株式会社アドバンスフロー 代表取締役
中塚 章浩
著書「面接の疑問 Q&A」・Twitter
パーソルテンプスタッフ株式会社に約6年在籍し、現在は派遣会社「株式会社アドバンスフロー」の代表取締役。
のべ約2,000名もの転職支援を行い、求職者が希望する仕事を得られるよう尽力。人材業界16年の経験から「派遣はしっかりとした情報が得られれば得られるほど、理想の職場を見つけられる」と確信し、多くの人が情報を得られるよう、記事の監修も行う。
「派遣事務に応募してもなかなか決まらないのはなぜ?」
「自分の何が問題なの?どうすれば採用されるのだろう?」
と困っていませんか。
安心してください!この記事では、派遣事務に採用されない理由とその対策について詳しく解説しているので、最後まで読んでいただければ疑問や悩みを解消することができます!
派遣社員を7年経験した私。「派遣事務に求められる資質」や「採用されない理由」「採用に必要な対策」について詳しく解説いたします!
派遣事務として頑張ろうと意気込む皆さんの希望が叶うことを祈っています。
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目次
派遣事務への転職が決まらない5つの理由
事務の仕事は求人も多く、仕事も簡単そうなイメージがあるので、すぐ仕事が決まると考える人が多いものです。
しかし、事務職を求めている採用側は、誰でもいいから雇いたいと思っているわけではありません。
なぜ、事務への転職が決まらないのか。その理由の多くは、事務という仕事に対する考え方が甘さにあります。ここをよく把握しておきましょう。
自己分析が足りない
転職する際には、仕事への意欲を見せなければなかなか採用されません。「自分が何をしたいのか」「自分には何ができるのか」などを明確に示せないと、採用につながらないのです。
採用側は人を見るプロですので、やる気のない人は採用しません。「なんとなく楽そうだから」「今の仕事が嫌だから」など曖昧で後ろ向きな理由で事務を選んでいる場合、その考えは間違いなく相手に見透かされます。
ちゃんと自己分析し、事務の仕事にどんな魅力を感じているかを考えれば、自然と意欲も出てくるはずです。さらに、自分のどんなスキルが事務に活かせるかもアピールできれば、採用側は「意欲をもって働いてくれる人だ」と認めてくれるでしょう。
事務の経験がない、または少ない
事務職を求める職場は、即戦力となる人材を求めている場合が多いです。そのため、事務の経験がなかったり少なかったりする人は、なかなか採用されないでしょう。
事務の仕事は日々発生するものなので、テキパキと処理をしなければ業務が積み上がってしまいます。すばやく事務処理ができる人を雇わないと、職場全体の仕事も滞ってしまうのです。
特に、事務の経験がまったくない人は、求人票に「未経験可」「初心者歓迎」などと明記されている会社を探し、ハードルを低くして面接に臨むと良いでしょう。
外見に問題がある
事務職は来訪者の受け入れやお茶出しを担当することがあるため、相手に不快な思いをさせてしまうような外見の人は、採用されない可能性があります。
例えば、会社を来訪した際に「身だしなみに清潔感がない」「髪色やメイクが派手すぎる」といった人に対応をされたら、不愉快に感じる人は多いでしょう。そうなれば、会社に対するイメージが悪くなる可能性だってあります。
見た目に関しては、自分では大丈夫と思っても、他人を不快にさせることがあるものです。家族や友人などに身だしなみをチェックしてもらってから、面接を受けるようにしてみましょう。
結婚や出産の適齢期である
事務職を求める職場では、できるだけ長く働いてくれる人材を求めていることがほとんどです。そのため、雇ってすぐに辞めてしまう可能性がある人は、採用されにくい傾向にあります。
女性の場合、結婚や出産を機に退職することがあります。そうなると、会社側は新しい事務職を探したり教育したりしなくてはならず、手間やコストがかかってしまうのです。
そうした事態を避けるため、「結婚と出産を控えた人は採用したくない」というのが会社の本音です。それを踏まえた上で、近く結婚や出産をする可能性のある人は、仕事への意欲を前面に出して上手に答えるようにしましょう。
事務に関するスキルが身についていない
PCスキルや電話対応をはじめとして、事務には幅広いスキルが必要となります。そうしたスキルが身についていない人は、事務職に採用される可能性は低いでしょう。
事務に関するスキルから教えるとなると、周りの社員にかかる負担は大きくなり、通常業務が滞ってしまうからです。自分の仕事に加えて基礎的なことから教える余裕のある会社は、そう多くはありません。
