派遣社員の交通費事情を解説!支給される派遣会社の求人も紹介

この記事の管理者株式会社アドバンスフロー
代表取締役 中塚 章浩

大手総合人材会社を経て、リクルートに勤務。その後、現在の株式会社アドバンスフローを設立。派遣業務、転職エージェント業務、新卒採用代行業務など、幅広い業務を経験。

交通費の待遇について疑問を持っている派遣社員の方もいることでしょう。
反対に、法改正による待遇の改善を期待する方もいるかもしれません。

今回は派遣会社に約6年勤務した「#就職しよう」編集部の中塚が、これまでの派遣社員の交通費事情をまとめるとともに、法改正による待遇の変化について解説していきます。
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目次

派遣社員には交通費(通勤手当)が支給されない?

交通費が支給されれないことに対して、おかしいと感じている派遣社員も少なくありません。そもそも派遣の交通費は支給されないのでしょうか。早速、詳細を解説していきます。

派遣社員には基本的に交通費が出ない

Q:派遣では交通費が支給されないのでしょうか?

A:派遣で働く場合は、一般的に交通費は支給されません。多くは時給の中に含まれています。ただ、最近は、交通費別途支給や上限1万円までと一部負担する派遣会社も増えてきています。

引用:疑問や悩みをしっかり解決 バイトQ&A(エンバイト/エン・ジャパン)

派遣社員は基本的に交通費が出ないようです。しかし、交通費が出ないと損をしているように思えるでしょう。その点、派遣会社の中には、交通費なしではなく、各社の規定にもとづいて交通費を別途支給しているケースがあります。

「せっかく一生懸命働いても交通費が支給されないと手元に残るお金が少ない…」こんな経験ありませんか?当社で派遣をご希望のみなさんには交通費をお給与とは別に支給しています(当社規定あり)。

引用:うれしい交通費別途支給(綜合キャリアオプション)

ただし、支給額に上限が定められていることもあり、交通費が低い(あるいは足りない)と感じる可能性がある点は知っておきましょう。

派遣の仕事では交通費が出ない理由

派遣の交通費を時給に含む算出方法が、交通費が出ないと思われる理由です。

派遣社員と正社員の給料に関する計算方法を比較してみましょう。

派遣社員の給与は主に残業代と時給×働いた時間の合計であるのに対し、正社員の給与は主に交通費と残業代、ボーナス、基本給で構成されています。

派遣社員は、交通費込で時給が設定されるだけでなく、ボーナスも同様に時給に含まれていると考えてよいでしょう。

派遣社員の交通費事情とは?

派遣社員と正社員では、交通費の支給に関してさまざまな違いが見られます。派遣社員ならではの交通費事情について、いくつか紹介していきましょう。

派遣社員の交通費事情1.通勤にかかる交通費について

一般的な派遣社員の通勤に、交通費がいくらまでかかるのか知りたい方もいることでしょう。

ディップ株式会社が、47都道府県の派遣社員(18歳~69歳の男女)を対象に行ったインターネット調査(2019年9月6日~9月11日)によると、派遣先への交通費は下記の通りです。

月5万円以上(1日あたり2,500円以上):1.7%
月3万円以上5万円未満(1日あたり1,500円以上2,500円未満):3.0%
月1万円以上3万円未満(1日あたり500円以上1,500円未満):33.4%
月1万円未満(1日あたり500円未満):41.8%
交通費はかからない:13.9%
決まった派遣先ではないためわからない:4.5%
その他:1.7%

引用:通勤に交通費がいくらかかるのか(ディップ株式会社)

派遣社員の中には月5万円以上の交通費が発生しているケースが見受けられました。その一方で、大半の派遣社員は交通費が月3万円未満におさまっているようです。

派遣社員の交通費事情2.仕事先によって支給が異なる

Q:お仕事先までの交通費は出ますか?

A:お仕事先によって異なります。応募する際求人内容をご確認ください。

引用:FAQよくある質問(株式会社エントリー)

派遣会社はさまざまな求人を取り扱っており、求人ごとに派遣先も異なります。それにともなって、交通費の支給体制も異なるようです。

したがって、交通費の支給について納得できる求人を探すことが、派遣社員にとっては大切です。

派遣社員の交通費事情3.訴訟が起きた事例がある

一般的に派遣社員には交通費が支給されないとお伝えしましたが、交通費が支払われない状況に異論を唱えて、訴訟を起こした派遣社員もいます。

通勤手当が支払われないのは正社員との不合理な待遇格差を禁じた労働契約法に反するとして、リクルートホールディングス子会社のリクルートスタッフィング(東京)の派遣社員だった大阪府富田林市の男性(46)が7日、同社に約72万円の損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こした。代理人弁護士によると、派遣社員が派遣元に通勤手当の支払いを求めた訴訟は初めて。

引用:通勤手当支給求め提訴 元リクルート系派遣社員、大阪(日本経済新聞)

裁判所に訴えた派遣スタッフは、1日あたりの往復交通費が1,180円から1,580円でした。通勤手当で正社員と差をつける合理的な理由はないと主張しています。

契約社員の裁判では通勤手当が認められた

ちなみに、派遣社員だけではなく、契約社員に関しても、通勤手当を巡る裁判が起きています。

浜松市の物流会社「ハマキョウレックス」の契約社員が、同じ仕事をしている正社員と待遇に差があるのは、労働契約法が禁じる「不合理な格差」にあたると訴えた訴訟の判決が1日、最高裁第二小法廷であった。山本庸幸裁判長は、正社員に支給されている無事故手当や通勤手当などを契約社員に支給しないのは不合理だと判断し、会社側が支払うよう命じた二審判決を支持した。最高裁がこの争点について判断を示したのは初めて。

引用:通勤手当など正社員と待遇差「不合理」 最高裁が初判断(朝日新聞DIGITAL)

交通費の支給が認められた判例であり、派遣社員にとっても希望となる事例だといえるでしょう。

派遣社員の交通費事情4.遠方だと採用が敬遠されやすい

Q:派遣だと交通費が出ないので、どうしても勤務先に近い人を選ばれる傾向があると思いますが、意欲があっても遠いところ(といっても1時間かかりません)に住んでいるものは、派遣で働くのはきびしくなるのでしょうか?

