【社労士/弁護士監修】派遣社員はボーナスがもらえない?賞与がもらえる働き方に迫る!

記事監修者社会保険労務士法人clarity
宇都さくら

「派遣社員って、ボーナスもらえないの?」

と思っていませんか。

この記事では、派遣社員のボーナス事情をはじめ、派遣社員が賞与をもらえる働き方に迫っていきます。

派遣社員のボーナスについての悩みを、この記事で少しでも解消していただけると幸いです。

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そもそも賞与・ボーナスとは?

賞与・ボーナスの定義は下記の通りです。

法第二四条関係

賞与とは、定期又は臨時に、原則として労働者の勤務成績に応じて支給されるものであつて、その支給額が予め確定されてゐないものを云ふこと。定期的に支給され、且その支給額が確定してゐるものは、名称の如何にかゝはらず、これを賞与とはみなさないこと。

従つて、かゝるもので施行規則第八条に該当しないものは、法第二四条第二項の規定により毎月支払われなければならないこと。
引用:厚生労働省「労働基準法の施行に関する件」

賞与・ボーナスは、夏季手当や年末手当、期末手当、一時金などと呼ばれ、毎月の給与とは異なり必ず支給されるわけではありません。

日本の企業や役所などでは、夏(6月)や冬(12月)を含めて、年2回にわたってボーナスが支給されることが多い傾向です。

賞与・ボーナスの平均金額

厚生労働省が公表した、毎月勤労統計調査によると、夏季賞与(一人平均)の実績は下記の通りです。

令和2年夏季賞与(一人平均)
支給事業所における労働者一人平均賞与額 383,431 円(0.5%増)
支給事業所に雇用される労働者の割合 79.5 %(2.4%ポイント減)
全事業所における労働者一人平均賞与額 304,828 円(2.4%減)
引用:厚生労働省「プレスリリース|毎月勤労統計調査 令和2年夏季賞与」

賞与・ボーナスが支給される事業所では、一人当たり約40万円のボーナスがもらえており、平均金額も前年度から増加しています。

賞与・ボーナスの種類

ボーナス制度は、代表的には基本給連動型賞与、業績連動型賞与、決算賞与の3種類に分けられます。

基本給連動型賞与は、基本給に指定された月数をかけた金額が支給額として計算されます。年功序列が根付いていた日本において、昔から馴染みのある計算方法です。

業績連動型賞与は、成果主義型のボーナス制度です。組織や部門、個人の業績が支給額に反映されます。従業員のモチベーションや、経営参画意識を高める仕組みだといえるでしょう。

決算賞与は、決算月の前後に支給されるボーナスです。業績に応じて支給されるのが一般的であり、社員に利益を還元することを目的にしています。

賞与・ボーナスは必ず支払わなくてもよいか?

賞与・ボーナスは必ず支払わなくてもよいかどうかということは、当事者の任意に委ねられています。

賞与を支給するかどうか、それをいかなる額とするかについて、法律は何ら規定を置いておらず、当事者の任意に委ねられている。

出典:2019年 東京大学出版会 水町勇一郎 『詳解 労働法』590Pより引用

ただし、労働基準法施行規則では、労働契約の締結時に賞与の有無について明示をしなくてはいけないとされています。

第五条 使用者が法第十五条第一項前段の規定により労働者に対して明示しなければならない労働条件は、次に掲げるものとする。ただし、第一号の二に掲げる事項については期間の定めのある労働契約であつて当該労働契約の期間の満了後に当該労働契約を更新する場合があるものの締結の場合に限り、第四号の二から第十一号までに掲げる事項については使用者がこれらに関する定めをしない場合においては、この限りでない。

五 臨時に支払われる賃金(退職手当を除く。)、賞与及び第八条各号に掲げる賃金並びに最低賃金額に関する事項

引用:e-Govポータル「労働基準法施行規則第五条五号」

会社によって規定が異なる

賞与は会社によって規定が異なる点に特徴があります。

賞与の支給については、支給時期や支給要件が定められている場合もあれば、使用者の裁量で決められる場合もあり、会社の規定によって異なります。

また労働組合と交渉して金額を定めるケースや、会社の業績をふまえて使用者が定めるケースなどもあります。

会社の業績が著しく悪化してしまった場合、支給を延期したり、支給をしなかったりすることが定められることもあります。

一方で、賞与の具体的金額や具体的支給基準がすでに確定している規定がある場合には、従業員は支給額の決定手続を待つまでもなく、所定の支給月に賞与の具体的請求権を取得することとなるため、会社はたとえ赤字であっても原則として、ボーナスを不支給としたり、減額したりすることはできません。

この場合、会社が賞与を支給しないこととしようとする場合は、就業規則の不利益変更手続により、当該規定を変更する必要があります。

派遣社員は賞与・ボーナスをもらえるの?

