株式会社アドバンスフロー 代表取締役
中塚 章浩
著書「面接の疑問 Q&A」・Twitter
パーソルテンプスタッフ株式会社に約6年在籍し、現在は人材紹介会社「株式会社アドバンスフロー」の代表取締役。
のべ約2,000名もの転職支援を行い、求職者が希望する仕事を得られるよう尽力。人材業界16年の経験から「転職はしっかりとした情報が得られれば得られるほど、理想の職場を見つけられる」と確信し、多くの人が情報を得られるよう、記事の監修も行う。
「第二新卒の転職は難しいの?」
「スムーズに第二新卒の転職を進めるにはどうしたらいの?」
と思っていませんか。
この記事では、第二新卒の転職ついて解説します。
今、転職活動中の第二新卒の方や、これから転職しようかなと悩んでいる第二新卒の方に、少しでもこの記事が役に立てば幸いです。
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目次
第二新卒での転職は、本当に難しいの?
第二新卒で転職することは、簡単ではないと言われています。
なぜならば第二新卒は、最終学歴から数年という社会人経験が浅いですが、転職活動においては新卒採用としてではなく、中途採用として扱う企業が多いからです。
新卒採用ではライバルみな未経験な状態ですが、中途採用となれば社会人経験が豊富な人材と同じ土俵で転職活動をしなければなりません。
登録する転職エージェントにもよりますが、若年層メインであっても第二新卒の割合は40%程度で、その他は社会人経験が豊富な中途採用が占めています。
しかしながら、しっかりと対策を練って臨むことで転職成功への道が開けることも少なくありません。
転職支援した第二新卒のうち、だいたい30%程度の方が転職されて、70%程度の方が現職の企業に残留したり、療養や連絡が取れなくなったりしていました。
なぜ第二新卒での転職が難しいと言われるの?
第二新卒での転職が難しいと言われる理由として、以下の2点が挙げられます。
- 継続性に不安があるため
- 社会人経験が浅く経験やスキルが乏しいため
1.継続性に不安があるため
第二新卒は、入社してから数年で1社目を退職するということになりますが、数年で退職というところに懸念を持つ企業が多いです。
企業は新入社員を採用した際、新入社員の教育にかなりの額を投資します。そのため本音では、企業は投資した分に見合った成長をして長きにわたって企業に貢献してくれる人材を採用したいと考えています。
そのため入社して数年で退職するという点に、採用しても継続して勤務してくれないのではないかという懸念をもってしまうのです。
第二新卒での転職を成功に導くためには、この継続性への不安をぬぐえるような根拠のある「退職理由」を検討する必要があります。
2.社会人経験が浅く経験やスキルが乏しいため
第二新卒は比較的経験やスキルが浅い傾向にあるため、企業の即戦力として採用しづらいという側面があります。
一般的に転職は、即戦力採用となるため多くが即戦力となる人材を選ぶ傾向にあります。
即戦力として見込めない第二新卒の場合は、企業はいちから育成するつもりで採用します。そのため社会人としての最低限のマナーやパソコンスキル、タスク管理などがしっかりと身についているかを確認してきます。
社会人として最低限のマナーやスキル、経験に関して、書類選考時の履歴書や職務経歴書、初回の面接などの序盤でしっかりとアピールすることが望ましいです。
第二新卒での転職をスムーズに進めるためには?