A:交通費がかさむことを懸念して、遠方の人材採用を敬遠するのは、交通費を支給する場合ですね。交通費が出ない場合は、特に交通費代が採否の条件になることはありません。また、通勤時間も片道1時間以内でしたら一般的な通勤時間の範囲ですので、そのことでお仕事を紹介されにくくなることはないと思います。

引用:教えて!エン派遣(エン派遣/エン・ジャパン)

派遣社員に交通費を支給する場合、遠方の採用が敬遠されるケースがあるようです。コストを節約するという観点からは当然といえるかもしれません。

交通費なし、あるいは、片道1時間以内の通勤時間であれば、交通費が採用に与える影響は少ないと考えられています。

派遣の求人を選ぶ際の目安にしてみるとよいでしょう。

派遣社員の交通費事情5.最安地ルートで支給されることがある

Q:派遣バイトされてる方、乗り換えが多い運賃最安ルートと乗り換え1回だけの代わりに交通費が高くなるルート、どちらを選ぶことが多いですか?(会社から最安か最も早く着く経路の交通費しか出ないと言われているので…)

A:以前、派遣の時には、一律、最安ルートにされましたよ。

引用:派遣バイトされてる方、乗り換えが多い運賃最安ルートと乗り換え1回だけの代わりに交通費が高くなるルート(教えて!goo/NTTレゾナント)

派遣先に通勤するためのルートは一つだけではありません。そのため、電車を利用するのであれば、乗り換えの回数を減らしたいと考える派遣社員もいることでしょう。

ただ、一律で最安値のルートに決められてしまった派遣社員もいるようです。自分の思った通りに交通費が支給されないことは知っておきましょう。

派遣社員の交通費事情6.支給の代わりに基本給が減額されることがある

国会審議及び新聞報道等において、一部の派遣元事業主において、有期雇用派遣労働者が無期雇用派遣労働者に転換する際に、希望する場合には、一定額を上限として通勤手当を支給する代わりに、基本給から一定額を減額する取り扱いが行われていることについて指摘があったところです。

引用:派遣労働者の無期転換の際の通勤手当と基本給の取り扱いに関する要請書(厚生労働省)

有期雇用派遣労働者が無期雇用派遣労働者に転換することが認められていますが、その際に通勤手当を支給する代わりに基本給を減額する派遣会社が存在したようです。

交通費が支給されても、給料が低くなってしまっては本末転倒だといえます。交通費が支給されることだけに目を奪われないように注意してください。

アデコの交通費と基本給減額に関する考え方

実際のところ、交通費を支給する代わりに給与が下げられてしまうのか、具体的な派遣会社の制度について確認してみましょう。

アデコではハケン2.5という独自の無期雇用プログラムを用意しています。

Q:他社の無期雇用派遣では、1万円分交通費が非課税で出る代わりに50円時給が下がると聞いたことがあります。アデコでもそうなのでしょうか?

A:アデコでは、時給を維持したうえで、非課税通勤手当を追加支給します。

引用:ハケン2.5の制度・待遇について(Adecco)

アデコの無期雇用派遣プログラムでは、時給を維持したうえで交通費を支給してくれます。このように、公正な観点から交通費を支給している派遣会社を選択するようにしましょう。

派遣社員の交通費事情7.交通費を交渉することも可能

交通費が少ないと感じたときに、交渉できるのか気になっている派遣社員もいることでしょう。

ディップ株式会社が、47都道府県の派遣社員(18歳~69歳の男女)を対象に行ったインターネット調査(2019年9月6日~9月11日)では、派遣社員の交渉経験に関する回答結果も得られています。

Q:現在の派遣先において、派遣社員として就業していたなかで「交通費の支給」について交渉をしたことがありますか。

交渉したことがある:14.9%
交渉したことがない:85.1%

一部支給(月上限1万円未満)になった:9.5%
一部支給(月上限1万円以上3万円未満)になった:5.5%
一部支給(月上限3万円以上5万円未満)になった:2.3%
一部支給(月上限5万円以上)になった:4.5%

引用:「交通費の支給」の交渉経験(ディップ株式会社)

交渉したことがあると回答した派遣社員の割合は14.9%であり、ほとんどの派遣社員が交渉をしていません。しかし交渉した派遣社員を見ると、結果として「交通費が支給された・上がった」と答えた割合は合計で40.9%となっています。

ほとんどの派遣社員は交渉せずに勤務していますが、交渉すると交通費が値上げされる可能性があるとわかります。交通費に不満を持ったときには、とりあえず交渉してみる価値は高いといえるでしょう。

派遣法改正で派遣社員の交通費が支給される?

