株式会社アドバンスフロー 代表取締役
中塚 章浩
著書「面接の疑問 Q&A」・Twitter
パーソルテンプスタッフ株式会社に約6年在籍し、現在は人材紹介会社「株式会社アドバンスフロー」の代表取締役。
のべ約2,000名もの転職支援を行い、求職者が希望する仕事を得られるよう尽力。人材業界16年の経験から「転職はしっかりとした情報が得られれば得られるほど、理想の職場を見つけられる」と確信し、多くの人が情報を得られるよう、記事の監修も行う。
「簿記2級を取ったら、転職に有利になる?」
と思っていませんか。
この記事では、簿記2級の資格取得と転職について解説します。
未経験から事務職に転職した方や事務職でキャリアアップしたい方にとって、この記事が少しでもお役に立てば幸いです。
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目次
簿記2級を取得しても転職できないの?
簿記2級を取得したからと言って転職のすべてに優位性が働くわけではありません。
会計の転職をするにおいて、一般的にあると良いとされるのが簿記資格で、簿記には「日商・全商・全経」の3種類がありメインとされるのが日商簿記です。日商簿記は、商工会議所が実施する検定試験で初級~1級まで存在し、1級が最も難易度が高いので合格者も少ないです。
転職においては一般的に、簿記1級よりも2級の方が良いとされています。理由は複数ありますが。最たる理由は実務に近いからとされています。
初級や3級はどうしても基礎がメインとなるため、3級に合格しても実務に活かすことは難しいと言えるでしょう。逆に1級の内容は、連結会計や管理会計など上場企業や独立志望者に向けた内容が多くなっています。
そのため努力の末に合格した資格でも、日本の企業は99.7%が中小・零細企業であり、内容を活かせる大手(上場)企業は、3%程度とされています。また、上場企業の多くは本社を東京に置くため、地方出身の方はより縁が遠のいてしまう可能性もあるのです。
結果、日商簿記2級が実務に丁度いいレベル設定とされています。ただ簿記2級を取得したからと言って転職のすべてに優位性が働くわけではありません。
簿記2級はあくまでもスタートラインです。資格をお持ちでない方と比べると優位には立ちますが、実務経験がある方や上位資格をお持ちの方と比べると、どうしても劣勢にはなってしまいます。
そして、資格があっても実務経験のない方を企業は、上位ポジションにいきなり置くことはありません。まずは、スタッフとして実務経験を積み、段階を踏んだキャリアアップとなります。
資格を万能薬と考えず、あくまでも謙虚な気持ちで面接に挑む方が評価は良くなります。
事務未経験者が簿記2級を取得しても転職はできないの?
簿記2級を取得することで、確かに転職の可能性は広がりますが、就職には年齢の壁というものが立ちはだかります。
20代で事務職未経験であり簿記2級を取得ということであれば、地域や人柄等にもよりますが、可能性は多いにあります。しかし40~50代で簿記2級があっても、業務未経験であれば、転職が厳しいのもまた事実です。
そのため、40~50代の方はなるべく多くの求人に問い合わせてみるようにするべきですが、理想ばかり追い続けてもゴールは見えないことから、落としどころを見つけながらなるべく多く活動してみることをおすすめします。
また別手段として、派遣やパート職員としてキャリアをスタートさせるのも選択肢の一つです。
もちろん収入などはダウンしてしまいますが、その分採用ハードルも下がることがあり、かつ実務経験を積むことでキャリアアップをしていく道が開けます。
最後に、職業訓練校に通うという方法もあります。
中小・零細企業には、「経理スタッフは欲しいが、未経験者を育てる時間が無い」という企業が多く存在します。職業訓練校にて経理やパソコンのスキルを身に着けて、即戦力として転職を目指す道もあります。ただし、職業訓練校の入校には少なからず費用もかかりますので、自分と相談しながら決めましょう。
経理部管理職も簿記2級を取得していないと転職できないの?
企業によりますが、管理部門の役職者で資格を持たない方はいます。
役職者が資格をもっていないことは、時代やタイミングが多いに影響するため、あまり参考にしない方がいいでしょう。現在の役職者が、スタッフとして入社したであろう時代と現在では、世情も採用を取り巻く環境も大きく違います。
現在において、大手企業であれば人事考課が定めている企業も多いため、昇格には資格の有無を問われるケースもあります。しかしながら中小・零細企業の場合、ほとんどが勤続年数と実績であり、能力さえあれば資格はそこまで問われません。あれば尚可レベルです。
簿記2級ではなく簿記1級を取得した方が転職が有利になる?
簿記は上級で1級までありますが、中小企業に転職を考えるのであれば2級で十分です。
3級だと基本的な内容がメインとなるため、実務に活かせる内容が少ないです。しかし1級だと、主に上場企業や大企業の会計を対象としているので、中小零細企業の場合あまり役に立ちません。
取得したことで多少の評価は得られると想像されますが、「1級の知識を活かしたい」と考えて就職活動をしてしまうと、難易度の高い大手企業への転職をしなければならないことになりかねません。そのため、より実践的な2級に合格することがベストです。
簿記2級を活かして転職活動するならどうしたらいい?
簿記2級を活かすなら、ハローワークや転職エージェントなどを積極的に活用しましょう。
先述の通り、簿記2級に合格することはあくまでもスタートラインであり、資格を取ったからかなり有利になるというものではありません。
そのため自身のキャリアや簿記2級の合格を今後どのように活かすのか、ハローワークの職員や転職エージェントに相談してみると良いでしょう。相談に登録は必要ですが、手数料等はかかりません。
簿記2級を取得後に転職エージェントに相談することで、以下のようなアドバイスや情報を得られます。
- 資格を活かした志望動機の作り方
- 今後のキャリア形成についてのプラン提示
- 簿記2級を活かせる求人の紹介
2級を取得していない頃には応募出来なかった求人も応募出来る可能性があります。またその後のキャリアプランについても大きく変わる可能性もあるため、一度転職エージェントに相談してみても良いでしょう。
簿記2級取得が加点にならないのは、書類の書き方のせい?
ひとえに簿記2級に合格したとしても、履歴書や職務経歴書への記載の仕方で相手に伝わる印象は大きく変わります。
資格欄に「日商簿記2級 合格」と書いているだけではあまり印象に残りません。また、逆に自己PRで簿記2級に合格したことを目立たたせ過ぎても主張が激しく良くありません。
例えば、「勉強開始から何か月で合格したか」や「勉強方法」などを合わせて記載すると、貴方の学習習慣や人柄、基礎学力も合わせてPRすることができます。
まとめ
この記事をまとめると、
簿記2級は取得すれば、PRになる資格ですが資格に頼り切ってしまうと良くありません。
転職は、ご自身のキャリアや人柄、希望、資格全てが重要になってくるのです。
資格を活かすのであれば、
・しっかりと自分が何をしたいのか
・これまで何をやってきたのか
・何故、資格を取ったのか
などを棚卸してみましょう。
この記事があなたの転職活動に役立てば幸いです。
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