飲食店オーナーインタビュー! 「しっかり準備すれば必ず成功できる! 夢のある業界です」

飲食店オーナーインタビュー

今回は、札幌で飲食店「淳吟」を経営する松本洋平さんにお話を伺いました。

松本さんはオーナーとして独立する前にも数々の飲食店立ち上げに携わり、経験とマーケティングを重ね、満を持してご自身のお店をOPEN。

札幌市・すすきのという飲食店がひしめき合う立地のビルの一室で、5,000円と8,000円のお任せメニューのみというスタイル。たった7席の空間で、おいしい日本酒と旬の食材を使った創作料理を振る舞っています。

そんな松本さんに、飲食店を始めるにあたって大切なことをたっぷりとお話しいただきました!

淳吟 松本さん
 
日本酒と料理-淳吟-
松本 洋平さん

■プロフィール

  • 2000年、料理学校卒業、バイクで旅に出る
  • 2002年、先輩の飲食店立ち上げに携わり、料理スタッフとして働く
    水泳のインストラクターを務めながら寿司店でアルバイト
  • 2004年、友人の飲食店立ち上げをプロデュース
  • 2005年、飲食店をもう1店舗立ち上げ
  • 2006年、中央市場でアルバイト
    さまざまな事業を手掛ける社長から声がかかり、地元エリアで2店舗出店
    さらに別のエリアでも1店舗出店
  • 2009年、自身の店舗(初代淳吟)を地元エリア(札幌市郊外)で立ち上げ
  • 2012年、淳吟2店舗を近くに立ち上げ、同時に海外の店舗をプロデュース
  • 2015年、2店舗目を閉店し、1店舗目を改装
  • 2017年、移転先を探しながら、すすきのの知人の店舗を手伝い
  • 2018年9月、現在の「淳吟」をすすきのにオープン

飲食業界を目指したけきっかけは?

松本さん:とくに料理の道に進みたいと思っていたわけではないんですよ。やりたいこともなくて、「料理でもやろうかな」ぐらいの軽い気持ちで、料理の専門学校に1年間通いました。

高校のときには魚屋でアルバイトをしていましたし、家でも少し料理をしていたので、料理することが好きではあったのかもしれません。専門学校時代も居酒屋で調理師のバイトをしていました。

専門学校を卒業した後は2年ほど、バイクで日本国内を旅しました。旅から戻ってきた後、専門学校時代のバイトの先輩から「飲食店を立ち上げるから手伝ってほしい」と言われ、初めて飲食店の立ち上げにかかわりました。21歳のときでしたね。

そしてその店の料理スタッフとして働きましたが、いざこざがあって退職ました。それからは、水泳のインストラクターをしながら寿司屋でアルバイトをしていた時期もありました。

独立前、立ち上げに携わった店舗数は、6店舗!

松本さん:次の店舗立ち上げは、友人と一緒に。協力者を探していた友人に、「暇だからやるわ」という感じで(笑)声をかけ、友人が社長業、私がほぼ全般的にプロデュースする形で立ち上げました。

この店は繁盛して、翌年には2店舗目を立ち上げました。このときにはもう、お店を作るのが楽しいなと思っていました。

そのお店を辞めたあとにも、いろいろな事業を手掛ける社長からたまたま声がかかり、3つの店舗を立ち上げました。その後に独立したので、独立前に立ち上げに携わったのは全部で6店舗ということになりますね。

独立してからも、海外の飲食店の立ち上げなどに携わっています。今も、シンガポールでの店舗立ち上げの話をいただき、検討しているところです。

誰かと共同で飲食店を立ち上げるのは大変?