改正労働者派遣法に基づく通常の労働者と派遣労働者との間の不合理と認められる待遇の相違の解消等の目的は、派遣労働者の待遇の改善であり、各派遣元事業主におかれては、来年4月の改正労働者派遣法の施行に向けて、派遣労働者の待遇の改善のための賃金規定の整備等を労使の十分な話し合いによって進めていただくことが必要です。

引用:派遣労働者の無期転換の際の通勤手当と基本給の取り扱いに関する要請書(厚労省)

厚生労働省の職業安定局長通達からもわかるとおり、働き方改革による派遣法改正が注目されていて、派遣社員の待遇が改善される兆しが見えています。

法律の改正によって派遣社員の交通費に関する待遇も改善されるのでしょうか。また、いつから待遇が改善されるのか、気になるに違いありません。派遣法改正と派遣社員における交通費支給の関係を解説していきます。

派遣社員の交通費に関連する同一労働同一賃金について

同一労働同一賃金は、正規や非正規の雇用形態における不合理な待遇差を禁止する制度であり、2020年4月1日(4/1)から適用されました。中小企業におけるパートタイム・有期雇用労働法は2021年4月1日から適用されます。

同一労働同一賃金の制度では、労働者に対する待遇に関する説明義務が強化されているのも特徴です。

非正規雇用労働者は、「正社員との待遇差の内容や理由」など、自身の待遇について事業主に説明を求めることができるようになります。事業主は、非正規雇用労働者から求めがあった場合は、説明をしなければなりません。

引用:働き方改革特設サイト 支援のご案内 同一労働同一賃金(厚生労働省)

当然、派遣社員も待遇差について理由を聞けます。したがって、交通費の支給について納得できないことがあれば、派遣会社に問い合わせてみるとよいでしょう。

同一労働同一賃金における交通費支給の考え方

平成30年12月28日に厚生労働大臣は、同一労働同一賃金の実現に向け、待遇差に関する指針を示しています。指針の中では派遣社員の交通費に関する定めも見受けられました。

派遣元事業主は、派遣労働者にも、派遣先に雇用される通常の労働者と同一の通勤手当及び出張旅費を支給しなければならない。

引用:短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針(厚生労働省)

派遣労働者の交通費についても待遇差を設けてはならないとの旨が記載されています。

同一労働同一賃金による交通費支給が企業に与えた影響

実際に、同一労働同一賃金によって交通費を支給せざるを得なくなった企業も少なくありません。

人材派遣会社が派遣社員の待遇改善に動き出した。これまで少なかった交通費の支払いをうたう求人案件が全体の半数程度に達した。人手不足で派遣料金の上昇が続く。待遇改善の流れが重なり、派遣先企業の人件費の負担は増えそうだ。

引用:派遣に交通費支給 同一賃金対応、人材会社が前倒し(日経新聞)

同一労働同一賃金の制度は、派遣社員の待遇を改善するために、派遣先企業に負担を強いる形になっているようです。

同一労働同一賃金における交通費支給の現状

同一労働同一賃金の制度開始にあたって、派遣社員に関する交通費の相場を知りたい方もいることでしょう。

同一労働同一賃金の制度開始に注目が集まる中、ディップ株式会社が47都道府県の派遣社員(18歳~69歳の男女)を対象に行ったインターネット調査(2019年9月6日~9月11日)によると、派遣社員に関する交通費支給の実態は下記の通りです。

Q:現在の派遣先では交通費の支給(通勤手当)はありますか。

全額支給:21.7%
一部支給(月上限5万円以上、1日上限2,500円以上):2.6%
一部支給(月上限3万円以上5万円未満、1日上限1,500円以上2,500円未満):1.4%
一部支給(月上限1万円以上3万円未満、1日上限500円以上1,500円未満):5.1%
一部支給(月上限1万円未満、1日上限500円未満):17.3%
支給がない:51.9%

引用:「同一労働同一賃金」における交通費支給(ディップ株式会社)

制度開始にあたって、まだ支給されていない派遣社員の割合が半数近くいることがわかります。しかし、ディップ株式会社は今後、交通費が支給される求人が増え、派遣社員の仕事選びの幅が広がるとの予測を示しています。

同一労働同一賃金における交通費の支給方法

同一労働同一賃金の制度では、派遣社員について「派遣先の労働者との均等・均衡待遇」と「労使協定による待遇」のいずれかを確保することが義務付けられています。派遣先均等・均衡方式と労使協定方式のそれぞれについて、交通費の支給方法を確認してみましょう。

支給方法1.派遣先均等・均衡方式

「派遣先均等・均衡方式」は、派遣先企業が自社の正社員の待遇について派遣会社に情報を提供し、均等・均衡待遇を実現する方式です。

引用:【同一労働同一賃金 派遣編】なにがどう変わる?(randstad)

派遣先均等・均衡方式では、派遣先で働く正社員の待遇に関する情報が派遣会社に提供されます。

したがって交通費についても、派遣先で同じ仕事をしている社員と同じ待遇で支給されやすくなるでしょう。ただし、派遣先における交通費の規定により、支給される交通費の金額も変わってきます。

支給方法2.労使協定方式

派遣労働者と同じエリアで同種の業務に従事する一般労働者の平均的な賃金と同等以上になる賃金を定める方式を「労使協定方式」と呼びます。

引用:労使協定方式とは? 派遣先均等・均衡方式との違いについて(Adecco)

労使協定方式では、交通費について2種類の方法を選択して労使協定で定めます。

  1. 実費支給
  2. 1時間当たりの一般労働者の通勤手当(一般通勤手当)相当額72円を確保

ちなみに、一つの労使協定で両方を選択することも可能です。なお72円という金額は、「賃金構造統計基本調査」や「賃金構造統計基本調査」などのデータをもとに、一定の方法で時給換算した値として局長通知で示されています。