第二新卒での転職をスムーズに進めるために、意識したい点として以下の5点が挙げられます。
- 勢いで退職や転職活動をしない
- 退職・転職したい理由を細かく洗い出す
- 社会人経験も含めて改めて自己分析しなおす
- チャレンジできる業界や業種を現実的に考える
- .信頼できる第三者に相談する
1.勢いで退職や転職活動をしない
今の会社を勢いで退職したり、なにも考えずに転職活動を進めたりすることはおすすめしません。
なぜならば、第二新卒での転職活動では、特に「退職理由」が重要となり、勢いで退職した場合、退職理由が思慮浅く根拠の乏しいものになりかねないからです。
退職理由とは、「なぜ現職を辞めるのか?」というもので、「次に何をしたいか」ということを話すものではありません。
第二新卒での転職は、前職の在職期間が短いことが懸念に上がりやすいため、企業は「うちで採用してすぐ辞めないか?なぜ前職は短い間に辞める決断をしたのか?」という部分を最重要視してきます。
逆を言えば、この退職理由に根拠があり納得できる内容であれば、転職活動がスムーズに進むことも多くあります。そのためしっかりと考えたうえで退職、転職活動をスタートすることをおすすめします。
2.退職・転職したい理由を細かく洗い出す
退職、転職したい理由を細かく洗い出すことをおすすめします。
「退職理由」はなぜ現職を辞める(辞めたのか)についての理由であり、「志望動機やり棒理由」は次の企業でどんなことがしたいのかについて理由を話すものです。
多くの企業で、この2点は別々の質問項目として取り扱われ、面接ではそれぞれ深掘りされることも多々あります。
こうした深掘りに対処でき、それぞれの理由が相手にとって納得のいくものであることが重要となるため、どんなことでも細かくリストアップして想定質問を練習しておくことが望ましいです。
3.社会人経験も含めて改めて自己分析しなおす
社会人になってからの経験はもちろん、これまでの人生を振り返って改めて自己分析し直すことをおすすめします。
興味ややりたいことが変わることはあっても、これまでの人生で築き上げてきた性格(強み・弱み、嬉しい・悲しいと思うことなど)は突然変わりにくいものです。
そうした変わりにくい部分を理解することで、意外と自身の考え方に一貫性がある場合が多くあります。
自分の考えで一貫している軸を発見することで同じような退職を迎えるリスクは減りますし、企業にとっては、あなたの性格だからこそ採用するというメリットが生まれます。
1社目をプラスの理由で退職する人もマイナスの理由で退職する人も、「なぜ一社目では満足できず退職することにしたのか?」という部分から自己分析してみることをおすすめします。
4.チャレンジできる業界や業種を現実的に考える
今回の転職において、チャレンジできる業界や業種を現実的に考えることをおすすめします。
第二新卒は、新卒というワードはついていますが、経験が何年もある転職希望者と同等の「中途採用枠」で採用されることが多いです。
言い換えれば、ポテンシャルを見込んだ採用というより、経験値を考慮した採用が多くの場合で行われるという厳しい側面があるということです。
次に目指す業界や業種を見誤ると、転職活動がかなり難航することもあります。自己分析をすることで、現実的にチャレンジできる業界や業種を検討し、視野に入れることが転職成功への近道と言えるでしょう。
5.信頼できる第三者に相談する
信頼できる第三者に相談し、転職活動を進めることをおすすめします。
転職活動は、次のステップを決める重要な時期であると同時に、長引けば長引くほど不安に見舞われることもあるかもしれません。
また、社会人経験年数の少ない第二新卒は、周囲に転職経験者がいなかったり、転職活動の悩みや相談を打ち明けられる友人や先輩がいなかったりする場合もあります。
そうしたときには、ハローワークや転職エージェントに相談してみることも検討してみましょう。
特に転職エージェントはプロ目線で相談・自己分析から、企業選定、面接対策、内定獲得までマンツーマンでのサポートが望めるため、少しでも気になる場合は相談してみることをおすすめします。
第二新卒での転職で役に立つ経験やスキルとは?
第二新卒での転職で役に立つ経験やスキルは様々ありますが、一番は「基本的な社会人マナー」です。
案外簡単そうに感じる方も多くいますが、転職エージェントで数々の第二新卒の方と面談をしていると、意外とできていない場合が多くあります。
例えば、
- 気持ちよく挨拶ができる
- 清潔感のある服装や髪型が出来る
- 相手の会話をしっかり聞くことができ会話が被らない
- 質問内容からの回答がずれない
などです。
どんなに経験値やスキルが高い人材でも、企業としては一緒に働いていて気持ちよくない人は採用しません。人事は毎日新しい面接希望者と会っているため、こうした基本的な部分は特に目につきやすいです。
普段の仕事で板についていると思っている方も、今一度鏡の前やビデオ録画などで見直してみることをおすすめします。
第二新卒での転職に資格は取っておいた方がいい?
第二新卒での転職において、資格は必ずしも最優先事項ではありません。
しかし、次に目指す業界や業種で、必須資格がある場合や持っている人が多い資格がある場合は、資格取得に向けチャレンジしたほうがいいでしょう。
第二新卒でも、その業界や業種で経験のある人と肩を並べて転職活動するとなると、どうしても知識がある人材を採用したいというのが企業の本音だからです。
試験日程や試験難易度的に合格まで難しい場合は、「合格に向けて勉強しています」というだけでアピールになる場合があるので検討してみましょう。
第二新卒での転職でキャリアアップや年収アップは可能?
第二新卒での転職で、キャリアアップや年収アップすることは可能です。
特に、前職と似たような業界業種での転職ではキャリアアップや年収アップが叶いやすい傾向にあります。
また、自己分析をした結果と、企業が求めている人材とがマッチすればするほど採用の確率は上がるため、業界業種問わずミスマッチが少ない場合もキャリアアップや年収アップが見込みやすいです。
キャリアアップや年収アップを望みたい場合は、前向きな転職意志を持つとともに、自己分析や業界・企業研究を綿密に行うことが重要となるでしょう。
第二新卒での転職で結果的に転職できないことってあるの?
