【社労士監修】派遣社員は失業保険をもらえる?基礎から受給条件|注意点を紹介

記事監修者社労士オフィスなかがわ
中川 建

「派遣社員をしていて、もし失業してしまったら手当はもらえる?」

とお悩みになっていませんか?

この記事では、派遣社員の失業保険の受給条件や注意点についてについて解説します。

この記事を読んで、派遣の仕事に対する不安を和らげられることを願っています。

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失業保険とは?

失業保険とは、失業や休業、教育訓練を受けるなどの事由が生じた場合に給付できるものを指します。

ただし「失業保険」や「失業給付」と言われていますが、現行制度では名称が異なっています。

失業したときに給付される「失業給付」は、現行の雇用保険法では失業の受給に関しては「求職者給付」の名称となります。また、制度そのものについて、失業保険制度は現行では「雇用保険制度」となります。

失業保険の内容について

雇用保険制度(以下:失業保険)は、おもに以下のようなものがあります。

①求職者給付(以下:失業給付/失業手当)
何かしらの事由により退職し失業状態にある場合に給付されます
②就職促進給付
求職者給付の基本手当の受給資格がある人が、早期に再就職をした場合に支給されます
③教育訓練給付
利用対象者が教育訓練を受けた場合、受講修了すると受講料の一部が払い戻されます
④雇用継続給付
現在就業中の人が介護等で一時求職した際に給付されます。

失業保険の目的について

失業保険が用意された目的として、主に以下の目的が挙げられます。

  • 失業中の生活を支援し、国民が新しい仕事を探すことに専念できるようにすること
  • 就職活動の資金として有効活用すること
  • 専門学校や職業教育訓練を受けるための経費支援

あくまでも失業保険は職をなくしてしまった人が、新しい仕事を見つけるための訓練や生活に必要な資金を給付するものなので、基本的に就職に関わること以外での使用は認められません。

派遣社員も含めた失業保険の受給条件

失業保険のうちの「失業給付」は、離職したからといって誰もがすぐに給付対象となるわけではありません。

自分の都合による離職なのか、会社都合の離職なのかによって受給条件も異なってくるため、それぞれの状況でどのような条件が必要になるの解説します。

自己都合の場合の受給条件

自己都合退職は、労働者側が結婚や出産、妊娠に引っ越しなどが原因で、自分の都合で会社を辞める時のことを指し、「一般受給資格者」と言われます。

失業給付を受給できる条件としては、離職の日以前2年間に、雇用保険の被保険者期間が合わせて12カ月以上あることが求められます。

自己都合で退職した場合も失業保険の対象となりますが、ハローワークに離職票を提出して認めてもらわなければなりません。

失業給付の給付日数は、90日から150日となります。

ただし、自己都合による退職であっても、育児や介護、早期退職募集に応じたなどの理由がある方は「特定理由離職者」と認定される場合があります。

この特定理由離職者になりますと、以下で説明する会社都合の場合の受給条件と同じ条件が適用されます。

会社都合の場合の受給条件

会社都合の退職の場合は、リストラや経営不振、倒産など、会社の都合で退職することになってしまった時のことを指し、「特定受給資格者」と言われます。

失業給付を受給できる条件は、離職の日以前1年間に、雇用保険の被保険者期間が合わせて6カ月以上あることが必要とされます。

自己都合と同じようにハローワークに届出を出すことが前提となりますが、失業保険の支給が決定されれば、失業給付の給付日数は90日から330日と自己都合の場合よりも長くもらえることが特徴です。

派遣社員の契約満了も条件に含まれる

派遣社員が契約満了を迎えて退職する際も、失業保険を受け取る資格があります。

原則として、一般受給資格者(自己都合)としての扱いになりますが、以下の条件に当てはまれば特定理由離職者となる場合もあります。

  • 労働契約が更新される旨が明記されていたにも関わらず契約更新されなかった場合
  • 契約更新を重ねて3年以上雇用された場合

失業保険の手続きから受給までの流れ

失業保険は退職したすぐその日からもらえるのでしょうか?

