派遣でも退職金がもらえるようになった!? 退職金の仕組みと留意点

「派遣社員として働き続けて、退職金がしっかりともらえるのか心配・・・」

とお悩みではありませんか?

派遣会社に約6年勤務した「#就職しよう」編集部の中塚が、派遣の退職金について解説します。
この記事で、退職後の不安が少しでも解消されれば幸いです。

目次

派遣でも退職金がもらえるの?

正社員と同じく、派遣社員でも退職金がもらえるようになりました。

ここでは、今まで正社員との収入格差が問題となっていた派遣社員に退職金が支払われるようになった理由を解説していきます。

ただ、退職金は全ての企業が取り入れているものではありません。

そのため、派遣先企業や派遣会社によっては退職金を取り入れていない場合もあり、その際は退職金がない点にご注意ください。

正社員と同じく退職金がもらえるようになった理由

派遣社員が退職金をもらえるようになった大きな要因は、2020年4月に行われた厚生労働省による派遣法改正が行われたからです。

法律改正で正社員と派遣社員の賃金格差をなくすための働きとして、同一労働同一賃金が適用されたことにより、退職金の給付が規定されるとともに雇用者に対して義務化されることになりました。

不当な理由で退職金が支払われない時は、労働局に相談することで対処してもらうことも可能です。

派遣社員が退職金をもらえる仕組み

派遣社員でも退職金がもらえるようになったと伝えましたが、勤続年数が3年以上であることが条件となります。

派遣社員が退職金をもらえる制度にはどんなものがあるのか紹介していきます。それぞれの特徴をつかんで、派遣先選びに活用していきましょう。

派遣会社の退職金制度

一般的な派遣会社の退職金制度では、退職金の支給金額や勤続年数などの統計が記載されている、「局長通知」と同等以上の退職金を支払う決まりとなっています。

つまり、派遣社員であっても条件さえ満たしていれば、勤務に見合った退職金が支払われることになります。

退職金前払い制度

退職金前払い制度は、毎月の賃金に含まれて退職金がもらえる仕組みになっています。

前払い制度の退職金では、厚生労働省から毎年通知される水準と同等以上の退職金を支給しなければなりません。

中小企業退職金共済制度

中小企業退職金共済制度は、国によってサポートされている退職金制度です。

派遣会社が中小企業退職金共済に掛け金を支払うことで、派遣社員は中小企業退職金共済から退職金を支払ってもらう形になります。

派遣会社は、厚生労働省から毎年通知される以上の掛け金を納付していくことになります。

派遣先の退職金制度

派遣先の退職金制度に則って退職金の支払いを行ってもらうこの方法では、派遣先がどのような退職金制度を用意しているのか、事前に確認しておく必要があります。

退職金制度自体がなかったり、支給額が低額に設定されていたりすることもあるため、退職金がしっかりと欲しいのであれば、退職金制度のチェックは忘れずに行っておきましょう。

退職金制度のメリット

4つの退職金制度について、どのようなメリットが得られるのかお伝えします。

自分の求める条件に見合った、退職金制度があるかどうかみていきましょう。

派遣会社の退職金制度

派遣会社の退職金制度を利用するメリットには、

  • 勤続年数が長ければ長いほど退職金が増加する
  • 一般退職金制度と同等以上の額が得られる
  • などがあります。

    勤続年数に応じた退職金がもらえると同時に、派遣先の都合などに左右されず一定額以上の金額が支給される部分は、派遣社員にとって大きなメリットとなるでしょう。

    退職金前払い制度

    退職金前払い制度のメリットは、

  • もらえる時給が増える傾向がある
  • 短い派遣期間でも前払いで退職金がもらえる
  • 退職後ではなく、毎月の給料支払時に退職金が含まれる前払い制度は、給料に上乗せする形となるため、高時給になりやすい特徴を持っています。

    また前払いとなるため、契約が短いような条件でも退職金が含まれた給与がもらえるケースもあります。

    中小企業退職金共済制度

    中小企業退職金共済制度で考えられるメリットは、

  • 掛け金が通算となるため転職後も退職金が継続される
  • 自己都合退職でも金額が変わらない
  • 分割や一時払いなど、支払い方法が選べる
  • などがあります。