必要なスキルについてはインターネットや書籍などで事前に勉強し、ある程度は一人でできるよう準備をしておきましょう。
採用されるためにやるべき4つの対策
事務に採用されない理由がわかり、自分の問題を見つめ直した上で事務職として働きたいと考えるなら、採用されるためにやるべき対策を実践してみましょう。
倍率の低い求人を探す
事務の仕事は思っている以上に倍率が高いため、人気のある会社の事務職に応募しても、よほどのスキルや経験がなければ採用は難しいでしょう。どうしても事務として働きたいのなら、倍率の低い求人を探すのも1つの方法です。
会社が駅から遠い・時給が低め・残業が多いなど、条件で何かしらのマイナスがある会社の求人は、倍率が低くなる傾向があります。ただ、それらのマイナス面は誰からも敬遠されるわけではありません。
もし、「会社がちょっと遠いくらいなら我慢できるな」「このくらい稼げるならいいかな」など、妥協できる条件の求人が見つかったら、どんどん応募すると良いでしょう。
清潔感のある外見を心がける
事務職は社外の人と接することがあるため、採用側としては人から好感を持たれる外見の人を採用したいと考えています。
例えば、髪がボサボサになっていないか、爪が長すぎないか、メイクは派手ではないか、洋服にシワがないか、といった部分がポイントです。
事務職に応募する際には、全身を鏡で見て「不潔に見られる部分がないか」「だらしない部分がないか」などをよくチェックしておきましょう。
年齢不問の仕事から選ぶ
自分の年齢が結婚や出産の適齢期である場合は、求人票に「年齢不問」と明記されているものから仕事を選ぶようにしましょう。
すぐに事務職が欲しい会社は、求人票に「年齢不問」と書いてできるだけ多くの応募を集め、有能な人材を見つけたいと考えているのです。
このような会社を見つけて応募し、自分がどのように会社に貢献できるかをしっかりアピールできれば、年齢に関係なく採用される可能性があります。
事務に活かせるスキルを身につける
事務に活かせるスキルを身につけて自分の強みを作るのが、事務職の採用に近づく手っ取り早い方法です。
具体的なスキルとしては、エクセルやワードの操作を習得したり、簿記の資格を取ったりということが挙げられます。また、事務職の仕事の流れを調べたり、日頃から書類やデータの整理整頓に心がけたりすることも効果的です。
面接の際、事前に色々な準備をしたことを伝え、働く意志とやる気をしっかり見せていきましょう。
派遣の一般事務の年収はどれくらい?
▼【事務係員】平成29年4月分平均支給額
年齢階層 | きまって 支給する給与 |
うち 時間外手当 |
うち 通勤手当 |
---|---|---|---|
~20歳未満 | 193,678円 | 15,127円 | 8,646円 |
20歳以上~24歳未満 | 245,551円 | 28,721円 | 13,388円 |
24歳以上~28歳未満 | 288,573円 | 40,567円 | 13,065円 |
28歳以上~32歳未満 | 319,755円 | 40,482円 | 13,017円 |
32歳以上~36歳未満 | 343,052円 | 44,501円 | 14,109円 |
36歳以上~40歳未満 | 351,238円 | 43,399円 | 14,749円 |
40歳以上~44歳未満 | 347,225円 | 38,370円 | 13,835円 |
44歳以上~48歳未満 | 358,703円 | 38,014円 | 14,885円 |
48歳以上~52歳未満 | 369,065円 | 37,066円 | 12,107円 |
52歳以上~56歳未満 | 373,682円 | 37,249円 | 13,045円 |
56歳以上~ | 372,111円 | 29,392円 | 12,531円 |
平均金額 | 329,430円 | 39,559円 | 13,549円 |
引用:国立国会図書館インターネット資料収集保存事業-国税庁「平成29年職種別民間給与実態調査の結果-表7 職種別、年齢階層別平均支給額」
事務員の給与の平均値は上記のような調査結果となりました。
このデータから、事務員の給与は36歳くらいまでは昇給を見込め、36歳以上になると金額にあまり変動がなくなる傾向にあるといえます。
※注意点※
国税庁のデータは一般事務のほか「営業事務・経理事務・総務事務」などすべての事務職の給与平均値となっています。
一般事務は他の事務職と比べ、専門性を必要としないので基本給が低いため、平均給与はこのデータ上の金額よりも低くなるということを頭に入れておきましょう。
参考 表7 職種別、年齢階層別平均支給額国立国会図書館インターネット資料収集保存事業-民間給与の実態(平成29年職種別民間給与実態調査の結果)-国税庁一般事務の仕事内容は?
