「就労継続支援B型とはどのようなもの?」
と悩んでいませんか。
この記事は、就労継続支援B型について紹介します。
尚、この記事の監修は就労継続支援B型事業所 NPO法人夢トライの施設長である青木諭さんにしていただいています。
またアドバイザーとして障害者就労支援のA型事業所 合同会社 悠悠代表者である土屋栄樹さんにも参加していただいています。
お2人からのひとことアドバイスもありますので、B型支援を知りたい方には大変参考になりますよ。
目次
就労継続支援B型とは?
就労継続支援B型とは、障がいや難病のある人を対象とした福祉サービスの一つです。
年齢的や体力的な理由から、一般企業などと雇用契約を結んで勤めることが困難な障がい者や難病のある人に対して軽作業などの就労訓練を行います。
障がい者総合支援法(旧障がい者自立支援法)に基づいた福祉サービスの一つで、比較的簡単にできる作業を短時間から取り組むことが可能です。
障がいの度合いや自分の体調に合わせて無理のない範囲で働くことができ、生産活動を行うことで就労する際に役立つ知識や能力を身につけられます。
事業所と雇用契約を結ばずに働くため、報酬として支払われるのは賃金ではなく、作業を行ってできた生産物に対する成果報酬としての工賃です。
就労継続支援A型B型の違いは?
一般企業などで働くことが現段階で難しい障がい者の人や難病の人に就労の場を提供するのが就労継続支援事業所です。
就労継続支援A型とB型は、「事業者と利用者の間に雇用契約を締結するかしないか」という点が違います。
つまり、A型は雇用契約を結び、雇用契約に基づく生産活動の対価として賃金をもらうのに対し、B型は雇用契約を結ばずに通所し、生産活動の報酬として工賃をもらいます。
A型は、原則として最低賃金をもらうことができ、将来的には障がい者雇用を利用して一般就労することを目的とします。
そのため、A型には職業訓練的な意味合いがあるといえるでしょう。
それに対してB型は、まだ一般就労するには至らないけれど、就労することによって知識や能力を向上させたくB型施設を利用される方が多いです。
2017年度の施設数はA型事業所が3546カ所、B型事業所が1万1225カ所で、B型のほうが圧倒的に事業所の数が多い傾向です。
これは、法改正によってA型で働ける条件が厳しくなり、短時間勤務が難しくなったことにも起因しています。
就労継続支援B型 対象者は?どんな人が通っている?
就労継続支援B型の対象となるのは、身体障がい・知的障がい・精神障がい・発達障がいや難病があり、以下のいずれかの条件に当てはまる方が通所できます。
①就労経験があり年齢的、体力的に一般企業に雇用されることが難しい方。
②50歳になっている方。
③障がい者基礎年金1級の受給者。
④上記条件に該当せず、就労移行支援事業所に就労について課題があると認定された方。
障がい者手帳を持っていない方でも、医師の診断書や定期的な通院をしていれば、自治体の判断により入所できるケースもあります。
基本的に就労継続支援B型は、特別支援学校を卒業した後にすぐ利用することはできません。
就労経験が必要ですが、就労移行支援事業所を利用した際に④で認定されると利用できるようになるなど、さまざまなケースに対応しています。
まずは市区町村の障害福祉窓口で相談することが必要になります。
就労継続支援B型の探し方や手続き方法は?
就労継続支援B型を利用したい場合は、どんな事業所があるのかを知るところから始めましょう。
住んでいる市区町村の障害福祉窓口やハローワークで相談したり、webサイトの検索をしたりすることで情報を集められます。
通院している病院で事業所を紹介してもらえる場合もあるでしょう。
気になる事業所があれば、直接電話をかけて見学の申し込みをします。
事業所によっては、面談や体験を受けることが可能です。
「実際にどんな作業をするのか」「どんな雰囲気なのか」を知ったうえで利用するかどうかを決めることがポイントです。
通いたい事業所が決まれば、市区町村の窓口で利用申し込みをしましょう。
続いて、調査員によって行われる生活状況の聞き取り調査を受けます。
市役所から特定相談支援事業者を紹介されるので、そこで「サービス等利用計画案」というサービスを受けるために必要な書類を作成してもらいましょう。
それが受理され、受給者証が発行されれば、B型施設に通所できます。
就労継続支援B型 作業内容はどんな種類のものがあるの?
