、物流拠点での仕分け作業といった専門性を伴わない業務内容の派遣契約を指します。

また、一般派遣契約には「派遣期間は3年まで」と制限されていることも特徴です。

このため、一般派遣契約における派遣会社と派遣社員の雇用関係は「有期雇用」とも呼ばれており、派遣契約中だけ雇用関係が生じる期間限定の雇用となっています。

なお、平成27年の法改正で一般派遣という分類・呼び方はすでに廃止されています。しかしながら長く使われた分類だったこともあり、当時の呼び方が現在も慣習として根強く残っています。

1-2.特定派遣契約

特定派遣契約も前述の「一般派遣契約」と同じく、平成27年度の労働者派遣法改正まで使われた派遣契約の分類の一つです。

特定派遣契約で行うのは、厚生労働省によって「専門性が高い」と指定された業務です。例えば、エンジニア(ソフトウェア開発、機械設計、研究開発等)、翻訳・通訳、デモンストレーション、アナウンサーなど、合計26業種が対象です。

特定派遣契約は一般派遣とは異なり3年という派遣期間の制限がなく、同じ職場で長期間働くことが可能でした。現在は有期雇用である限り、業種に関係なく3年の派遣期間制限が設けられています。

1-3.紹介予定派遣契約

紹介予定派遣は、派遣先企業で派遣社員として就業スタートし、数ヶ月の期間を経てから正社員などの直接雇用に登用されるという契約です。

最長6ヶ月間の派遣期間を通して、派遣先企業と派遣社員の双方合意のもとに社員登用されます。

派遣として数ヶ月働いてから正社員や契約社員として就業することになるため、入社後のミスマッチが起こりづらい点がメリットです。ゆくゆくは正社員や契約社員を目指したいと考えている人から、選ばれることが多い働き方でもあります。

2. 業務委託契約とは?

業務委託契約とは、社内業務を外部委託する契約を指しています。

自社で対応できない専門的な業務を任せたい場合や、社内の業務工数を削減したい場合などに利用します。簡潔にいうと「ある範囲の仕事を丸ごと社外に任せる」ということになります。

業務委託契約は、以下の2つに分類されます。

  1. 請負契約
  2. 委任契約
2-1.請負契約

請負契約は企業がアウトソーシングなどで外部の人間に仕事を依頼し、契約した内容の仕事を遂行・完成させ、最終納品するまでを約束する契約です。

発注した方は完成した仕事や納品物に報酬を支払うことになり、完成品を納品し、問題ないと発注した方からお墨付きをもらうまでが請負契約での仕事となります。

例えば、以下のような仕事が請負契約になります。

  • 住宅建築
  • ソフトウェア開発
  • デザイン制作
2-2.委任契約

「委任契約」とは、法律行為に該当する仕事を社外にアウトソーシングし、受注者側は業務の遂行を約束するという契約です。

(委任)
第六百四十三条 委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。

引用元:e-GOV法令検索「民法(明治二十九年法律第八十九号)」

委任契約は、請負契約のように「仕事の完成」に対する義務は負いません。

あくまで仕事(法律行為)を行うところまでを約束する契約であり、結果を保証するという契約ではありません。

例えば、以下のような事項が委任契約になります。

  • 弁護士に訴訟代行を依頼する
  • 不動産業者に自分の土地売却を依頼する

上記の例を題材にすると、「確実に裁判に勝つ」「土地売却が望み通りの価格で行われる」という結果の約束はできませんので、請負契約ではなく委任契約が適切であるということです。

また、委任契約の一種として「準委任契約」も頻繁に利用される契約です。

準委任契約は、法律行為とは関係ない業務を依頼する契約であり、以下のような事項が準委任に当てはまります。

  • ビル清掃を清掃業者に依頼する
  • Webサイトの保守管理を依頼する

派遣契約と業務委託契約ではどのような違いがあるの?

派遣契約と業務委託契約の最大の違いは、発注者側が指揮命令をできるかどうかという点です。

派遣契約では、発注者である派遣先企業が指揮命令権を持っているため、派遣先企業の社員が派遣社員に細かく仕事の指示を出せます。

一方で業務委託契約では、受注者側は依頼された仕事を完了・納品することが責務であり、発注者側に指揮命令権がありません。仕事のやり方について発注者が逐一指示を出すことができず、受注した業者側としても自らの判断で業務遂行しなければなりません。

派遣契約と業務委託契約は求職者側からみたメリットとは?