一般事務と一言でいっても、その仕事内容は多岐にわたります。企業の規模や業種にもよりますが、主に以下のような仕事があります。
- 受付、接客、電話やメール対応
- 契約書や請求書、ビジネス文書などの作成
- データ入力・集計
- ファイリング作業
- 備品管理や物品購入
- 郵便物の発送手続きや仕分け
- 商品の受注・発注
- 伝票の処理・整理
専門的な仕事はあまりないので単純な作業と思われがちですが、仕事の幅はとても広く、スピードや正確性、コミュニケーション能力といったものが求められます。
職場によっては取引先とのやりとりなど、営業事務の一端や経理関係の事務を任されることもあります。
営業のような華やかさはありませんが、会社の運営を円滑に進めるために欠かせない存在であり、とてもやりがいのある仕事です。
未経験者が派遣事務に採用されるのは難しい?
未経験の方でも派遣社員として「一般事務」の仕事に就くことは可能です。
一般事務の仕事には「専門的な知識や実務経験」を必要としないため、他の事務職と比べ未経験者が目指しやすい職種といえます。
ただし「未経験者」と「経験者」が同じ求人に応募した場合、社内選考などで経験者と比べ未経験者のほうが不利となる可能性があります。
「未経験だけど、事務職の仕事で実績を積みたい!」と考えている場合は、派遣会社の担当者に自分の長所や強みをしっかりアピールし、事務職を強く希望していることを伝えることが大切です。
また、なかなか希望する事務職に就けない場合は、「データ入力」や「事務作業も行うコールセンター」の仕事などの経験を積んで事務職のスキルが実際にどれくらいあるか派遣会社にアピールすることも大切です。
30代以上でも派遣事務の仕事に就くことは可能?
30代以上の方でも派遣事務の仕事に就くことは可能です。
また、派遣先企業によっては、30代・40代以上のベテラン事務員や、スキルが高い方を希望する場合も多いため、応募の際にとくに年齢を気にする必要はありません。
ご自身の年齢について不安がある場合は、事前に派遣会社の担当者に相談することも可能です。
派遣事務は人気が高く採用されにくい?難しい?
正社員、派遣社員などの雇用形態に関わらず、事務職は常に人気が高い職種です。
派遣会社の事務求人も応募が集まりやすく、社内選考などの倍率が高い傾向にあります。
そのため、「なかなか仕事が決まらない」「採用されにくい」と感じる方が多いです。
派遣の仕事に応募するとき志望動機は必要?
派遣の仕事に応募する際は、基本的に「志望動機の作成」は不要です。
なぜならば、派遣社員には「応募書類の作成」や「派遣先企業との採用面接」を行わないからです。
ただし、派遣先企業の担当者と顔合わせを行う際に「この仕事に応募した理由」を質問される可能性はあります。
その際に
「なぜこの求人を希望したのか」
「これまでの経歴で活かせるスキル」
などを簡潔に説明できるように準備をすることをおすすめします。
正社員の採用面接のように、「この仕事に応募した理由」を深く掘り下げられることはあまりありません。
顔合わせの際に「営業職は苦手なため事務職を希望した」「事務職が楽そうだったから希望した」といったネガティブな表現や、その職業を見下すような表現を取らないように気を付けてください。
一般事務の正社員になるには
一般事務の正社員求人は常に人気があり、倍率の高い職種です。
特に近年、企業は一般事務を「正社員」ではなく、雇用期間に定めがある「派遣社員」として採用することが多く、新卒採用・中途採用ともに「正社員」の採用枠が年々減少しています。
そのため、正社員求人は公開されるとすぐに応募が殺到し、期限前に募集を締め切ってしまう企業もあります。
「正社員」として一般事務への転職を考えている方は、
- 新着求人票をこまめにチェックする
- 気になる求人があればすぐに応募できるよう、履歴書や職務経歴書を用意しておく
一方、「派遣社員」は求人数も多く、実務経験がない方でも採用される可能性が高いです。
雇用形態に関わらず「いますぐ一般事務の仕事に就きたい!」と考えている方は派遣社員の求人に応募することをおすすめします。
派遣事務の仕事は新卒や第二新卒でも応募可能?
