【派遣のプロが教える】派遣の抵触日ってなに?「3年ルール」と言われる理由は?

派遣 抵触日

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パーソルテンプスタッフ株式会社に約6年在籍し、現在は派遣会社「株式会社アドバンスフロー」の代表取締役。
のべ約2,000名もの転職支援を行い、求職者が希望する仕事を得られるよう尽力。人材業界16年の経験から「派遣はしっかりとした情報が得られれば得られるほど、理想の職場を見つけられる」と確信し、多くの人が情報を得られるよう、記事の監修も行う。

「派遣の抵触日って、何なの?」
「抵触日になったらどうなるの?」
このようなお悩みを抱えていませんか?

この記事では、派遣の抵触日について解説します。

この記事で、あなたが抱えていた派遣の悩みや不安を解消することができれば幸いです。

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派遣の抵触日とは?

派遣社員としての3年の契約期間が経過した翌日を「抵触日」とし、抵触日から3ヶ月と1日以上の期間を空けることで、再び同じ派遣先企業で就業することが可能となります。

派遣の抵触日は「個人単位」と「事業所単位」の2種類があります。

それぞれの最長3年となっており、その抵触日を過ぎて派遣の受け入れをする事は法律で禁止されています。

ここからは「個人単位の抵触日」と「事業所単位の抵触日」についてそれぞれ詳細をご説明します。

個人単位の抵触日とは?

派遣スタッフは、同一の派遣先事業所で就業する場合、就業可能期間は最長3年となり、この期限の翌日が抵触日となります。延長は一切できません。

例えば、2020年7月1日に派遣社員を派遣を開始した場合は、契約期間は最長で3年後の2023年6月30日となり、翌日の2023年7月1日が抵触日となります。

2015年9月30日以降に締結された労働者派遣契約の初日を起算日とし、3年後の同日を抵触日としています。
引用元:Adecco:「労働者派遣法」の改正から3年が経過。最も注意したいのは「抵触日」

事業所単位の抵触日とは?

派遣会社が、同じ派遣先企業の同一部署にスタッフ派遣する場合、派遣可能期間は最長3年となり、この期限の翌日が抵触日となります。
※ただし派遣先企業の希望により延長することは可能です。

同一の派遣労働者を、派遣先の事業所における同一の組織単位に対し派遣できる期間は、3年が限度となります。
引用元:厚生労働省:平成27年労働者派遣法改正法の概要

そのため、同じ派遣先企業の同一部署に、派遣会社X社から派遣スタッフが配属された場合、派遣スタッフAさんが2年間勤務した後、同じ派遣会社X社から後任のBさんの就業開始した場合、Bさんは勤務開始から1年後に派遣の抵触日を迎えることになります。

抵触日(3年ルール)が作られた理由は?

派遣の抵触日は「最長3年」と就業期間に上限を設けることで、派遣社員の雇用安定を計りるために設けられた制度です。

一般的に正社員と比べて派遣社員は、人件費を抑えられる雇用形態です。

そのため、派遣先企業から見れば、正社員よりも派遣社員を採用したくなりますが、派遣社員からすると、将来の不安や賃金の格差などを感じざるを得ません。

そこで、正社員など直接雇用への登用を促進し雇用の安定化を進めるために、抵触日が制定されたのです。

抵触日がいつなのか確認する方法は?

抵触日は「就業条件明示書」に記載されています。または「労働条件通知書(兼)就業条件明示書」に記載されている場合もあります。

派遣会社によって、「就業条件明示書」や「労働条件通知書(兼)就業条件明示書」のフォーマットが異なります。

「就業条件明示書」の見本は以下の通りです。

就業条件明示書
画像引用元:国立国会図書館インターネット資料収集保存事業-厚生労働省:モデル就業条件明示書

派遣の抵触日を延長することは可能?

「事業所単位の抵触日」に対し抵触日を延長することが可能ですが、「個人に対する抵触日」は延長することができません。

派遣先企業が「事業所単位の抵触日」の延長を考える場合は、事業所(派遣先企業)の労働組合からヒアリングと呼ばれる意見聴取を行う必要があります。

ヒアリングによって、派遣契約の延長を同意、さらに3年間に延長することが可能です。また、毎回意見聴取を行えば、延長の回数に制限はありません。

過半数労働組合等への意見聴取手続
派遣先は、事業所単位の期間制限による3年の派遣可能期間を延長しようとする場合、その事業所の過半数労働組合等(過半数労働組合または過半数代表者)からの意見を聴く必要があります。
引用元:厚生労働省:平成27年労働者派遣法改正法の概要

派遣可能期間の延長
派遣可能期間を延長できるのは3年間までです。延長した派遣可能期間を再延
長しようとする場合は、改めて過半数労働組合等から意見を聴く必要があります。

引用元:厚生労働省:平成27年労働者派遣法改正法の概要

派遣の抵触日のクーリング期間とは?