    中小企業退職金共済へ会社が掛け金を支払っていくことになるため、自己都合退職時でも支給される退職金の額には変化はありません。

    また一部分割や、一時払いなどの支払い方法も選択できるため、ある程度の自由度と退職金が保証されます。

    もし会社が経営不振を起こしたり、倒産したりしたとしても、支払われていた掛け金に応じてしっかりと退職金が支払われる部分も、魅力といえるでしょう。

    派遣先の退職金制度

    派遣先の退職金制度のメリットは、会社によって支給額が多い退職金を得られるケースがある部分となるでしょう。

    大手会社などの派遣であれば退職金も充実している可能性があるため、納得のいく派遣先で働ければ、退職時の心配も少なくなるでしょう。

    退職金制度のデメリット

    それぞれの退職金制度にはデメリットとなり得る点もいくつかあります。
    良いところだけでなく悪いところも鑑みて、派遣会社や派遣先を選んでいきましょう。

    派遣会社退職金制度

    派遣会社退職金制度のデメリットは、

  • 勤続年数が3年以上必要となる
  • 前払いよりも時給が下がりやすい
  • などがあります。

    派遣会社の退職金制度は、勤続年数が3年に満たない場合は退職金がもらえません。

    また給付金に退職金が含まれる退職金前払い制度に比べると、どうしても時給が下がりやすくなってしまいます。

    働き出してすぐにもらいたい方や、退職する前からの支給を望む方にとってはデメリットとなるでしょう。

    退職金前払い制度

    退職金前払い制度のデメリットは、

  • まとまった退職金を退職時にもらえない
  • 時給に退職金が含まれるため、社会保険料の控除対象となる
  • 退職金前払い制度では、退職金が時給に含まれることになるため退職時にまとまった退職金がもらえなかったり、給料扱いとなることで社会保険料の控除額が増加してしまったりします。
  • つまり日頃から退職金の分も考えて、お金を管理していかなければなりません。

    中小企業退職金共済制度

    中小企業退職金共済制度のデメリットは、

  • 退職金給付には派遣社員の手続きが必要となる
  • 大手の会社では扱われない
  • 中小企業退職金共済制度は、あくまでも中小企業のための退職金制度となるため、大手会社などでは扱われていません。

    また退職金給付をもらうためには、派遣社員の手続きが必要となるので、少し手間がかかってしまう部分もデメリットとなるでしょう。

    派遣先の退職金制度

    派遣先の退職金制度におけるデメリットは、

  • 派遣先の退職金制度の有無に左右される
  • 勤続年数3年からの支給になる可能性がある
  • などです。

    派遣先が退職金制度を設けていない場合、退職金がもらえないケースもあるようです。

    また勤続年数3年以上が条件とされているケースもあるため、退職金を重視して派遣先を選ぶのであれば、退職金についての情報も集めておきましょう。

    退職金がもらえるタイミングはいつ?

    派遣社員が退職金をもらうのはいつ頃になるのか、それぞれの制度で支給してもらえるタイミングについて紹介していきます。

    派遣会社退職金制度のタイミング

    派遣会社退職金制度で退職金が支払われるタイミングは、勤続年数3年以上の退職時になります。

    退職を迎える時にまとまった退職金が後払いで支給されるため、日々の時給に含まれない点にはご注意ください。

    退職金前払い制度のタイミング

    退職金前払い制度のタイミングは、月の給料の支払いに上乗せされる形で支払われることになります。

    退職時にまとまった退職金をもらうことはできませんが、高時給を望むのであれば、退職金前払い制度がおすすめです。

    中小企業退職金共済制度のタイミング

    中小企業退職金共済制度によって退職金が支払われるタイミングは、12ヶ月以上掛け金が支払われた状態での退職時になります。

    厚生労働省によって通知される水準と同等以上の退職金を、退職時にまとめて支給してもらえます。

    派遣先の退職金制度のタイミング

    派遣先の退職金制度で退職金が支払われるタイミングは、派遣先の制度によって異なります。

    派遣先が紹介される際に、退職金についてしっかりと確認しておかなければ、望んでいるタイミングで退職金がもらえないため、事前に調べておくようにしましょう。

    勤続年数が3年未満の場合でも退職金はもらえる?

    勤続年数が3年未満でも退職金を支給してくれる会社もありますが、支払う義務が発生するケースは、3年以上の勤続年数が必要となるため、退職金がなしになることもあります。

    こればかりは派遣先や派遣会社の判断となるため、3年未満の場合でも退職金が欲しい場合は、1年のような3年未満の退職金支払いが明記されている会社を探しましょう。

    派遣社員はどれくらいの退職金がもらえる?

    派遣社員の退職金制度が理解できたら、次はどれぐらいの退職金がもらえるのか気になるのではないでしょうか?