松本さん:3店舗目を立ち上げたあとその店を辞めたのは、一緒に立ち上げた友人と方向性が合わなかったからです。

簡単に言うと、私は客単価1万円でやりたかったのに対し、彼は客単価3,000円で多店舗展開していくようなビジネス思考でした。

当時の私は、「いいものを出すほうが、お客様は喜ぶだろう」と思っていたのです。そのためには、いい食材を仕入れる必要がありました。

バイトしていたときの師匠が市場で買いつけをする人で、そのときに教わったのが「スーパーでは100円で売っているものは、市場だと売価300円になる。けれど、市場で3倍の売値がつくものは、それだけモノが違うんだ」ということでした。

もちろん、客単価2,000円、3,000円でも素晴らしい料理はできると思いますが、私には師匠の教えが頭にあったので、客単価の方針を妥協するのは難しかったのです。

独立することに不安はありませんでしたか?

松本さん:不安はないですね。というか、不安要素は一つ一つ潰していきました。

独立して最初に「初代淳吟」を出店したのは札幌市の郊外ですが、それは自分の地元であり、その近くで飲食店の立ち上げに携わって働いていたこともあるエリア。その時点で、お客様を呼べる見込みが立ちます。

それから、そのエリアにどれくらいの住民がいるのかを知るために区役所に行って資料をもらったり、オープン予定のお店の前に座ってどんな年齢層の人がどれくらい通るのかを数えたり、徹底的にリサーチしました。

そうしたデータをもとに、「これくらいの単価でこれくらいのお客様が来て」といった具合に売上を試算していたので不安はなかった。もし不安要素が残っているというなら、それはまだ準備不足ということだと思います。

私は独立する前に市場で働いていたこともありましたが、それも自分が作ったストーリーを実現するための準備のひとつ。「飲食店やります」と掲げられた店より、「市場で働いていた経験のある人が居酒屋やります」と掲げられた店のほうが、「この店で食べる魚はおいしそう!」って絶対なりますよね!

独立にあたって大切にしたことは何ですか?

松本さん:マーケティングと、コンセプトをしっかり可視化することですね。初代淳吟を札幌郊外で立ち上げたときは、「札幌の中心部まで行かなくても『おいしいもの』『本物のもの』を食べられるお店」をコンセプトにしていました。
コンセプトは「コンセプトシート」というものを使って、目標に向かって何をしていくかを書き出して可視化する作業をしていました。

同じようにコンセプトシートを使う場合でも、何年も先のことまで書く人もいると思いますが、私の場合は1年も書きません。1年後にどうなっているか、わからないですから。あくまで「今、何をするか」ということを考えて、そのときそのときのコンセプトを常に考えています。

こういう作業は1人でやると大変ですが、ビール会社さんなどの主催で、飲食店で独立を考えている人を対象にした研修が開催されることもあるので、活用するといいですね。

今の仕事でつらいことや苦労していることは何ですか?

松本さん:独立するまでは「人」で苦労することが多かったかもしれません。本気で教えても本気の反応が返ってこなかったり、なかなか思いどおりにいかない面がありました。

1人で店をもつようになってからは、経営面では「人」で苦労することはなくなりました。反面、嬉しいときや大変なときに共有する相手がいないのは、つらいというか寂しいです(笑)。

あと、独立するまでには、肉体的にきつくて体調を崩した時期もあって、それも独立した理由のひとつです。独立してからは休みを週3回にして、体を気遣うようにしています。

一番のやりがいは何ですか?


雑誌掲載:poroco 2019年8月号「poroco編集長、今月のひと皿」 日本酒と料理 淳吟

松本さん:今は料理を考えるのも、料理をするのも楽しい。人の体の中に入るものを作るってすごいことですよね。誇りをもって働ける仕事だと思います。

やりがいという点では、ベタですが、お客様の反応が直に見えることがやりがいになっていますね。

あとはお金が貯まったとき。オーナーとしては、売上の数字はお客様の満足度だと思っています。お客様がお金を払って「ありがとう」と言ってくださる仕事なので、売上が多かったときは、みなさまに喜んでいただけたのかなと思います。

まっとうな商売をしているので、やっぱり対価が大きいと「今日は良かった」って思いますね。

飲食業界はこれからどうなっていくと思いますか?