派遣社員は基本的にボーナスなし

派遣社員の場合、基本的にはボーナスなどがもらえません。

なぜなら派遣社員の時給に、ボーナスなどの諸手当を含めていると考えているからです。

例えばアデコでは、ボーナス(賞与)を含めた一般労働者の平均的な賃金と比較し時給を定めています。

参考:Adecco「「同一労働同一賃金」におけるアデコの対応」

そのためアルバイトやパートと比較し派遣社員の時給が高いのは、手当などが含まれているからなのです。

賞与・ボーナスは、業績に連動するため、直接雇用の社員の場合は業績に応じて金額の増減がありますが、派遣社員の場合は時給が決められている分、変動することがありません。

寸志として支給されることもある

派遣先企業の中には、派遣社員にも寸志を渡す場合もあります。

従業員に期末賞与を支給することになり、派遣・外注社員にも併せて、寸志とことで形ばかり商品券を支給しようと考えています。

引用:日本の人事部「派遣社員に寸志を支給する際の留意点」

ただし、派遣先企業と派遣社員に雇用関係はなく、通常給与は派遣会社から派遣社員に支払われます。

そのため、派遣先企業から寸志が支給される場合は、トラブルが発生しないよう派遣会社にも相談の上受け取るようにしましょう。

ボーナスありの派遣は時給が低い場合もあり

派遣社員にボーナスが出る求人がありますが、その代わりに時給が低く設定されている可能性があります。

たとえば、時給を通常より100円低く設定したとしましょう。8時間労働の場合、1日で800円、5日間で4,000円、1ヶ月で16,000円、半年で96,000円の人件費が少なくなります。

つまり、時給を低くすることで削減した金額を派遣社員に支給すれば、ボーナスを支払ったという事実を作れます。したがって、ボーナスが支給されるからといって、単純に満足できるわけではありません。

派遣先企業の独断でボーナスを出せない

寸志の箇所でも解説しましたが、派遣社員は派遣先企業と雇用契約を結んでいないため、直接支払うことはNGです。

労働基準法では、賃金の直接払いを原則としています。

賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。

引用:e-Govポータル「労働基準法第二十四条」

そのため、仮に派遣先企業が派遣社員に直接ボーナスを支給すると「労働基準法違反」 となる恐れがあります。

派遣社員も派遣法改正で賞与がもらえる?

働き方改革関連法による改正労働者派遣法によって、派遣社員でもボーナスがもらいやすくなるという声を耳にした方もいることでしょう。

派遣社員はいつからボーナスをもらえるようになるのでしょうか。ここからは働き方改革の内容と賞与の関係に迫っていきます。

同一労働同一賃金とは

同一労働同一賃金は、正社員と非正規雇用労働者の間に存在する不合理な待遇差を禁止する制度です。

大企業に対するパートタイム・有期雇用労働法及び派遣労働者について規定する派遣労働法は2020年4月から施行されます。

中小企業に関するパートタイム・有期雇用労働法については、2021年4月からの適用です。

具体的に整備された内容は主に3つです。

  • 不合理な待遇差をなくすための規定の整備する
  • 労働者に対する待遇に関する説明義務の強化
  • 行政による事業主への助言・指導等や裁判外紛争解決手続(行政ADR)の規定の整備

引用:厚生労働省「働き方改革特設サイト 同一労働同一賃金」

派遣労働者の「同一労働同一賃金」では、派遣先に雇用される通常の労働者(無期フルタイム労働者)と派遣労働者との間で、基本給をはじめ賞与に関する待遇などに不合理な待遇差を設けることが禁止されました。

また、派遣労働者が不合理な待遇差を感じることがないよう、雇入れ時、派遣時、派遣労働者から求めがあった場合、派遣労働者の待遇に関する説明をしなければなりません。

さらに、派遣労働者の不合理な待遇差の是正のため、行政ADRの対象とされました。

ボーナスの支給方法が2種類ある

同一労働同一賃金の制度によって、令和2年4月から派遣元事業主は、派遣社員に対して2種類の方式から待遇を確保することが義務付けられます。

具体的には、派遣先均等・均衡方式と労使協定方式に分けられます。それぞれの支給方法について詳細を解説していきます。

支給方法1.派遣先均等・均衡方式

派遣先均等・均衡方式とは、派遣先の通常の労働者と派遣労働者との均等・均衡を図る待遇決定方式です。

②賞与
賞与について、派遣先の通常の労働者と派遣労働者ともに企業の業績等への労働者の貢献に応じて支給される場合には、貢献に応じて支給される部分については、派遣先の通常の労働者と同一の貢献である派遣労働者には派遣先の通常の労働者と同一の、貢献に一定の違いがある場合にはその違いに応じた支給をしなければなりません。