    一般的な退職金の計算方法についての情報をまとめました。

    退職金の計算方法

    退職金の計算方法は退職金制度によって異なるため、それぞれのケースによる計算方法についてお届けします。

    派遣先の、退職金制度の計算方法については、会社によって左右されるため省かせていただきます。

    派遣会社退職金制度の場合

    派遣会社退職金制度の計算方法は、退職時の基本給×支給率となります。

    勤続年数が3年の場合は、自己都合なら0.8%、会社都合なら1.2%以上の支給率を雇う側が守らなければなりません。

    もし最低ラインを下回る退職金になる場合は、労働局などに相談してみるといいでしょう。

    退職金前払い制度の場合

    退職金前払い制度の場合は、(基本給+賞与)×6%以上の賃金で計算されます。

    6%以上という数値は、厚生労働省によって定められているため、派遣会社や派遣先は6%以上の賃金を基本給と賞与に加えなければなりません。

    中小企業退職金共済制度の場合

    中小企業退職金共済制度では、掛け金×勤続年数×年齢で計算されます。

    会社側が支払う掛け金は一般的な基本給に賞与をプラスして、そこに厚生労働省によって定められた6%以上の額を上乗せすることになります。

    ネット上にある退職金計算ツールなどを使えば、最低限もらえる額を調べられるため、退職金の給付額が下回っていないか確認することも可能です。

    退職金の上限額

    退職金の上限額については、税務上過大だと判断されない限り、特に決められていません。

    とはいえ厚生労働省が定める水準以上の額が必要となるため、派遣社員側は退職金が下回っていないか確認するようにしましょう。

    安すぎる退職金の支給は違法?

    退職金が、厚生労働省の定める水準以下の場合、派遣先や派遣会社は違法扱いとなるのでしょうか?

    雇用側の退職金の支給義務や、過去に起きた事件を参考に違法性についてまとめました。

    労使協定方式の給付に対して6%以上上乗せした退職金支給義務

    派遣労働者と一般労働者の平均的な賃金と同等以上にすることを定めた、労使協定方式に則って、6%以上を上乗せした退職金を、派遣会社や派遣先は支払わなければなりません。

    また派遣先均等方式などの場合でも、同一労働同一賃金が適用されることになるため、退職金が水準以下にならないように調整する必要があります。

    メトロコマース事件のような賠償金が請求される場合もある

    退職金を支払わなかった場合、東京メトロの販売店員等により、賃金格差分の慰謝料が請求される事件がありました。

    この事件では初めて退職金の格差を違法として扱ったことが注目され、元契約社員2人に合計して約220万円の支払いが裁判所によって命じられることになりました。

    契約社員が正社員と同じような仕事を行った場合、派遣会社や派遣先は派遣社員に同等の退職金を給付しなければ、賠償金が請求されかねません。

    派遣社員が退職金について気をつけておきたいポイント

    派遣社員として退職金をもらう際に気をつけておきたいポイントを解説します。

    派遣会社や派遣先選びをする際にも、退職金の留意点に気をつけて判断していくようにしましょう。

    退職金制度は派遣会社や求人によって変わる

    退職金制度は派遣会社や出ている求人によって異なります。

    派遣会社の退職金制度が適用されるケースもあれば、派遣先の退職金制度や、中小企業退職金共済制度などの場合も考えられます。

    派遣社員が希望した退職金制度を利用するのではなく、あくまでも派遣先や派遣会社が用意した退職金制度に則って、退職金の支払いが行われることになります。

    希望する退職金をもらうためにも、派遣会社や派遣先を選ぶ際は、どの退職金制度が適用されるのか調べるようにしておきましょう。

    退職金の金額について交渉はできるの?