第二新卒での転職で、結果的に転職が叶わなかったというケースは珍しくありません。
実際に意欲的に転職活動を行っていたにも関わらず、転職を断念した方を多く見守ってきました。
転職がうまくいかなかった理由は、大きく分けて2点あります。
本人の希望条件が高かったり、こだわりが強かったりする場合
転職希望者本人の希望条件が高かったり、こだわりが強すぎたりする場合、転職が難しくなることがあります。
特に、第二新卒の場合は、経験やスキルが少ない傾向にあるため、あまりにも希望の条件が高かったりこだわりが強すぎたりすると、「成長の見込みがあるのかわからない」と企業の懸念事項となりやすいです。
例えば、新卒で販売職に従事している人の事例を挙げて考えてみます。
1.経験やスキルをベースとしたポジティブな退職理由の場合
店長から企業向け営業への挑戦や対面販売からオンライン販売などに挑戦など、ポジティブな退職理由の場合は、希望の転職が成功しやすい傾向にあります。
しかしながら、
- 本人の経験に見合わない高すぎる年収を希望
- 経験のない「販売職にとどまらず、デザイン(マーケティングなど)を担当したい」など業種が完全に変わる転職を希望
このような希望をもった転職だと難易度が高くなります。あえて転職しないほうが希望に届く近道である場合が多いため注意が必要です。
2.経験やスキルを一旦白紙にしたややネガティブな退職理由の場合
数値を追わない仕事への転職や対話が不要な仕事への転職など、これまでの販売職の経験を白紙にしてた転職は、より自己分析に重きを置いて転職活動をスタートさせる必要があります。
白紙にすることは悪いことではありませんが、転職理由を深掘りせずに「なにか分からないけど違うことがしたい」を突き詰めてしまうとその分野の経験やスキルがない場合は困難を極めます。
具体的に言うと、販売職からファッション系企業の本社事務職や、IT系のデザイナーやアプリ開発エンジニアなどを希望される方が多く、このような職種は専門的な知識が必要かつ経験者が採用メインになります。
多くの場合、応募は難しくなりますが、それでも応募したいと転職エージェントとの連絡を取らなくなったり、転職が決まらずに出戻りされています。
しかしながら急成長を遂げる業界業種によっては、本人の性格やポテンシャルをもって採用する場合もあります。ネガティブな退職理由もポジティブな理由に言い換えられる場合があります。いずれにしても自己分析が大切となるでしょう。
業界業種が絞れていない場合、また、面接の振り返りが追い付いていない場合
とにかく面接の数をこなしているだけで、練習や振り返りが追い付いていない場合は、転職活動が長期化する場合があります。
第二新卒の転職の場合、転職が成功される方は初回の面談から2週間~2か月程度で転職先が決まることが多いです。しかしながら練習や振り返り、分析をしっかりと行えていない方だと、3か月以上転職先が決まらないこともあります。
また、あまり自己分析せずに幅広い業界や業種に手を出しすぎている場合も、一貫性がないとみられて困難を極めます。
まずは自己分析で自分を見つめなおし、これまでの人生の分岐点での自分の決断を深掘りすること、そして、業界や業種を徐々に絞り、各面接の練習と振り返りを行うことが転職成功への近道と言えます。
第二新卒での転職は、新卒入社した業界業種よって難易度は変わるの?
第二新卒での転職では、新卒で入った業界業種によって難易度が変わることがあります。
同業界同業種への転職の場合、もともとの採用枠が多い職種では難易度は変わりませんが、採用枠の少ない職種ではより経験やスキルの豊富な人材が優先されることがあります。
第二新卒のポテンシャルが期待され、いちから育てる気持ちで採用したい企業もありますが、採用枠の少ない職種においては第二新卒以降の転職と同じような厳しい目線があることは否めません。
そういった点では、営業職→営業職への転職より、年々採用が減っている事務職→事務職への転職のほうが難易度は高いと言えるでしょう。
また、異業界異業種への転職の場合は、新卒入社した会社での経験が汎用性の高いものであればあるほど、転職の難易度は下がります。
第二新卒のポテンシャルや本人の性格、学生時代に学んできたことに期待する場合も多くあるため、素直な気持ちで学び続けることが大事です。
まとめ
この記事をまとめると、
第二新卒での転職は、比較的経験やスキルが浅いため、難易度が上がる場合が多くあります。
しかし、しっかりとこれまでの人生を自己分析し、次に目指す業界や業種を吟味することでそのハードルは下がります。信頼できる第三者に相談するなどして一人で抱え込まず、転職成功を目指しましょう。
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