松本さん:「客単価2,000円のお店」と「客単価1万円のお店」と、完全に二極化します。

お客様も、「本当に飲食が好きで、食べるものに使うお金に糸目をつけない人」と「食べたいけど、飲食にそこまでお金をかけられない人」に分かれていくと思うので。

やり方次第でどちらでも成功できると思いますが、中途半端なのはだめですね。客単価5,000円、6,000円のお店というのは、一番辞めたほうがいい。

自分が技術を持っていると思うなら客単価を上げる方針をとる。そこまでの技術はないと考えるならば、しっかりマーケティングをした上で、価格を落として多店舗展開するのがベストではないでしょうか。

飲食店というのは絶対になくならないので、まだまだチャンスはあると思いますよ。

最後に、飲食店オーナーを目指している方に何かアドバイスはありますか?

松本さん:飲食店をはじめようと考えたときに、ふつうは「明日店を開こう」とはならないですよね。たとえば「来年開店しよう」などと考えるでしょう。そのとき、1年間何をするかというのは、真剣に考えないといけないと思います。

市場で働けば魚がおいしく見える居酒屋になるかもしれないし、焼き肉屋をやりたいなら肉屋さんで1年働いたっていいと思うんですよ。できれば、オープンしたい地域で働いて人脈を作っておけば、オープン前に集客することも可能です。関係ない仕事をしてお金を貯めるというのはもったいないので絶対やめたほうがいいですね。

利益目標を決めるのも大切。たとえば目標金額300万円だとしたら、その300万円のためにどうするか、1日に何人のお客様に来ていただいてどれだけの客単価にして、アルバイトにどれだけ払ってとか、と具体的に突き詰めて考えないと。

あと、店舗の経営は「3年1セット」で考えること。

たとえば、お金を借りるなら3年で返せるように計画する、契約を結ぶ場合もすべて2年か3年単位にする、といった具合です。

時代の流れもあるので、今売れているものも3年後には売れなくなるかもしれない。自分自身も、3年後には違うことをはじめたくなるかもしれません。そうしたことを考え、店をいつでも辞められるようにしておきなさいというのは、いつもアドバイスしています。

飲食店で成功している方の本を読むのもオススメです。私も本はかなり読みました。本はたくさん出ていて、それぞれの成功方法が書かれています。

ビジネスで成功している人には、飲食店からスタートした人も多いですよ。飲食店でお金を貯めて次の商売に進むというように、飲食店をスタートラインにしているのです。何か商売をはじめたいという人は、まず飲食をやるのも面白いんじゃないかと思いますね。いろいろなものを磨けますから。

大切なのは、「お客様を満足させる」という気持ちです。これがないとお客様の満足につながらないですし、結果としてお店の売上にもつながらない。絶対にお客様を裏切っちゃだめです。

飲食店は、数値化してマーケティングをしっかりしていけば、絶対当たるんです。技術がなければ誰かを雇えばいいですし。うまくいかないのはマーケティング不足、準備不足。それだけです。

味がおいしい・おいしくないはもはや関係ないんですよ。おい美味しいのは当たり前ですから。

松本洋平さんのインタビューを終えて

インタビューする前は、「ごまんとある飲食店の中で成功を勝ち取るのは、どれだけ大変なのだろう」と思っていました。

しかし、松本さんのお話を伺っていると、自分も飲食店をはじめてみたいと思えるほど、成功への道筋が単純明快であるように感じられるのでした。

緻密に計算してストーリーを組み立て、不安要素がなくなるまで徹底的に調査し、準備する。それをどれだけできるかが、成功への鍵。

簡単なことではありませんが、誰でもできそうなこともいろいろとお話してくださいました。

このインタビュー記事を参考に、飲食店オーナーへの道を一歩踏み出そうと考えていただけたら幸いです。


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