    退職金の金額について不満がある場合、派遣会社に相談することも可能です。

    厚生労働省が定める水準以下の退職金の場合は違法ともなり得るので、事前にどの程度の退職金が支払われるのか聞いておくようにするといいでしょう。

    また正社員と同じ職務をしているのに、明らかに退職金の額に大きな差が生じているなどがあった場合は、派遣会社に相談するようにしましょう。

    もし派遣会社が交渉してくれない場合は、労働局や弁護士などの専門家にあいだに立ってもらう方法もあります。

    大手派遣会社の退職金

    大手派遣会社ではどのような退職金となっているのか紹介していきます。

    派遣会社を選ぶ際のひとつの参考として見ていきましょう。

    テンプスタッフの退職金

    テンプスタッフに関しては、退職金についての記載はありませんでした。

    テンプスタッフに問い合わせするか、派遣先に退職金制度があるかどうか調べることになるでしょう。

    アデコの退職金

    アデコの退職金は、労使協定方式に則った 退職金制度となります。

    派遣先が変更になったとしても、継続して安定した待遇を提供できるように環境が整えられています。

    マンパワーの退職金

    マンパワーでははっきりとした退職金についての記載はありません。

    スタッフの声をカタチにする「クローズド・ループ」 によって定期アンケートの実施などが行われています。

    個々のニーズや課題解決に尽力してもらえるため、退職金についても相談してみましょう。

    フルキャストの退職金

    フルキャストの退職金についての記載はありませんでした。

    フルキャストでは会社独自のコンプライアンス活動が行われているため、退職金についても相談しやすい環境が作られています。

    退職金について気になる場合は、事前に問い合わせて確認をしておくようにしましょう。

    ホットスタッフの退職金

    ホットスタッフでは賞与や退職金の支給は行われていません。

    退職金に対応した派遣先があるかどうかによって左右されることになるため、退職金について相談しながら派遣先を探すことになるでしょう。

    ランスタッドの退職金

    ランスタッドでは原則労使協定方式に則った、正規雇用労働者と均等・均衡になるようにされています。

    雇い入れ時や派遣時などでも、退職手当についての明示が義務化されているため、どのような仕組みになっているのか確認してみましょう。

    テクノサービスの退職金

    テクノサービスの退職金について、サイト上での明記はありませんでした。

    労働派遣法や基準法に則ったサービスの提供が行われているため、退職金について問い合わせてみることをおすすめします。

    リクルートスタッフィングの退職金

    リクルートスタッフィングの退職金についての記載はありませんでした。

    派遣先に、退職金に対応した会社があるのかどうか問い合わせてみるといいでしょう。

    スタッフサービスの退職金

    スタッフサービスでは退職金に対しての情報は記載されていませんでした。

    退職金についてのコラムなども扱っているため、退職金についての対応もしてもらえることでしょう。

    派遣契約時に退職金について分かる?

    退職金の有無については、派遣契約の際の「労働条件通知書」に記載されています。

    面談等で口頭での説明がなかったとしても、通知書を見ることで退職金の有無や時期、金額などを確認することができます。

    通知書での確認が難しい場合は、こちらから質問すれば答えてくれるはずなので、退職金についても相談してみましょう。

    無期雇用派遣の場合の退職金はどうなる?

    無期雇用派遣の場合、派遣会社と契約を結ぶことで、3年までの上限を超えて派遣社員として働けます。

    そのため3年以上の勤続年数が必要となる、退職金支給の条件を満たしやすくなることで、退職金制度のある会社であれば退職金を支給してもらうことも可能です。

    紹介予定派遣の場合の退職金はどうなる?

    紹介予定派遣であっても、労働契約を行う際には退職金の取り扱いや有給などの内容についても記載していなければならないため、退職金の有無を確認できます。

    退職金がもらえるかどうかは、派遣会社や派遣先に制度があるかどうかが関わってくるため、退職金がもらえる可能性もあれば、もらえない可能性どちらもあります。

    派遣で退職金なしになる場合はどんなとき?

    派遣で退職金がなしになる場合は、

  • 勤続年数が3年未満
  • 派遣会社・派遣先に退職金制度がない
  • などの理由が考えられます。条件を満たしていなければ、雇用側は退職金を支払う義務はありません。

    また正社員などにも退職金制度が用意されていない場合、そもそも退職金を必ず払わなければならないという決まりはないため、退職金はなしになるでしょう。

    派遣の退職金で確定拠出年金は?

    派遣の確定拠出年金は、企業年金に加入しているなどの条件さえ満たしていれば支給してもらえます。

    退職金も確定拠出年金どちらも、もらえるかは派遣先か派遣会社によって変わるので、退職金だけでなく年金などについても確認してみましょう。

    60歳以上の派遣スタッフの退職金はどうなる?

    60歳以上の派遣スタッフであっても条件を満たしていれば、退職金を支給してもらうことは可能です。

    派遣会社や派遣先の退職金制度がどうなっているかによって、もらえるかどうかも変わってきますが、60歳以上だから退職金がもらえないわけではありません。

    派遣スタッフの「交通費」や「賞与・ボーナス」はどうなの?

    交通費や賞与・ボーナスについても、同一労働同一賃金の適用となるため、正社員との収入格差をなくす上でも、交通費や賞与についても派遣社員はもらえる権利があります。

    交通費はで上限額に規定はありませんが、1時間あたり72円以上必要になります

    2020年を皮切りに派遣に対する待遇も変化してきているため、派遣社員だから交通費や賞与をもらえない時代は終わらなければなりません。

    まとめ

    この記事をまとめると、

    派遣社員でも3年以上の勤続年数があれば退職金がもらえる
    2020年に行われた派遣法の改正により、正社員に退職金を支払う場合、派遣社員にも退職金の支給を行うことが義務づけられました。

    ただし基本的に勤続年数が3年以上でなければ条件を満たしていないことになるため、退職金がもらえないケースも存在しています。

    派遣社員で退職金を望むなら派遣会社と派遣先に注意
    いくら派遣社員に退職金を払うことが義務化されることになったといっても、派遣会社や派遣先に退職金制度がなければ、退職金をもらえません。

    退職金を前提として派遣で働くのであれば、まずは派遣会社や派遣先に退職金制度が用意されているかどうかを確かめるようにしましょう。

    後々にトラブルにならないためにも、退職金について事前に相談しておくことが大切です。

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