就労継続支援B型の作業内容は、事業所によって異なります。
さまざまな作業内容があるため、自分に向いているものや興味のあるものに取り組むことがポイントです。
- ①パソコン入力
- パソコン入力ではローマ字入力を使った簡単な入力業務の他にWordやExcelを使った作業を行うこともあります。
- ②封入作業
- 商品などの封入や袋詰めを行う作業で初心者でも比較的すぐできる作業です。
- ③商品加工
- 段ボールの折り加工やシール貼り、ボールペンの組み立てなどの作業があります
- ④手芸品の裁縫や刺しゅう
- 自身の趣味につながる作業になります。
- ⑤ポスティング、チラシ配布
- 初心者向けの作業内容になるので取り組みやすいです。
- ⑥調理スタッフ
- お菓子やパン、料理などを作る作業なので働きながら学べるメリットがあります。
- ⑦農業
- 作物や花を周囲と協力しながら育てる作業なので、仲間との連携をすることができます。
他、工賃の時給が高い事業所の作業としては、クリーニング業務や食肉加工、食品加工等があげられます。
それを続けることができれば自信となって、次のステップを考える余裕が生まれてくると思います。
実際、ご自身に何があっているかはやってみないとわからないので積極的にいろいろ挑戦して新しい自分を見つけましょう!!
就労継続支援B型 年齢制限はあるの?
就労継続支援A型には、65歳未満という年齢制限が設けられていますが、就労継続支援B型には年齢制限はありません。
また、利用期間にも制限はないため、体調に合わせて利用できて安心です。
最初は無理のないように、通う日数を少ないところや時間を短いところから始めて、体調が良くなれば少しずつ通う日数や時間を増やしていくこともできます。
体調が悪いときは日数を減らしたり、時間を減らしたりすることもできる場合が多く、安心して通えます。
就労継続支援B型 工賃・給料の目安は?工賃規定とは?
就労継続支援B型の事業所で得られる工賃は、日給のように決められた金額がもらえる場合と、作業によりできた成果物の出来高によって支払われる場合があります。
B型の場合は雇用契約を結ばないため、法律で定められた最低賃金を下回る工賃になることが少なくありません。
厚生労働省の調査によれば、2017年の平均月額工賃は月額1万5603円、時間額は205円です。
参考資料:平成 29 年度工賃(賃金)の実績について (厚生労働省公式HP)
なお、利用者の工賃は各事業所で定められている工賃規定を基準に支払われます。
2018度から行政機関のB型事業所の評価の基準として、平均月額工賃を重視するようになりました。
平均月額工賃が高ければ、多くの日数を通所することになるので、安定して働くことができます。
作業をすればするだけ工賃として自分の収入になるのでやりがいは大きいですよね!
頑張って作業されA型並みの工賃を手に入れている利用者の方もいるみたいですよ!!
ただ平均的にはまだまだ低く向上させていくことが今後の課題です。
就労継続支援B型の利用料は?
