【FP監修】歯科衛生士になるには?資格、年収、求人状況、やりがい、仕事内容、将来性など

記事監修者ファイナンシャルプランナー
水上 克朗

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「手に職をつけて働きたい」「結婚・出産後も安定して働ける職に就きたい」そんなことを考えて歯科衛生士に興味がある方は多いのではないでしょうか。

本気で歯科衛生士を目指そうとすると色々な疑問がわいてきますよね。

ここでは歯科衛生士に興味がある方向けにそんなさまざまな疑問にお答えしています。

歯科衛生士に少しでも興味をもった方がこの記事を読んで歯科衛生士について理解を深めていただければと思います。

歯科衛生士になるには?

歯科衛生士になるためには、歯科衛生士国家試験に合格する必要があります。

試験合格後に指定機関に申請し、歯科衛生士として名簿登録されると免許証が交付されます。そうして、歯科衛生士として働くことができるようになります。

国家試験の受験資格を得るためには、高等学校を卒業後、歯科衛生士養成機関にて3年もしくは4年勉強し、歯科衛生士に求められる知識や技術を習得しなければなりません。

詳しくは、下記のとおりです。

受験資格
(1)文部科学大臣の指定した歯科衛生士学校を卒業した者
(2)都道府県知事の指定した歯科衛生士養成所を卒業した者
(3)外国の歯科衛生士学校を卒業し、または外国において歯科衛生士免許を得た者であって、厚生労働大臣が(1)または(2)に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認めた者

出典:厚生労働省「歯科衛生士国家試験の施行 4受験資格」を元にして作成

受験資格の詳細は下記サイトにてご確認ください。

参考 歯科衛生士国家試験の施行厚生労働省公式ホームページ

歯科衛生士になるための資格取得や試験の難易度は?

歯科衛生士国家試験は、年に1回実施されます。受験会場は全国主要都市に設置され、試験内容はマークシートによる筆記試験のみ。実技の試験はありません。

日本歯科衛生士会によると、歯科衛生士国家試験の合格率は2017年度に93.3%、2018年度には96.1%と、合格率の非常に高い試験です。

参考 歯科衛生士国家試験合格者数日本歯科衛生士会公式ホームページ

歯科衛生士になるための学校・学費は?

歯科衛生士国家試験の受験資格を得るためには、「文部科学大臣指定の歯科衛生士学校」か「都道府県知事指定の歯科衛生士養成所」に該当する専門学校・大学に通う必要があります。

これら歯科衛生士養成機関は、現在ではすべて3年制以上になっています。

日中のコースだけでなく夜間部を設けている学校もあり、働きながら資格取得を目指して通学することもできます。

近年では4年制大学における教育も行われており、研究者への道も開かれてきました。

学費は、公立の場合は3年間で100万円~180万円程度、私立の学校であれば300万円以上の学費がかかります。

夜間部も、学費は大きくは変わらないようです。

歯科衛生士の給料・年収は?

厚生労働省の調査によると、2018年度の歯科医師歯科衛生士の平均的な月収は約25万円、平均年収は約350万円でした。

(参考:平成30年賃金構造基本統計調査 職種別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額)

就業する地域や歯科医院の規模、賞与の有無によっても収入は大きく異なり、医院によっては歯科衛生士の資格手当や住宅手当がつくこともあります。

ライフスタイルに合わせて、時給制のパートやアルバイトとして働くこともできます。

歯科衛生士の求人・転職状況は?

歯科診療所などをはじめとして、歯科衛生士の勤務先となる施設は数多く存在します。

後述するように需要も高く、歯科衛生士の求人は常にあります。

また、歯科衛生士の離職率は高い傾向にあり、その点も歯科衛生士の求人が多い理由です。

施設が多いことの他に歯科衛生士の離職率が高いという理由もあります。

歯科衛生士の離職率が高い理由は、前述の「人間関係」にあります。規模の小さい診療所は院長の方針次第で働きやすさが変わり、院長と合わないと離職に繋がりやすいためです。

したがって、転職を考える場合には院長に会い、経営方針やスタッフの働き方に対する考え方などをしっかりと確認する必要があります。

歯科衛生士の仕事内容は?

歯科衛生士の主な仕事内容には、大きく分けて「歯科診療補助」「歯科予防処置」「歯科保健指導」の3つがあります。

「歯科診療補助」とは、歯科医師が治療に専念できるようにサポートすることです。

診療室での患者さんの誘導や治療器具・機材の準備、患者さんの唾液の吸引、歯の型取りなどの業務があります。

「歯科予防処置」とは、虫歯や歯周病の原因菌を患者さんの口腔内から除去することです。歯石取りもこれに該当します。

「歯科保健指導」とは、患者さん自身が口腔内を清潔に保てるよう指導することです。患者さんの口の中を見て磨き残しが多い部分をチェックし、どのようにすれば磨き残しなく歯磨きできるかを指導します。

歯科衛生士の主な就職先は?

歯科衛生士の就職先で最も多いのが歯科診療所で、歯科衛生士の約9割が歯科診療所に就職しています。

また、口腔外科がある総合病院で働く歯科衛生士も多いです。

その他、地方自治体の運営する病院で公務員として勤務する歯科衛生士もいますし、地域の保健所や介護施設で働くケースもあります。

歯科衛生士としての知識と経験を活かしてメーカーなどの一般企業に就職したり、歯科衛生士学校の講師として活躍することも可能です。

歯科衛生士の1日は?