引用:厚生労働省「不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル~改正労働者派遣法への対応~」

同じ仕事をしているのに派遣先の正社員よりもボーナスが少なければ、誰しも勤務意欲が下がってしまうことでしょう。

その点、派遣先均等・均衡方式では、派遣先の通常の労働者が、貢献度に応じてボーナスが支給されている場合には、派遣社員についても、派遣社員の貢献度に応じてボーナスが支給されます。

したがって、派遣先の労働者と同じ貢献度であれば、同一の金額が支給されなければなりません。

支給方法2.労使協定方式

労使協定方式は、派遣元企業と過半数労働組合または過半数代表者(過半数労働組合がいない場合に限る)の間における協定で賃金を決定する方法です。

労使協定方式は、派遣労働者の長期的なキャリア形成に配慮した方式なので、段階的・体系的なキャリアアップ実現のために、労使間の話合いが重要となります。

労使協定方式において派遣社員の賃金は、派遣先企業がある地域で働く一般労働者(同種の業務に従事する同程度の能力と経験を有する)の賃金水準(以下「一般賃金」といいます。) と同等以上を確保しなければなりません。

一般賃金のうち、 基本給や賞与、手当などは、職業安定局長通達で示される内容をふまえて、派遣社員の職種、能力、経験、派遣先地域によって金額が決定されます。

したがって、これらの要素に対応するよう、一般賃金のうち、 基本給・賞与・手当は、以下の計算式で求めることとなります。

①職種別の基準値×②能力・経験調整指数×③地域指数

①職種別の基準値は、職種別の賃金を賞与込みで時給換算した金額です。

②能力・経験調整指数は、能力や経験を数値化した値であり、勤続年数が増加すると数値が上昇していきます。

③地域指数は、派遣就業場所における地域の物価を反映するための指数です。

派遣労働者の賃金を、以上の一般賃金と比較し、派遣労働者の賃金が下回る場合には、賃金の見直し、又は賃金テーブルの是正を行う必要があります。

参考:厚生労働省「不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル~改正労働者派遣法への対応~」

派遣社員でもボーナスがもらえる働き方

派遣社員のボーナス事情を知ると、ボーナスがもらえないと落ち込んでしまう方もいるかもしれません。

しかし、派遣でも特定の働き方においては、賞与がもらえる仕組みが整っていることもあります。

早速、派遣社員でもボーナスがもらえる働き方を解説していきます。

働き方1.紹介予定派遣

紹介予定派遣とは、派遣社員として勤務し正社員や契約社員などの直接雇用を目指せる働き方です。

最長6ヶ月の派遣期間が終了すると、本人と派遣先企業の双方合意によって、直接雇用に切り替わる場合があります。

派遣先企業がボーナスを支給している企業であれば、直接雇用に切り替わったあとから賞与等が支給される可能性があります。

最終的にボーナスをもらいたいのであれば、紹介予定派遣の働き方を検討してみるとよいでしょう。

働き方2.無期雇用派遣(常用型派遣)

無期雇用派遣(常用型派遣)とは、派遣会社の社員として無期雇用契約を結ぶ働き方です。

契約期間が定まっている有期雇用派遣と異なって、派遣先企業での契約が終了しても派遣会社との契約が継続され、次の派遣先企業が決まったらそこで働くという働き方になります。

そのため給与が固定されやすい点という特徴を持っており、正社員型派遣と呼ばれている場合もあります。

派遣会社がボーナスを支給する会社であれば、ボーナス支給される可能性があります。

まとめ

この記事をまとめると、派遣社員のボーナスは今までほとんど支給されませんでしたが、同一労働同一賃金の制度によって賞与がもらいやすい環境が整い始めていることがわかりました。

実際にあった派遣社員の求人では、直接雇用を前提としたボーナスの支給に対応しているケースが多く見受けられます。ボーナスがなくて派遣を辞めたいと考えている方は、紹介予定派遣の働き方も検討してみるとよいでしょう。

この記事が、あなたの就職活動のお役に立てば幸いです。

記事監修者社会保険労務士法人clarity
社会保険労務士/弁護士 宇都さくら

社会保険労務士・弁護士
2017年12月に弁護士登録。2019年10月に社会保険労務士登録。2020年8月に社会保険労務士法人Clarity入所。
就業規則の整備をはじめとした人事労務に関する企業体制構築やHRテック導入支援、人事評価システムの構築支援を主に行っています。
運営サイト:働き方改革・クラウド化推進サイト

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