交通費の基本知識

派遣社員や正社員といった雇用形態にかかわらず、交通費の概要を知っておきたい方もいることでしょう。ここからは一般的な交通費の基本知識を解説していきます。

基本知識1.法的な支払い義務はない

一般的に法律上は、会社が交通費を支給する義務はありません。極端な例だと、会社が交通費を支給しなくても違法ではありません。

しかし、労働基準法では、労働者に負担を強いる事項について、就業規則を作成することが決められています。

常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。

労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項

引用:労働基準法 第九章 就業規則 作成及び届出の義務 第八十九条(e-Govポータル)

交通費とは明示されていませんが、おそらく交通費も該当すると考えられるでしょう。そして、就業規則に交通費に関する定めがあれば、会社に支給義務が発生します。

義務はないが支給条件が定められている

実際に交通費の支給に義務はありませんが、派遣会社も支給条件を定めているケースが見受けられます。パーソルテンプスタッフの通勤交通費に関する支給条件を確認してみましょう。

通勤交通費は、登録住所から就業先住所までの通勤経路を当社規定に基づき算定し、1ヶ月毎に支給します。週5日就業もしくは月20日以上就業の契約の場合:「月額」で支給します。週4日以下就業もしくは月19日以下就業の契約の場合:「日額」で支給します。

引用:パーソルテンプスタッフの通勤交通費支給条件(パーソルテンプスタッフ)

このように、交通費は各社の規定によって算出され、月額や日額で支給されます。

また交通費に関する事項は、労働者派遣個別契約書でも記載されるケースが見られます。最低限確認しておくとよいでしょう。

基本知識2.交通費の種類

交通費は、通勤にかかる通勤手当だけではありません。必要に応じて会社から外出したり、出張したりするケースもありえるからです。

派遣先で出張を命じられたときの交通費は、旅費交通費(出張手当)という勘定科目で呼ばれます。ちなみに、旅費交通費には通信費や宿泊費なども含まれます。

通勤費用と別の扱いとなり、派遣先の規定に応じて取り扱われる点は、あらかじめ知っておくとよいでしょう。

基本知識3.交通費の支給パターン

交通費の支給パターンは全額支給・一部支給・一律支給の3種類です。

全額支給は、通勤にかかる費用がすべて支給される方式です、社員にかかる負担は0円になります。

一部支給は、交通費の支払金額に上限を定める方式です。1日〇〇円まで(あるいは月△△円まで)のように上限を設定します。

一律支給は、日・月単位で決まった交通費がすべての従業員に一律で支給される方式です。企業側は、従業員ごとに交通費を計算しなくて済み、社員は、交通費が安く済んだ月でも決まった金額を支給してもらえます。

基本知識4.一定基準の範囲内であれば非課税

一般的に社員に支給される手当は所得税の課税対象である一方、交通費は一定基準の範囲内であれば非課税です。交通費はあくまでも出勤にともなう実費の補てんであり、所得という性質に馴染まないからと考えられています。

ただ、すべての交通費が全額について非課税になるわけではありません。

国税庁の通達によると、非課税対象の交通費と非課税限度額は下記の通りです。

  1. 交通機関又は有料道路を利用している人に支給する通勤手当:最高限度150,000円
  2. 自動車や自転車などの交通用具を使用している人に支給する通勤手当(※):4,200円~31,600円
  3. 交通機関を利用している人に支給する通勤用定期乗車券:最高限度150,000円
  4. 交通機関又は有料道路を利用するほか、交通用具も使用している人に支給する通勤手当や通勤用定期乗車券:最高限度150,000円

引用:通勤手当の非課税限度額の引上げについて(国税庁)

※に関しては、通勤距離が片道2キロメートル未満である場合のみ、交通費の全額が課税されます。

基本知識5.交通手段によって支給額や支給条件が異なる

交通費は、交通手段によって支給額や支給条件が異なります。

参考として、パーソルテンプスタッフの交通費支給条件を確認してみましょう。

  • 電車利用時は「1ヶ月定期代」を月額として支給
  • バス利用時は「往復運賃×21 日分」を月給として支給 
    ※バス代は、以下➀~➂いずれかの距離が 2km 以上かつ乗車区間が 1km 以上の場合に支給
    ➀登録住所⇔登録住所の最寄駅
    ➁就業先最寄駅⇔就業先住所
    ➂登録住所⇔就業先住所
  • 私有車通勤の場合は通勤距離に応じて規定の金額を支給
    ※パーソルテンプスタッフが私有車通勤を認める場合に限ります。
    ※原則、有料道路や高速道路の利用はできません。
  • 引用:パーソルテンプスタッフの通勤交通費支給条件(パーソルテンプスタッフ)

    同じ交通手段を用いても交通費が支給されない場合があるとわかります。派遣会社と認識が違うとトラブルが起きる原因になるので、交通費の支給条件を正確に把握することが大切です。

    基本知識6.不正受給をすると過払い分の返還になる

    社員が交通費を不正受給すると、会社は過払い分の返還を求めることができます。

    不正受給の例を挙げてみましょう。社員が電車やバスの利用を前提として交通費を申請しているのに、定期券を購入せずに自転車通勤した場合です。

    会社から監視されていないことに甘えて嘘をつき、徒歩圏内に引っ越したにもかかわらず交通費を不正受給している方もいるかもしれません。もし悪質だと判断されると、会社に対する背信行為があったとして、懲戒処分といったトラブルにつながりかねないので注意しましょう。