就労継続支援は、外部の法人が運営するサービスです。
就労継続支援のサービスを受けるときは、利用料が必要です。
区分 | 世帯の収入状況 | 負担上限額 |
---|---|---|
生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 |
低所得 | 市町村民税非課税世帯(注1) | 0円 |
一般1 | 市町村民税課税世帯(所得割16万円(注2)未満) ※入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者を除きます(注3)。 |
9,300円 |
一般2 | 上記以外 | 37,200円 |
(注1)3人世帯で障害者基礎年金1級受給の場合、収入が概ね300万円以下の世帯が対象となります。
(注2)収入が概ね600万円以下の世帯が対象になります。
(注3)入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者は、市町村民税課税世帯の場合、「一般2」となります。
所得を判断する際の世帯の範囲は、次のとおりです。
種別 | 世帯の範囲 |
---|---|
18歳以上の障害者 (施設に入所する18、19歳を除く) |
障害のある方とその配偶者 |
障害児 (施設に入所する18.19歳を含む) |
保護者の属する住民基本台帳での世帯 |
就労継続支援B型の選び方
作業内容は事業所によって異なるため、「どんな作業を行うのか」「どんな工程を担当するのか」を見学に出かけた際に確認しましょう。
事業所によっては、数日間実習の体験をさせてもらえる場合があります。
自分の健康状態によっては、通勤で体力を消耗することや数時間の勤務でもつらく感じる場合も少なくありません。
通院が必要な場合もあるでしょう。
自分にとって無理のない範囲での勤務時間や日数を伝えて、どこまで対応してもらえるかを確認しておくことが大切です。
実際に働いている利用者の様子や、利用者をサポートする職員の人数なども把握しておきましょう。
忙しすぎる場合や時間を持て余してしまう場合は、ストレスになる可能性もあります。
自分のペースで働ける雰囲気の事業所かどうかは大切なポイントです。
作業を体験して、施設の職員や相談支援員、ケースワーカーに相談して、今の自分は「生活のリズムを整えること」に重点を置くのか、「作業をこなすこと」に重点を置くのか等、方針を決めていくと選びやすいです。
法改正により少なくなったとはいえ現在も悪質な事業所は存在していると思うので、実際相談員と見学しご自身で納得いくまで体験されるのがいいと思います!
中には体験などなく採用してしまう事業所もあるようですので、心身ともに無理なく自分らしく働ける職場を見つけてもらいたいです。
就労継続支援B型事業所を探す方法はどんなものがあるの?
就労継続支援B型事業所を探す場合、住んでいる市区町村の障がい福祉窓口に問い合わせをしてみましょう。
事業所の一覧を見せてもらうことができます。
通院している場合は、病院のケースワーカーに相談するのも1つの方法です。
おすすめの事業所を紹介してくれることもあります。
通院していない場合は、インターネットを利用して事業所の情報を検索することができます。
政府系の福祉・保健・医療情報サイトのWAM NET(ワムネット)では、地域ごとに事業者の情報を集めることが可能です。
就労継続支援B型の一日の流れのイメージは?
それぞれの就労継続支援B型事業所によって、スケジュールや作業時間などは異なるため、一概に言い切ることはできません。
ここでは、1つの例として10:00~15:45まで、主として事務作業や軽作業を行う場合を想定して紹介します。
・10:00~10:15 朝礼
・10:15~11:00 パソコンのデータ入力作業
・11:00~11:15 休憩
・11:15~12:00 製品のパッキング作業
・12:00~13:00 昼食休憩
・13:00~14:00 製品のパッキング作業
・14:00~14:15 休憩
・14:15~15:30 書類の仕分け
・15:30~15:45 掃除と終礼
実際にどのような流れや作業内容になるかは、通所する予定の事業所に確認しましょう。
就労継続支援B型のまとめ
就労継続支援B型は自分自身の体調や精神の状態に合わせた無理のない就労時間が組めたり、自分でできそうだと思った作業内容から始めることができます。
一般就労することは難しいけれど、少しでもスキルを付けたい方や社会とのつながりを持ちたい方にはぜひ利用していただきたい施設です。
ただ、土屋さんもおっしゃっていたように悪質な事業所も存在するので、自分の足で見学に行き、不安な点がなくなるまで質問し、全ての問題がクリアになった時点で入所を決めることが必要です。
自分自身の目で見て、確認して、納得して、焦らず入所を決めてください。