実際に手続きから受給するまでどれだけの時間がかかるのか解説します。

離職票の受け取りまで1ヶ月待たなければならない

派遣会社の場合、失業保険の手続きに必要となる離職票の受け取りは1ヶ月待つように厚生労働省から指導されているため、ハローワークへの提出も1ヶ月待たなければなりません。

派遣社員の場合、契約と契約の間の期間と離職とを区別するために、雇用契約が終了したら派遣会社は次の派遣先を探す期間として1ヶ月間待つよう厚生労働省に指導されています。そのため離職票はその後の発行となります。
引用元:PASONA(パソナ)「派遣社員も失業保険が貰える!? ~受給条件や手続きの流れについて~」

退職したからといってすぐに手続きができない点にはご注意ください。

失業保険に必要な手続き

失業保険を受けるための手続きの大まかな流れは、以下のような順になります。

  1. 受給資格の決定
  2. 受給説明会
  3. 失業の認定
  4. 受給

受給者資格はハローワークによって行われる受給要件の確認後に決定されます。

その後、重要事項の説明などがある受給説明会で、雇用保険受給資格者証と失業認定申告書の2つを受け取ることになります。

後は原則として4週間に1度行われる失業の認定が行われ、失業給付を受給するという流れになります。

預金口座に手当が振り込まれるのは、失業の認定を行った日から通常5営業日となります。

各種手続き時に必要なもの

受給資格決定に必要なもの
1.雇用保険被保険者離職票
2.個人番号が確認できる書類
マイナンバーカード・住民票など
3.身分証明書
運転免許証・マイナンバーカード・保険証など
4.写真2枚
縦3cm×横2.5cm正面上半身/3ヶ月以内に撮影したもの
5.本人名義の口座番号がわかるもの
通帳・キャッシュカード
6.印鑑
失業認定に必要なもの

失業の認定を受ける際には、受給説明会で配られる失業認定申告書に求職活動の状況などの記入が終わり次第、雇用保険受給資格者証とあわせて提出することになります。

実際に失業給付がもらえるまでにかかる期間

様々な手続きが必要となる失業給付ですが、特定受給資格者の場合は7日間の待期期間と、申請から約1ヶ月後の振込になります。

また一般受給資格者の場合は、7日間の待期期間と2ヶ月の給付制限が設けられることになるため、振込に3ヶ月程度はかかることを覚えておきましょう。

派遣契約を「更新しない(派遣切り/雇い止め)」といわれた場合、すぐに失業保険の適用になるのか?

派遣会社が契約を更新しない派遣切り・雇い止めを行う場合は、正当な理由があると同時に、必ず30日前に派遣社員へ通告しなければなりません。

もしその日になって突然退職するように指示された場合は、派遣会社側が違法行為を行なっていることが考えられるので、まずは派遣会社の担当員と話し合うようにしましょう。

また派遣切りになった場合でも失業保険の適用となりますが、雇用保険被保険者期間が6ヶ月以上でなければもらえない条件に変わりはありません。

派遣社員の失業手当はいくらもらえるの?

正社員よりも給料が安くなってしまいがちな派遣社員にとって、失業手当がいくらもらえるのか不安に感じているのではないでしょうか。

失業保険の支給される金額がどの程度なのか、金額の決まり方や上限金額についてまとめました。

失業給付・失業手当の支給金額の決まり方

失業給付(失業手当)の金額は、
基本手当日額 = 賃金日額(退職前6カ月の賃金合計÷180)✕給付率(50~80%)
で計算できます。

例えば、退職前の6ヶ月間の賃金総額が900,000円で、50%の給付率がかかるとした場合は、

900,000円÷180=5,000円

5,000×0.5=2,500円

となるため、2,500円程度の給付額となります。

失業給付の上限金額

失業給付の金額が決まる「基本手当日額」には、給付できる1日あたりの上限金額が年齢区分別に定められています。具体的には以下のようになります。

30歳未満 6,845円
30歳以上45歳未満 7,605円
45歳以上60歳未満 8,370円
60歳以上65歳未満 7,186円

例えば、45歳で失業給付を受ける場合、給付上限額は8,370円となります。

いくら前職の給料が高くても、失業給付は月に254,355円以上もらうことはできません。

自分の年齢や退職前の6ヶ月間の給付でどれくらいの失業保険になるのか気になる方は、ハローワークなどに聞いておくようにしましょう。

続けて失業してしまっても失業保険は繰り返し使える?