    基本知識7.交通費実費支給の意味について

    実費とは、実際に発生した費用であり、手数料やもうけを含みません。

    求人で、「交通費実費支給」といった記載があれば、実際に発生した費用が支給されることを意味します。

    会社の通勤に往復で1,500円かかった場合、1,500円の交通費が支給されます。支給にあたっては、前払いされたり、立替後に精算されたりします。

    基本知識8.交通費と派遣事業マージンの関係

    一般的に派遣先企業は、派遣会社に派遣料金を支払います。派遣料金から賃金を引いた金額がマージンであり、派遣料金に対するマージンの割合がマージン率です。マージンの内訳には、社会保険料や会社運営費などが含まれます。

    交通費は賃金に含まれているので、直接的にはマージンとは関係がないとわかります。

    求人から見る派遣会社の交通費

    派遣社員の交通費事情だけでは、具体的に支給される交通費についてイメージが湧きづらいかもしれません。ここからは、実際の求人を参考に派遣会社の交通費を確認していきます。なお、参考にした求人は2021年1月時点の内容です。

    スタッフサービスの交通費が出る求人

    スタッフサービスは、営業事務や経理事務など、オフィスワークの紹介に特化した派遣会社です。スタッフサービスの求人では、医薬品メーカーにおける人事事務の仕事が募集されていました。

    具体的な仕事内容は、日程調整や求人票の確認、契約書送付、入退社証の更新などです。

    時給は1,680円~1,700円であり、有給休暇や社会保険加入に対応しています。交通費は同社規定のもとで別途支給される体制です。

    検索したときの条件として、雇用形態が「派遣スタッフ」、時給が「1,600円以上」、職種が「人事事務」などを設定しています。

    参考:きっと見つかる理想のお仕事(スタッフサービスグループ)

    マンパワーグループの交通費が出る求人

    マンパワーグループは、日本初の総合人材サービス企業です。リクナビ派遣におけるマンパワーグループの求人では、受付・秘書サポートの仕事が募集されていました。

    具体的な仕事内容は、来訪者の対応や電話の取次ぎ、会議室の予約、オフィスのメンテナンスなどです。

    時給は1,750円~であり、年間休日は125日以上あります。交通費は同社の規定にもとづいて実費が支給されます。

    求人を探すときには、「こだわりから探す」で「交通費別途支給」を選択してから、地域で絞り込んでいます。

    参考:★正社員★紹介予定派遣★受付&秘書サポート★有楽町・東京(リクナビ派遣/リクルート)

    ランスタッドの交通費が出る求人

    ランスタッドは、「働く人すべてが活き活きとした社会をつくる」ことを使命としている派遣会社です。エン派遣におけるランスタッドの求人では、小中学校のサポート事務の仕事が募集されていました。

    具体的な仕事内容は、パソコンの授業に関するアシスタントや、成績管理システムのレクチャーなどです。

    時給は1,600円であり、車通勤に対応しています。直行直帰が認められていて、交通費は移動時まで支給されます。

    検索したときの条件は、派遣形式が「一般派遣」、交通費が「別途支給あり」、フリーワードが「直行直帰」です。

    参考:直行直帰OK!小中学校でのびのび*パソコン授業アシ@茂原市派遣(エン派遣/エン・ジャパン)

    ウィルオブ・ワーク(旧社名:セントメディア)の交通費が出る求人

    ウィルオブ・ワークは、「個と組織をポジティブに変革するチェンジエージェント」というミッションを掲げている人材派遣会社であり、優良派遣事業者認定を受けています。

    ウィルオブ・ワークの求人では、同社が運営する仕事紹介サイトで、受信オペレーターの仕事が募集されていました。

    具体的な仕事内容は、カードローンに関する電話応対業務と付随する事務業務などです。

    時給は1,750円~であり、未経験者でも応募を受け付けています。規定にもとづき交通費の支給にも対応しています。

    この求人は、エリアを絞り込み、人気求人を選択すると表示されました。

    参考:時給1700円以上!ネット銀行でのオペレーター業務|中央区(WILLOF)

    ニチイの交通費が出る求人

    ニチイ学館は、医療に関する派遣サービスを提供している企業です。ニチイの求人サイトである「きゃりあねっと」では、医療事務に関する仕事が募集されていました。

    具体的な仕事内容は、新患対応やカルテ出し、カルテ運び、受付案内などです。

    時給は860円以上であり、資格取得支援制度を用意しています。交通費は月あたり5万円を上限として実費で支給され、車通勤の場合は社内規定にもとづいて1日あたり1,600円まで支給されます。

    検索の際には、フリーワードで「交通費」を入力しています。

    参考:医療法人辰星会枡記念病院の医療事務(ニチイ求人サイトきゃりあねっと/ニチイ学館)

    ネオキャリアの交通費が出る求人

    ネオキャリアは、新卒からIT人材、海外人材まで紹介している派遣会社です。マイナビミドルシニアのサイトにおけるネオキャリアの求人では、生活サポートのケアスタッフが募集されていました。

    具体的な仕事内容は、食事の準備やシーツの交換、入浴のサポートなどです。

    時給は1,400円~1,650円であり、定期健康診断も行っています。残業代と交通費は全額支給です。

    「交通費全額支給」と「ケアスタッフ」の検索ワードで絞り込むと表示されます。

    参考:≪時給1,400円~≫手に職をつけて40・50代から最後の就職をしませんか【ケアスタッフ】ATG(マイナビミドルシニア)

    キャスティングロードの交通費が出る求人

    キャスティングロードは来社不要で登録可能な派遣会社です。エン派遣のサイトにおけるキャスティングロードの求人では、テレマーケティング・テレフォンオペレーター・コールセンターの仕事が募集されていました。