派遣契約と業務委託契約は「外部の力を借りて業務を進める」という点では一緒ですが、働き手である労働者にとっては以下のようなメリットの違いがあります。

1.派遣契約のメリット

求職者にとって派遣契約は以下のメリットがあります。

  1. ライフスタイルに合わせて仕事が選べる
  2. 得意分野や経験を活かすことができる
  3. さまざまな職場で経験を積める
1-1.ライフスタイルに合わせて仕事が選べる

派遣契約の仕事は、自分の好みの条件で仕事を選ぶことが可能です。

派遣では、勤務地や勤務日数、職種、仕事内容など様々な条件に合った求人が豊富にあります。

残業なしでゆるく働きたい人も、チャレンジングな仕事でスキルアップしたい、収入を増やしたいという人も、希望に沿った派遣求人を選ぶことができます。

1-2.得意分野や経験を活かすことができる

派遣契約の仕事は、自分の得意分野や経験が活かせる仕事を見つけることが可能です。

派遣契約においては、仕事内容が派遣個別契約書で明示されます。

つまり、派遣求人さえ見つかれば、自分がこれまで経験してきて得意だと思っている仕事を探していくと、その業務に長く集中して就くことが可能ということです。

1-3.さまざまな職場で経験を積める

派遣契約の仕事は、さまざまな職場で経験を積める可能性があります。

本来正社員として入社するのが困難な大手企業や人気企業も、派遣社員を多く活用しています。

それらの企業で身につけられるスキル・経験は、求職者のキャリアにとって大きな財産となり得ます。例えばメーカー企業の研究職であれば、独自のノウハウや技術力を身につけることができるでしょう。

事務派遣においても、デジタル化が進んだ環境で効率の良い業務の進め方を覚える機会に恵まれる可能性もあります。

2.業務委託契約のメリット

求職者にとって業務委託契約は以下のメリットがあります。

  1. 契約期間の制限がない
  2. 自社内で雇用条件や働き方を相談して決められる
  3. 専門業務に集中でき、スキルの向上につながる
2-1.契約期間の制限がない

業務委託契約では、発注者から仕事が継続受注し続けられれば、何年でも同じ環境で仕事を続けることができます。

派遣契約の「3年ルール」のように契約期間の制限がありません。

実際に、発注者には「派遣社員は育てても3年でいなくなってしまうから、請負と長く付き合いたい」という考える方はとても多いのです。

2-2.自社内で雇用条件や働き方を相談して決められる

業務委託契約では、仕事を受注した自社(自分)が業務の進め方を自由に決めることができます。

例えば、自分一人で受注したのであれば、ほぼ完全に自分の都合で仕事時間や場所を決められます。企業で受注したのであれば、どの社員が何名で行うのか、誰がどの仕事を担当するのかも自社の都合で決められます。

2-3.収入を増やすことができる

業務委託契約では、派遣以上に収入を増やしやすいというメリットがあります。

自分でスケジュールを組み、成果を提供することが使命であることから派遣以上に責任が大きく、その分だけ支払われる報酬が大きくなりやすいのです。

派遣社員から業務委託へ切り替えることってあるの?

派遣社員から業務委託へ切り替えることは、実際に多く行われています。

切り替えられる経緯としては、以下の2つのパターンがあります。

  1. 派遣先企業から打診されて業務委託契約に切り替える
  2. 派遣元の自社から打診して業務委託契約に切り替える

1.派遣先企業から打診されて業務委託契約に切り替える

派遣先企業から打診されて業務委託に切り替える場合、最も多いのは「派遣先企業で逐一指示をするのが手間だから」という理由です。

ITエンジニアで言うならば、「このプログラムは御社で納期までに完成させて納品させてください」と任せることになります。

派遣先企業としては派遣社員一人一人のスキルやスケジュールを把握する手間から解放されるため、派遣から業務委託に切り替えたいと考えるのです。

2.派遣会社から打診して業務委託契約に切り替える

派遣会社から派遣先企業に打診して業務委託契約に切り替えを打診するとき、最も多いのは「新入社員や未経験者を自社リーダーに教育させたいから」と言う理由です。

派遣先企業の社員が派遣社員に懇切丁寧に指導してくれることはほとんどなく、ITエンジニアを例にするとマニュアルに沿った動作テストや、簡単なプログラムの小変更などが派遣社員に任されやすいのです。

派遣会社にとってみると、業務委託契約に切り替えられれば業務を通して自社内で教育を施せるチーム体制が作れるため、切り替えを打診するのです。

派遣社員から業務委託へ切り替えを希望することはできるの?

派遣会社がどういう業態の企業なのかによって、切り替えの可能性は大きく異なります。

派遣ビジネス主体の企業では、業務委託への切り替えが難しいのが現状です。

業務委託では「完成物の納品」という責務が伴い大きなリスクになりますから、派遣会社・派遣先企業双方とも慎重にならざるを得ません。

ただし、業務委託ビジネス主体の企業では切り替えやすい傾向があります。

人手不足や想定外のトラブルに陥っているチームは自社内にありふれているはずですから、派遣社員が希望すれば簡単に叶うということです。また、顧客が求めるから仕方なく派遣もやっているが本音は委託だけやりたいと考えているケースも多いです。

派遣社員から業務委託へ切り替えする派遣会社と派遣先企業のメリット・デメリットは?