派遣のクーリング期間とは、派遣社員が抵触日を迎えた後に、同じ派遣先企業で再度働くために必要となる空白期間のことを指します。

「派遣の抵触日のリセット」と呼ばれることもあります。

派遣のクーリング期間は「派遣の抵触日から開始して3ヶ月と1日以上の期間を空けること」と定められています。

例えば、2023年7月1日が抵触日の場合は、2023年7月1日から10月1日がクーリング期間となります。

なので、同じ派遣先企業の同一部署に派遣スタッフを配置したい場合は、2023年10月2日から新たに派遣社員の派遣が可能となります。

また、クーリング期間には、「個人単位のクーリング期間」と「事業所単位のクーリング期間」があります。

【個人単位のクーリング期間】
  • 個人単位のクーリング期間は、1人の派遣社員が派遣先企業での派遣開始日から3年働いた抵触日から開始となる
  • 3年の派遣契約を満了し退職してから、3ヶ月と1日以上の期間を空ければ同じ派遣先企業で派遣社員として働くことができる
【事業所単位のクーリング期間】
  • 事業所単位のクーリング期間は、派遣会社が派遣先企業にスタッフの派遣を行った日から3年間経過した日の翌日が抵触日となり、クーリング期間が開始する
  • 例えば、派遣先企業にAさんを1年派遣した後、後任のBさんを同じ部署に配属する場合、Bさんは最長2年しか就業できない。その後3ヶ月と1日以上クーリング期間を経過するとBさんを再び派遣することや、Bさんの後任として新たにCさんを派遣することが可能となる
  • ただし、派遣先企業が継続して派遣社員の受け入れを希望する場合は、クーリング期間を設けずに契約を延長することが可能となる

【参考リンク】
厚生労働省「平成27年労働者派遣法改正法の概要」
パソナ「労働者派遣法のルール|Q25.いわゆる「クーリング期間」とは?」
マンパワー-事業所単位の派遣期間制限と個人単位の派遣期間制限との関係

派遣の抵触日の対象外となる派遣社員もいるの?

派遣社員の中には、例外として派遣期間の制限がない、抵触日がない方もいます。

以下の条件に当てはまる方が、抵触日の対象外となります。

  1. 無期雇用派遣スタッフ
  2. 60歳以上の派遣スタッフ
  3. あらかじめ契約期間が決まっている業務を行う派遣スタッフ
  4. 1ヶ月の勤務日数が10日以下で、なおかつ派遣先社員の半分以下の勤務日数で働く派遣スタッフ
  5. 産前産後休暇や育児休暇、介護休暇を取得する派遣先社員の代替として働く派遣スタッフ

これらどれかの条件に当てはまる派遣の仕事をする場合、抵触日は設定されず、3年以上継続して勤務することが可能です。

抵触日を違反してそのまま働いたらどうなるの?

派遣の抵触日に違反して働いていた場合、「労働契約申し込みみなし制度」が適用されます。

労働契約申し込みみなし制度とは、違法に派遣スタッフとして働いていることが発覚した時点で、派遣先企業がその派遣スタッフに対し直接雇用の雇い入れを申し込みをしたものとみなす制度です。

抵触日以降も同じ派遣先企業で働くということは、労働者派遣法違反になりますので、この制度が適用されます。

期間制限
画像引用元:厚生労働省:労働契約申込みみなし制度の概要

クーリング期間中に派遣先企業の直接雇用として働くことは可能?

クーリング期間中に派遣先企業の直接雇用として働くことは可能ですが、クーリング期間終了後すぐに派遣スタッフに戻ることはできません。

直接雇用として働く社員が企業を退職した場合、その後1年以内に派遣社員として働くことはできません。

そのため、クーリング期間中だけ直接雇用になり、クーリング期間終了後に派遣社員として戻ることは法令違反となります。

派遣先を離職して1年以内の労働者を、派遣先が受け入れることは禁止されています(法第40条の9第1項)。具体的には、派遣受入前1年以内に正社員、契約社員、アルバイト等の雇用形態を問わず、派遣先のどこかの事業所で(派遣就業予定の事業所に限りません)1日でも直接雇用されていた人の派遣受け入れが禁止されました。
引用元:パソナ:労働者派遣法のルール:Q20. 離職した労働者を派遣労働者として受け入れる場合は?

クーリング期間終了後に同じ派遣先企業と契約することは可能?

クーリング期間の終了後に、以前と同じ派遣先企業の同一部署に配属されることは可能ですが、その保証はありません。

クーリング期間を経過後、再び派遣社員として同じ派遣先企業の同一部署に雇用される可能性がある場合は、事前に派遣会社からの打診があることが多いです。

一般的には3年間の派遣期間が終了したあと、3ヶ月と1日以上のクーリング期間を設けて再契約することは少なく、他の派遣社員を新たに配置する場合が多いです。

クーリング期間中の雇用保険(失業手当)は受給できる?