    具体的な仕事内容は、サプリメントの注文受付対応や、通販のおすすめ商品ご案内コール、ECサイトの商品情報の確認・データ入力などです。

    時給は1,600円~2,200円であり、副業とWワークを認めています。交通費は実費で支給しており、上限は3万円までです。

    検索の際は「一般派遣」にチェックを入れて、「未経験OK:絶対」「副業・WワークOK:絶対」「交通費別途支給あり:絶対」に設定しました。

    参考:【長期安定の職場】未経験OK*カンタン入力や電話対応!(エン派遣/エン・ジャパン)

    ローソンの交通費が出る求人

    ローソンは、「圧倒的な美味しさ」を実現するべく、新商品の開発や既存商品の品質向上に注力しているコンビニエンスストアです。ローソンの求人では、ローソンにおける派遣アルバイトの仕事が募集されていました。

    具体的な仕事内容は、接客やレジ、品出し、清掃などです。

    時給は1,150円であり、規定にもとづいて日払いに対応しています。交通費は1,000円超過分が一部支給されます。

    インターネットの検索窓で「ローソン 派遣」で検索すると、ローソンの派遣スタッフ募集に関するホームページが見つかります。その後、ホームページからエリアを絞ると、求人が見つかりました。

    参考:【公式派遣】(大阪府大阪市中央区本町エリア)ローソンスタッフ派遣登録説明会(ローソン)

    キャリアパワーの交通費が出る求人

    キャリアパワーは、大学OA事務や司書といった大学に特化した派遣会社です。リクナビ派遣におけるキャリアパワーの求人では、学校事務・大学事務の仕事が募集されていました。

    具体的な仕事内容は、コーポレートサイトの運用やイベントの企画運営、学校行事の運営サポートなどです。

    時給は1,564円であり、正社員登用後は退職金制度の対象になります。交通費は全額支給です。

    求人の検索では、フリーワードで「交通費」を設定しています。

    参考:※正社員でガッツリ働きたい方へ※専門職大学で未経験OKの広報(リクナビ派遣)

    アメックの交通費が出る求人

    アメックは、ワゴンスタッフやホール・カウンタースタッフの仕事を紹介している派遣会社です。同社のサイトにおける求人では、ホールスタッフの仕事が募集されていました。

    具体的な仕事内容は、メダル補充やマイクアナウンス、景品交換、簡易清掃などです。

    時給は1,100円であり、勤務期間は3ヶ月以上です。交通費は一部支給となっており、面接交通費として2,000円のギフトカードもプレゼントされます。

    求人の検索では、フリーワードで「交通費」を設定しています。

    参考:※勤務地:アーリーバード藻岩 ■高時給・面接交通費2,000円 パチンコ店ホールカウンタースタッフの募集詳細(アメック)

    マッシュの交通費が出る求人

    マッシュは「心を動かす場をつくる」をテーマに掲げて派遣バイトサービスを提供している企業です。同社の「イベントバイト.com」の求人では、展示会会場の設営に関する仕事が募集されていました。

    具体的な仕事内容は、展示会のパネル設営・撤去や棚置き、会場づくり、片付けなどです。

    日給は4,680円~8,320円であり、前払いにも対応しています。交通費は規定にもとづいて支給されます。

    検索条件は、カテゴリーで「催事イベント」を設定しています。

    参考:【1/26、29】健康に関する展示会/会場設営(イベントバイト.com/マッシュ)

    マイワークの交通費が出る求人

    マイワークは「もう一歩。あなたの夢に近づくために」というテーマを掲げている総合人材アウトソーシング企業です。同社のサイトにおける求人では、仕分けや梱包の仕事が募集されていました。

    具体的な仕事内容は、アパレル商品の値札つけやシール貼り、仕分け、お菓子の梱包などです。

    時給は1,050円からであり、残業手当があります。交通費は別途支給です。

    求人を検索する際には、「条件から検索」にある「交通費支給」で絞り込んでいます。

    参考:【短期・単発×日払いOK】(マイワーク)

    ファインドオンの交通費が出る求人

    ファインドオンは「人と人、企業を繋ぐ。」をテーマにしている人材派遣会社です。スタンバイが運営するサイトにおけるファインドオンの求人では、イベント・ライブ会場に関する準備の仕事が募集されていました。

    具体的な仕事内容は、コンサートや展示会、イベントに必要な機材運びやイス並べ、ロープ張りなどです。

    時給は、1,200円~1,500円であり、履歴書を不要としています。交通費は一律支給です。

    検索したときの条件は「派遣社員 交通費 ライブ 単発」です。

    参考:【日払・単発も可】イベント・ライブ会場の準備!友達同士OK!(スタンバイ)

    派遣の交通費に関するQ&A

    派遣に関する交通費の内容について、まだ疑問が残っている方もいるかもしれません。ここからは派遣の交通費に関する疑問についてQ&A形式で回答していきます。交通費の悩みを解決するためにぜひ参考にしてください。

    Q1.派遣社員の交通費には確定申告が必要?

    A1.確定申告で還付が受けられることがあります。

    一般的に派遣会社に年末調整してもらえば確定申告をする必要はありません。

    ただ、派遣社員の時給に交通費が含まれていますが、派遣会社が交通費を差し引いた金額で収入を計上している場合、交通費は非課税として扱われています。

    交通費を含む金額に対して課税されている場合、確定申告をすれば払いすぎた金額を還付してもらえる可能性があります。

    その場合、派遣会社に通勤交通費証明書を発行してもらい、交通費が時給に含まれていることを示す書類を添付して、確定申告を行いましょう。

    確定申告に関して書類の書き方で迷ったら、最寄りの税務署に相談するとよいでしょう。

    Q2.交通費は派遣先と派遣元のうちどこが負担する?