失業している間の資金を給付してくれる失業保険ですが、失業保険を受給して再就職した後に、またすぐに退職することになった場合、失業保険は残念ながら繰り返しもらうことはできません。

なぜなら、一度退職すると雇用保険の加入がリセットされることになるため、特定理由離職者のケースで考えると、雇用保険被保険者期間が6ヶ月以上の条件を満たせなくなってしまうからです。

つまり失業保険をもう一度をもらうためには、最低でも1年以上働いて雇用保険に入ってから6ヶ月以上は働く必要があります。

2019年の失業保険と2020年の失業保険の違い

雇用保険制度(以下、失業保険)は、2020年に改正されました。

2019年までの失業保険と2020年で改正された失業保険ではどのような違いがあるのでしょうか。

それぞれの内容を比較していきます。

2019年失業保険

2019年の失業保険では一般離職者の場合、3ヶ月の給付制限に合わせて7日間の待期期間があるため、実際に失業保険をもらうためには3ヶ月以上の収入がゼロになってしまう状態でした。

しかし収入は個人によって異なるため、3ヶ月の収入がなくても大丈夫な方もいれば、生活が苦しくなってしまう方もいるため、問題視されてきていました。

2020年失業保険の改正内容

2020年10月からの失業保険では、3ヶ月の給付制限について、5年間のうち2回までの離職であれば、2ヶ月の給付制限に緩和されることになりました。

1ヶ月早まるだけでも生活への負担が減少することになるため、より失業保険の申請がしやすくなったのではないでしょうか。

今後もその時の経済に合わせて失業保険が変更されることも考えられるため、以前とは何か変更点は無いのかチェックしておくといいでしょう。

失業保険をもらいながら派遣の仕事はできる?

失業保険の受給中に新しい仕事ができるのかどうかについてお伝えいたします。

失業中にもらえる保険なのに、失業保険をもらうことは可能なのでしょうか?

仕事をしながら失業保険をもらう方法

失業保険の受給が決まったら原則では仕事をすることはできませんが、7日間の待期期間を終えた後であれば条件付きで、内職やアルバイトをすることも可能です。

仕事をしながら失業保険をもらうためには、ハローワークに申告することを条件に、雇用保険の加入が義務とならない程度の1日4時間未満、週20時間未満の仕事でなければなりません。

ただし、1日4時間未満の労働(雇用保険の被保険者とならないもの)は、基本手当は減額されることがあります。

また、1日4時間以上の労働は、当該労働日については失業の認定は行われないので、基本手当のカウントから外れます。

万が一、不正受給をしていると判断された場合は、全額返済どころか罰金を請求されることになりかねません。必ずハローワークにて申告を行いましょう。

もし新型コロナが原因で失業してしまったらどうなるの?

新型コロナの感染拡大により、経営不振による会社倒産などの不安が高まっています。

そんな状況で新型コロナの原因で失業してしまった場合、失業保険の扱いはどのようになるのか調べました。

60日延長で手当がもらえる

新型コロナの影響で会社が倒産してしまったり、経営不振によってリストラされてしまったり、雇用止めが行われた場合は最長で60日の給付期間の延長が受けられます。

あくまでも新型コロナが退職の原因とならなければならないため、通常の契約満期での退職は含まれません。

どの範囲までが新型コロナの影響と判断されるのかについては、派遣会社やハローワークなどに確認しておくとスムーズです。

失業保険受給のメリットとデメリット

失業保険の受給は、就職をするために必要な資金をサポートしてくれるため、メリットばかりのように感じますが、デメリットも少なからず存在します。

メリットとデメリットを見極めて、失業保険をうまく活用していきましょう。

失業保険のメリット

失業保険のメリットにはどんなことがあるのか、大きく2つに分けて紹介します。再就職するためにも、失業保険の長所を活かせるような使い方を目指してみてください。

失業時の経済面をサポートしてくれる

失業保険の大きなメリットは、経済面をサポートしてくれるポイントです。失業してしまうと当たり前のことですが収入がなくなってしまうため、新しい仕事を探す期間の食費や、交通費などがかなりの負担になってしまいます。

働いていた時のような額はもらえませんが、就職先を見つける間の経済面をサポートしてくれる点は魅力に感じるのではないでしょうか。

職業訓練が活用できる

失業保険を受給している間は、ハローワークなどが提供する職業訓練に参加できます。

職業訓練ではさまざまな資格取得を目指した勉強や、スキルアップを目指せるため、力をつける期間としてうまく有効活用すれば、以前よりも環境の良い職場への就職も目指せるようになるでしょう。