派遣社員から業務委託への切り替えには、「指揮命令権があるかないか」と「成果物への責任があるかないか」が焦点になります。

1-1.業務委託への切り替えによる派遣会社側のメリット

派遣会社にとってのメリットは、大きく以下の3ポイントです。

  1. 業務の進め方を自社でコントロールできるようになる
  2. 派遣よりも大きな売り上げ利益が得られる可能性が高い
  3. 自社に業務遂行のためのノウハウ・スキルが蓄積される

業務の進め方を自社でコントロールできるようになるのは非常に大きなメリットです。

自社で自由にメンバーを入れ替えられるため、社員の教育ローテーションを組んだり、休職明けや時短希望の社員をあてがいやすくなります。

他にも、責任が増えることから売り上げ利益が派遣以上に増やせる可能性もあり、苦労の分だけメリットが得られると言うことになります。

1-2.業務委託への切り替えによる派遣会社側のデメリット

一方、業務委託へ切り替えることで派遣会社側には以下のデメリットも生じます。

  1. 派遣契約以上に大きな責任(リスク)が伴う
  2. 社内スペースや必要設備の準備が必要になる
  3. 売上・利益の管理が派遣契約より複雑になる

業務委託契約の中でも、成果物に対する責任を負うことになる「請負契約」を結んだ場合、契約した内容は確実に遂行しなければなりません。

万が一、自社の手に負えない契約をしてしまい、後から破棄するような事態になれば今後の取引継続は絶望的と言えるでしょう。

技術系の派遣会社の場合ですと、派遣では必要なかった自社の開発スペースや高額な実験設備が必要となり、初期投資がかさむことも想定されます。

2-1.業務委託への切り替えによる派遣先企業側のメリット

派遣先企業側にとってのメリットは、大きく以下の3ポイントです。

  1. 必要な時にだけ仕事を依頼できる
  2. 派遣3年ルールを気にしなくてよくなる
  3. 社員を本当に必要なコア業務だけに集中させられる

業務委託に切り替えることによって、必要な時にだけ仕事をイラできるようになり、結果としてコスト削減になる可能性があります。

派遣であれば常に時給単価分の料金がかかりますから、業務量の波が大きい派遣先では大きな効果が出ます。

また、派遣3年ルールから解放されるため、教育コストが無駄にならず安定した業務遂行が可能になります。

2-2.業務委託への切り替えによる派遣先企業側のデメリット

派遣先企業側にとってのデメリットは以下の2つです。

  1. 細かい業務指示や指導ができなくなる
  2. 派遣元に業務を行う能力や人材が足りないと、業務が止まってしまう

業務委託契約では、派遣契約のような「指揮命令権」を発注者が持てません。指揮命令ができないため、依頼事項にちょっとした変更があったり、進捗に不満があった場合にも細かく口出しをすることができなくなります。

また、自社で業務を完結させられる能力のある派遣会社でなかった場合、任せたはいいものの依頼した仕事が進まず、業務全体がストップしてしまう恐れがあります。

派遣契約と出向の違いは?

派遣契約と「出向」の違いは、相手方と雇用関係が成立しているかどうかと言う点で異なります。

まず派遣契約においては、派遣社員は派遣会社に雇用されており、派遣先企業の指揮下で業務に従事します。

一方の出向では、出向者は出向先の企業と新たに労働契約を結び、雇用関係を成立させることになります。業務の指揮命令に関しても出向先の会社が行い、あたかも出向先の社員になったかのような状態が生まれます。

また、出向においては派遣3年ルールのように法的な期間制限がなく、場合によっては10年以上の長期出向になると言う点も派遣契約との大きな違いです。

まとめ

この記事をまとめると、

今回の記事では、「派遣契約と業務委託契約の違い」について解説してきました。

混同しやすく、実際に現場で管理していても知らず知らずのうち違法行為になってしまいかねない、慎重姿勢が必要な契約です。

しかしながら、違いを理解して上手に活用できれば、派遣会社と派遣先企業双方にとって有益で強固な取引が生まれる可能性を秘めています。社内の法務部門にも協力を仰ぎ、適切な運用を行っていくことが鍵となるでしょう。

この記事があなたの転職活動の役に立てば幸いです。

最初にチェック!

おすすめ派遣会社「スタッフサービス」

業界最大級の求人数!幅広い職種対応!
スタッフサービスは、事務やコールセンターなど幅広い職種に対応した業界大手の派遣会社です。

豊富な求人数と実績から、派遣で働きたい方の希望に合った派遣求人を紹介しています。派遣会社を探すなら、まずは「スタッフサービス」に登録することをおすすめします。

PR