    A2.通勤手当を派遣先が支払うのは法律違反です。

    派遣社員は派遣元会社と派遣先会社の2箇所と関わります。そもそも、どこから交通費を支払ってもらうのでしょうか。

    適正な労働者派遣においては、派遣労働者の雇用主は派遣元事業主であることから、派遣元事業主と派遣先が文書であるか否かを問わず何らかの取り決めを行い、通勤手当を含む賃金の一部を派遣先が支払うことは、賃金の直接払いの原則から労働基準法違反となり、又、労働者供給事業に当たる事となるため職業安定法違反となります。また、派遣労働者が業務上の出張を行うために必要な出張旅費等の経費については、派遣先が負担しなければなりません。

    引用:派遣先が通勤手当や出張旅費を派遣労働者に支払ってもいいですか?(厚生労働省)

    厚生労働省の見解によると、通勤手当を派遣先が支払うのは法律違反となっていますが、出張旅費に関しては派遣先負担としています。

    法律を巡るトラブルにならないよう、交通費を誰が払うか(負担先)についても、最低限把握しておきましょう。

    Q3.交通費は年収に含まれる?

    A3.「税制上の扶養」と「社会保険上の扶養」によって異なります。

    扶養控除を受けるうえで、交通費と年収の関係を正確に把握しておきたい方もいることでしょう。

    「税制上の扶養」では、交通費を年収に含めないと考えられています。給与の総支給額が103万円を超えなければ、配偶者控除を受けられます。

    「社会保険上の扶養」では、交通費は年収に含まれると考えられています。というのも厚生年金保険法において、報酬は被保険者が事業主から労務の対償として受けるすべてをさすからです。

    報酬 賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受ける全てのものをいう。

    引用:厚生年金保険法 第三条 用語の定義(e-Govポータル)

    このように、法律の考え方によって、交通費と年収の関係が変わることは知っておくとよいでしょう。

    Q4.有給休暇中に交通費は支払われる?

    A4.支給しないと労働基準法に反する可能性があります。

    使用者は、第三十九条第一項から第四項までの規定による有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない。

    引用:労働基準法 第百三十六条(e-Govポータル)

    労働基準法では、有給休暇を取得した労働者に、賃金に関する不利益を与えてはならないことが示されています。交通費が賃金の一部として支給されているのであれば、条文に反する可能性があります。

    ただし、交通費は法的に支給が義務付けられていません。最終的に、就業規則と照らし合わせて考える必要もあることを知っておきましょう。

    Q5.派遣社員の交通費に関する領収書のあて名は?

    A5.派遣先名が正しいと考えられています。

    派遣社員は派遣元に対して交通費精算の申請を行います。

    派遣元がひとまず立替て、後日にほかの派遣費用と一緒に立替金を派遣先に請求するケースが多いようです。会計上、立替払いを明確にするのであれば、領収書の宛先を派遣先名とするのが正しいと考えられています。

    参考:派遣契約における領収書の宛名について(日本の人事部/株式会社HRビジョン)

    Q6.交通費に含まれない移動手段は?

    A6.事業主の判断にゆだねられています。

    基本的に、移動手段が最も経済的かつ合理的な経路及び方法でなければ、交通費を支給してもらえません。

    電車やバス、ガソリンに関する交通費などは支給が見受けられますが、中には認められにくい交通費もあります。

    私の勤めていた会社の通勤費支給規定では、利用する交通機関の定期代実費のみでした。つまり、バス・鉄道の最寄の駅からの定期代で申請。駐輪場支給はありませんでした。

    引用:駐輪場代金も交通費ですか?(発言小町/読売新聞社)

    たとえば、一般的にタクシーや高速道路、グリーン車、駐輪場などにかかった費用などです。中には、条件を満たせば支給される対象もあります。

    支給する場合にどの範囲までとするかは自由に決めることができ、高速道路使用料金を通勤手当として支給するかどうかも、社員の要求に沿わなければならないというものではなく、事業主が任意に決めて差し支えありません。

    引用:高速道路の使用料金を通勤手当として認めなければならないか(和田人事企画事務所)

    ただ、交通費支給の対象は事業主の判断にゆだねられているので、必ずしも希望した交通費が支給されるわけではないとおさえておきましょう。

    Q7.健康診断の交通費は支給される?

    A7.原則として事業主が負担します。

    健康診断の費用負担についての法律規定はありませんが、法律で事業主に健康診断実施を義務付けている以上、原則として事業主負担とすべきでしょう。但し、雇入時に健断結果を提出させる場合や、会社に指定外の自己都合に受診者の場合は、本人負担としても問題は有りません。

    引用:健康診断は業務時間になるか、交通費の負担はどちらか(日本の人事部/株式会社HRビジョン)

    原則としては事業主が負担すると考えられているので、支給されない場合は派遣元会社に確認してみるとよいかもしれません。

    Q8.研修時に交通費は支給される

    Q8.基本的に支給されません。

    登録や研修時の交通費は支給されないのが一般的です。ただ、普段は登録交通費を支給しない派遣会社でも、キャンペーン的に交通費支給ありの登録会を行ったり、交通費としては支給しないものの、代わりにクオカードや商品券のプレゼントがある場合があります。

    引用:派遣の登録に行くときの交通費の支給はありますか?(エン派遣/エン・ジャパン)

    キャンペーンによって支給が異なるケースがあるので、求人の内容をよく確認するようにしましょう。

    Q9.テレワーク(リモートワーク)の交通費は?