クーリング期間終了後、すぐに以前と同じ派遣先企業の同一部署での雇用が決まっている場合はクーリング期間中の雇用保険(失業手当)の受給は難しいです。

派遣社員が退職した場合、原則として自己都合退職(一般受給資格者)の扱いとなり、雇用保険の受給まで、「3ヶ月間の給付制限期間」が必要となります。

「抵触日より3ヶ月と1日以上」クーリング期間終了後、すぐに以前と同じ派遣先企業の同一部署での雇用が決まっている場合は、雇用保険の受給時期よりも早く派遣社員としての就業日を迎えることになるため、雇用保険を受給することはできません。

【参考リンク】
パソナ「派遣社員も失業保険が貰える!? ~受給条件や手続きの流れについて~」
ハローワーク「離職された皆様へ」

派遣の抵触日により派遣先企業を退職した場合は雇用保険(失業手当)は受給可能?

抵触日を迎え、派遣社員としての就業期間が終了し、その後新しい派遣先や仕事が決まらない場合は派遣会社から離職票を受け取ることで雇用保険の受給手続きを進めることが可能です。

雇用保険の待機期間などは退職理由によって異なります。詳細は最寄りのハローワークなどでご確認ください。

派遣法の3年ルールには抜け道があるって本当?

派遣法では抵触日が3年と設定されており、同じ部署での派遣の受け入れは最大3年間と法律で定められています。
しかし、同じ派遣先企業の中でも部署や課を移動することで、抵触日を迎えた後も同じ派遣先企業で最長3年間働くことが可能です。

ただし、以下のような場合は都道府県労働局の指導対象となります。

  • 契約上は部署異動しているが、実際は以前と全く同じ業務を行っている場合
  • 3ヶ月と1日以上のクーリング期間を終えた後、以前の部署に戻って働くなどの行為
    【参考リンク】厚生労働省「派遣先の皆様へ」

また、派遣先企業から能力や業務実績を認められ、「3年以上、この会社で勤務してほしい」と派遣先企業から直接雇用の打診を受ける可能性もあります。

現在就業中の派遣先企業で長く働くことを希望している場合は、直接雇用の可能性について派遣会社の担当者に確認することもおすすめします。

抵触日を迎える前にやるべきことは?

派遣社員は就業する上で「抵触日」があることと同じ派遣先企業で最長3年までしか働くことができないことを認識し、抵触日を迎えるときにスムーズに次の仕事に転職する準備などを進めることが大切です。

【①派遣会社に今後についての相談をする】
  • 今後も派遣として働くことを希望している方で、今後についての打診がない場合は派遣会社の担当者に問い合わせることをおすすめします。
  • 一般的には派遣の抵触日が近づいてきたら派遣会社の担当者から「今後のお仕事」について打診があることが多いです。
  • 場合によっては、現在就業中の派遣先企業との直接雇用の話を提案される場合もあります。
【②様々な可能性を広げるためにスキルアップや資格取得を目指す】
  • 派遣の抵触日を迎えた後、派遣会社、ハローワーク、転職エージェントなどを利用しての転職活動に備えて、抵触日を迎える前にスキルアップや資格取得を目指すこともおすすめです。
  • 事務職を希望する場合はパソコンや簿記に関する資格、IT系のお仕事を希望する場合はIT関連の資格を取得することで、お仕事探しの選択肢が広がります。

まとめ

この記事をまとめると、

派遣の抵触日とは、派遣先の同一組織に働ける最終日の翌日を指します。

派遣社員の就業期間は最長3年となっており、3年以上継続して働くことはできません。

抵触日が近づいてきたら、今後のお仕事について派遣会社に相談をしたり、派遣以外のお仕事を探す場合はハローワークや転職エージェントを利用してお仕事探しを進めることをおすすめします。

場合によっては、現在就業中の派遣先企業から正社員や契約社員として直接雇用の打診をされる場合もあります。

この記事があなたのお役に立てば幸いです。

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この記事の執筆者
「法人派遣マッチング」ならびに
転職エージェント「♯就職しよう」運営
株式会社アドバンスフロー 代表取締役 中塚 章浩

大手人材サービス会社在籍で2,000名以上の就業に携わり、
「自分に合った派遣会社や人材紹介会社を選ぶ重要性」 を肌で感じてきました。この記事の執筆を通して、派遣会社や人材紹介会社を選ぶ際のミスマッチを少しでも解消できればと思っています。
現在、派遣会社と企業をつなぐ「法人派遣マッチング」と求職者と企業をつなぐ「転職エージェントサービス」を運営しており、それらから得られる最新情報をお伝えするべく、随時、記事の編集や更新も行っています。

経歴
パーソルテンプスタッフ株式会社に在籍後、2010年に株式会社アドバンスフローを設立し、求職者向け情報サイト「♯就職しよう」を運営。現在、#就職しようの執筆とともに、転職・就職などHR領域に関するサービスを多数展開中。 ・執筆者の詳しい経歴はコチラ
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