派遣事務の仕事は新卒や第二新卒でも応募可能です。
一般的に、新卒や第二新卒の方は「正社員」など企業と直接雇用の働き方を選ぶ方が多いですが、なかには新卒や第二新卒で「派遣」という働き方を選ぶ人もいます。
また、事務職の仕事は正社員の求人数が他の職種と比べて少ないため、派遣社員として経験を積みながら正社員を目指す方もいます。
「派遣」という働き方を選んだ目的や事情がある場合は、派遣会社への登録時に派遣会社の担当者に説明するとよいでしょう。
男性が派遣事務の仕事に就くのは可能?厳しい?
男性が派遣会社に登録して事務の仕事に就くのは厳しいのが現状です。なぜならば、派遣事務の求人のほとんどが女性を募集しており、男性からの応募を求めていないからです。
派遣事務の仕事はほとんどが女性向けのため、派遣の世界では女性の職場として認識されています。男性が女性の職場に入り女性向けの仕事をするということはかなりレアケースであり、さまざまな問題が生じるため採用されにくいのです。
1.女性ばかりの職場で肩身が狭い思いをする
派遣事務が何人かいる職場に採用され、自分以外が全て女性であれば色々な面で肩身が狭い思いをする可能性があります。
女性は女性だけの世界を楽しみます。女性は恋愛の話をしたり上司の悪口を言って盛り上がり、ストレスを発散するもの。話の内容が内容だけに、その場に男性がいることを嫌がります。特にランチの輪には男性を入れたくないと考えるのです。
女性に囲まれることが苦痛ではないから大丈夫と自分が思っても、女性達がすんなり受け入れてくれるとは限らないことを理解しておきましょう。
2.秘書的業務を任せにくい
派遣事務の仕事には、来客の受け入れやお茶出し、電話対応などの秘書的業務があり、上司としては男性に頼みにくいと感じるものです。これも男性を派遣事務に採用しにくい理由の1つです。
取引先の会社を訪問したときに、男性からお茶を出されると大抵の人は恐縮します。そのため、取引先に余計な気遣いをさせないためにも秘書的業務は女性に任せたいと考える会社がほとんどなのです。
派遣事務の仕事には秘書や庶務の要素が含まれる業務が多々あり、どれも女性的な仕事で男性には任せにくいものばかりです。そのため、男性の派遣事務は扱いにくいと考え、男性が応募してきても採用を見送ることがあります。
3.高収入が期待できない
派遣事務の給与は時給が1000円前後、月給が16万前後が平均のため、高収入は期待できません。男性としてはある程度の収入を望むと思いますが、派遣事務では自分の生活を支えるのも精一杯となるのが現実です。
派遣事務の仕事内容は比較的簡単なものが多く、勤務時間も短めで残業もほとんどないので、この仕事に見合った給与は決して高くはないのです。
派遣事務の仕事は安い給与で人材を雇いたい会社側の思惑と、給与が安くても空き時間に働きたい女性の思惑がうまく合致した上で存在する仕事です。これが給与が低くても納得して派遣事務で働く女性が多い理由です。
4.周囲から偏見の目で見られる可能性がある
派遣も事務も女性の仕事というイメージが強いため、男性が派遣事務で働くことに対して周囲から偏見の目で見られる可能性があります。
自分がやりたい仕事についてとやかく言われたくないものですが、世の中の常識として男性は定職に就くべきだと考えられているため、どうしても偏見の目で見る人がいるのです。
また、派遣の仕事には更新があり、更新時に契約を打ち切られることもあります。そのため、派遣事務は男性として一生続けられる仕事と捉えてもらえません。さらに仕事内容も男性向けではないイメージがあります。
まとめ
理由があって事務の仕事を選んだのに、何度応募しても仕事が決まらないと心の底から落ち込みますよね。
この記事をまとめると、「事務職で採用されないのには理由がある。それを認めた上で改善すれば、採用をつかむことは十分可能」となります。
事務職に対する意欲があり、事前準備もしていることが面接官に伝われば、採用される可能性は高まることでしょう。この記事が、あなたの就職活動のお役に立てば幸いです。
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