    A9.就業規則の定めに従います。

    新型コロナウイルスによってテレワーク(リモートワーク)を開始した方の中には、出社しないときの交通費支給について気になっている方もいることでしょう。

    交通費については法律で支給義務が定められているわけではありません。テレワーク(リモートワーク)に関する交通費は、就業規則にもとづいて支給されます。

    たとえば、就業規定で定められていれば、派遣先に出社しない場合、交通費を日割りで支給することもあります。規定によっては、出社日数が極端に少ない場合、支給しない派遣会社もあるかもしれません。

    テレワーク(リモートワーク)で働いている方は、派遣会社に詳細を確認することをおすすめします。

    Q10.交通費は売上として派遣料金に含まれる?

    A10.派遣元の売上として派遣料金に含まれます。

    派遣社員は交通費を派遣元から支給されるため、派遣先が直接支給しているわけではありません。

    派遣会社が派遣先からもらう交通費は派遣料金に含めて取り扱われるべきであり、売上として消費税が課税されていることになります。

    Q11.派遣会社で交通費をもらうときの申請は?

    A11.申請を不要としている派遣会社もあります。

    通勤交通費は、当社規定に基づき算定した金額を、1ヶ月毎に支給いたします。スタッフの皆さまからの申請は不要です。定期券等を購入された領収書等の提出をお願いすることもありません。また、勤怠システム・タイムシート等への記載も不要です。

    引用:通勤交通費は、どのように申請すればよいのですか?(パーソルテンプスタッフ)

    パーソルテンプスタッフでは、派遣社員による交通費の申請を不要としています。定期券に関する領収書の提出や勤怠システムへの記載が不要なのも気軽といえるでしょう。

    Q12.最低賃金と交通費の関係は?

    A12.最低賃金は交通費を除いて考えます

    一般的に最低賃金を考えるときは、実際に支払われる賃金から下記の金額を除きます。

    • 結婚手当といった臨時に支払われる金額
    • 1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金
    • 所定労働時間を超える労働に支払われる賃金
    • 所定労働日以外の労働に支払われる賃金
    • 皆勤手当・通勤手当・家族手当といったそのほかの手当

    交通費を除いて考えたときに、最低賃金より少ない給料であれば損をしていると考えられます。最低賃金と交通費の関係を加味したうえで仕事を選択することが大切だといえるでしょう。

    参考:知っておこう!『最低賃金』(イーアイデム/株式会社アイデム)

    Q13.交通費に関する個人情報の提出に不安がある場合は?

    A13.少しでも不安があれば担当者に確認しましょう。

    Q:社員の通勤経路の確認のため、定期的に個人毎の通勤経路を所属別に用紙に一覧で印字し、所属宛送付し、所属内で回覧してもらい、所属員全員が確認後回収しているのですが、そもそも本人の通勤経路を所属員が全員分ってしまうため、個人情報保護上問題がないか心配になっています。

    A:個人情報である以上は、予め利用目的をできる限り特定し、その利用目的の達成に必要な範囲内でのみ取り扱うことが許されます。そして、予め本人の同意を得なければ、個人情報を第三者に提供することはできません。本件は通勤経路の確認なのですから、その目的達成のためには本人と人事担当者のあいだだけで当該情報をやり取りするべきであり、本人の所属部署の人たち全員、つまり第三者に当該情報が知れ渡ってしまうというのは、明らかに法律違反です。

    引用:【個人情報保護】社員の通勤経路を回覧することは問題ないか(教えて!goo/NTTレゾナント)

    交通費の支給にあたって、個人情報の提出に不安を覚える社員もいるようです。個人情報の取り扱いには、本人の同意が必要です。

    意外なところで個人情報が他者にもれてしまう可能性もあるので、提出方法に少しでも疑問があれば担当者に確認をすることをおすすめします。

    Q14.休業手当に交通費は含まれる?

    A14.計算上では含まれています。

    使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。

    引用:労働基準法 第二十六条 休業手当(e-Govポータル)

    休業手当とは、従業員を会社の責任で休ませた場合に、義務として支払う手当です。労働基準法によると、具体的な金額は、平均賃金の6割以上と定められています。

    厚生労働省によると、平均賃金の定義は下記の通りです。

    • 原則として事由の発生した日以前3か月間に、その労働者に支払われた賃金の総額を、その期間の総日数(暦日数)で除した金額です。
    • 過去3か月間の賃金の取り方・・・締切がある場合締切日ごとに、通勤手当、皆勤手当、時間外手当など諸手当を含み税金や社会保険料などの控除をする前の賃金の総額により計算します。

    引用:平均賃金はどうやって計算する?(厚生労働省神奈川労働局)

    過去3か月間の賃金の取り方では、通勤手当を含む賃金の総額で計算するとあります。つまり、休業手当(平均賃金の6割)は交通費の金額まで含まれていると考えてよいでしょう。

    まとめ

    この記事をまとめると、派遣社員の交通費は今まで支給されにくい実情があり、不合理な待遇を巡って裁判が起きる事例も見受けられました。

    しかし、働き方改革によって同一労働同一賃金の制度が施行されるにともない、交通費についての待遇も改善の兆しが見えるようになりました。

    実際に派遣社員の求人でも、交通費支給に対応する仕事が検索で見つかりやすくなっている印象です。

    制度の導入にあたって、今後も交通費を支給する派遣会社が増えていくと予想されます。現状の支給状況に不満がある方は、派遣会社と交通費の条件を交渉してみるのもよいかもしれません。