失業保険のデメリット

就職するための資金を得られる失業保険ですが、一歩間違えるとデメリットにもなりうる特徴を持っています。

正しく失業保険を受給するためにも、軽率な考えは避けて慎重な行動をとるようにしていきましょう。

空白期間が長すぎると就職に不利な場合もある

失業してから就職するまでの空白期間にどんなことをしてきたかは、雇用する側にとって重要な事柄になっていきます。

もちろん職業訓練や就職活動をしっかり行なっていれば問題視されることはありません。

ところが、あまりにも空白期間が長すぎてしまうと不審に思われてしまったり、仕事のない状況に慣れてしまって、自分自身が不規則な生活をしてしまったりすることにもなりかねません。

慎重に仕事を探すことも大切ですが、のんびりしすぎるのは禁物です。

雇用保険の加入期間がなくなってしまう

失業保険を受給することになると、雇用保険の加入期間がなくなってしまいます。

そのためもう一度失業保険をもらえる条件にするためには、いちから勤務日数を加算していかなければならなくなります。

失業保険を受給するのか、雇用保険の加入期間を維持するために契約更新を目指すのかしっかりと考えた上で、働いていくことをおすすめします。

ただし、再就職前の受給資格に係る受給期間内においては、再就職後に新たな受給資格の取得がなければ離職しても基本手当の受給が可能です。

失業保険を受給する際の注意点まとめ

失業保険を受給する際に注意しておきたいポイント5つを、まとめて紹介します。

長期休暇を取るための失業手当受給はNG

失業保険は何度も口を酸っぱくいうようですが、あくまでも再就職するための資金として支給される保険のひとつです。

そのため仕事に疲れたから、しばらく離職して長期的な休暇を取りたいというような使い方はできません。

しっかりと就職する意欲があるのかどうかも確認されることになるため、悪用をしたり間違った使い方をしたりしないようにしましょう。

失業手当の延長は最長3年まで

妊娠や出産、病気などによって就職活動が行えない場合は、失業手当の延長を申請できます。

ただし延長期間は最長で3年までとなります。失業手当の受け取りを3年延長できるだけであって、給付される日数が増えるわけではありません。

会社都合を自己都合にするような業者には要注意

会社都合で解雇したにも関わらず、自己都合として退職を強制するような会社は違法な雇用の仕方を行なっている可能性があります。

自己都合と会社都合では失業保険の内容も変わってくるので、不当な扱いを受けた場合は弁護士などへの相談をおすすめします。

会社相手と個人では話し合いに応じてくれないこともあるので、法的な解決策を熟知している弁護士に頼ることも考えておきましょう。

もしものために在籍中に準備しておこう

失業手当の手続きをするためにもさまざまな準備が必要になるため、業務実績や給料明細書など、失業手当を受給するために役立つ情報や必要となる書類などは事前に準備しておくようにしましょう。

必要な書類などをまとめるのに時間がかかってしまうと、それだけ給付される期間が伸びてしまうので、自己都合で退職したいのであれば、早めに準備しておきましょう。

失業保険を受給するには信用が大切

失業保険を受給するためには、ただ必要な条件を満たして書類を提出すればいいというわけではありません。

条件を満たしていても、就職する意欲がないとみなされてしまえば失業保険をもらうことはできません。

相手にもう一度再就職する可能性が高いことを信用してもらうためにも、仕事には真摯に取り組んでいきましょう。

まとめ

この記事をまとめると、

失業保険を受給するためには就職する意欲と条件を満たす必要がある
失業保険を受給するためには再就職する意欲があることを前提に、一般離職では雇用保険の加入が離職日以前の2年合わせて、12ヶ月以上が必要などの条件を満たさなければなりません。

失業したらすぐにもらえる保険ではないことを忘れずに覚えておきましょう。

会社都合・自己都合の違いを分かった上で有効活用していこう
会社都合か自己都合かによって給付期間が変化することになるため、自分はどちらの状況に当てはまるのか確認することから始めてみてください。

会社都合の特徴と自己都合の違いを活かせるように、失業保険をうまく使って再就職に役立てていきましょう。

記事監修者社労士オフィスなかがわ
代表 中川 建

社会保険労務士・ファイナンシャル・プランニング技能士2級
新潟で保険代理店で勤務後、社労士オフィスなかがわを設立。自身の過去の経験から労働者の社会保険や保険に対する支援や、障害者雇用を行う事業者支援に従事
社労士オフィスなかがわ