歯科衛生士の代表的な就職先である歯科診療所での1日のスケジュールをご紹介します。

9時00分 出勤
診療室の清掃および器具の洗浄を行います。
9時15分 朝礼
その日に予約が入っている患者さんのカルテの共有、引き継ぎ事項がある場合はその確認など、1日の流れをチェックをします。
9時30分 診療開始
診療補助や歯石取り、ブラッシング指導、フッ素塗布などの業務をします。
12時30分 昼休憩(90分)
14時00分 午後の診療開始
午前中同様の業務に就きます。
夕方以降は学校帰りや仕事帰りの患者さんが多く来院するため、診療所は混みがちです。
18時30分 午後の診療終了
後片付けと清掃をして退勤

歯科衛生士のやりがいとは?

歯科衛生士の代表的な業務は歯科医師のサポートで、歯科衛生士が適切な補助をすることでスムーズに診療が進みます。仕事のなかでそれを実感できたときは、大きなやりがいを感じられるでしょう。

患者さんに感謝されるのも「歯科衛生士になってよかった」と思える瞬間です。

また、保健所や保健センターで地域の人々の歯科健康相談を受けたり、歯磨き指導をしたりする仕事では、地域に貢献できているという実感をもって働けます。

歯科衛生士のつらいことは?

歯科医院は少人数のスタッフで運営していることが多く、限られた人間関係のなかで働かなくてはなりません。

そこで人間関係につまずいてしまうと、ストレスに感じることもあります。

特に院長との距離が近いだけに、合わない場合はつらいと感じやすいでしょう。

歯科衛生士に向いている人・向いていない人は?

歯科衛生士に向いている人の特徴としては、コミュニケーション能力の高い人が挙げられます。

歯科衛生士の仕事の最終的な目標は、歯科診療補助や指導を通じて、患者さんに健康になってもらうこと。

そのためには、患者さん一人一人に合わせて適切に対応できるコミュニケーション能力が求められるのです。

また、歯石取りや型取りなどもするため、手先の器用な人が向いているでしょう。

一人の患者さんが回復に向かうまでには長い時間がかかることもありますので、物事を根気強く続けられる人も向いています。

その他、歯科医師の診療方針に従ってきちんと動ける人も求められます。

対して、歯科衛生士に向いていないのは、何事も大雑把な人、適当に済ませても平気な人です。

歯科衛生士の仕事は患者さんの口腔内に手を入れて処置をするというデリケートなもの。ですから、きめ細やかで丁寧な仕事が求められます。

また、患者さんのためを思っての行動ができない人、衛生観念の低い人も向いていないといえます。

歯科衛生士になった人の志望動機は?

歯科衛生士は、一度資格を取得すれば長く働ける、いわば一生ものの資格です。

そこから「結婚や出産、育児などで職場を離れても、再び就職しやすい」という理由で目指す人が多くいます。

「自分が歯科医院で治療を受けた際、歯科衛生士の仕事ぶりを見て憧れたから」「人の役に立つ仕事がしたい」といった理由を志望動機として挙げて資格取得を目指す人もいます。

その他には、「手先が器用でコツコツ働くことが好きだから」「理系科目が得意だったから」などの理由もあるようです。

歯科衛生士の雇用形態は?

歯科衛生士の雇用形態はさまざまで、正規雇用もあれば、パート・アルバイトなどの非正規雇用もあります。

割合としては、パート・アルバイトとして勤務する人が多いです。歯科衛生士は女性の多い職種で、結婚や出産の影響を受けたり、子育て・介護をしながら働く人が多いことが影響していると考えられます。

ただし、派遣形態での就業は労働者派遣法で禁止されているため、離島などで例外的に歯科衛生士の派遣が許可されているケースを除いては、歯科衛生士が派遣として働くことはありません。

歯科衛生士の勤務時間や休日は?

歯科衛生士の勤務時間や休日は、職場と雇用形態によって異なります。

歯科診療所の診療時間は朝から夕方までが一般的で、歯科衛生士は基本的には、その診療時間に合わせて働くことになります。

勤務先が夜遅くまで診療しているケースや、休日診療をする医院の場合は、「朝から夕方」「昼過ぎから夜」「平日休み」などのシフト制で働くことも可能です。

歯科衛生士の将来性は?

日本の歯科医院の数は、コンビニよりも多いといわれるほど。

そして、歯科医院では基本的に歯科医師1人につき2人の歯科衛生士が必要です。したがって、歯科衛生士の需要はとても多いといえます。

また、健康志向の高まりや高齢化の加速に伴い、予防・健康管理業務ができる歯科衛生士の需要はますます増加が見込まれています。

さらに、歯科衛生士にはより専門的な「認定歯科衛生士」などの資格もあり、こうした資格を取得してキャリアアップを目指す道もあります。このような点を総合的に考えると、歯科衛生士は将来性がある職種といえます。

歯科衛生士の仕事で身につくスキルは?

歯科衛生士の基本業務は、患者さんの口腔内を清潔かつ健康に保つこと。

そのため、歯科衛生士は、虫歯予防に対する知識や適切な歯磨き方法、歯石取りの技術などを身につけることになります。

これらのスキルは患者さんに対する処置に役立つだけでなく、自身や家族の口腔内を健康に保つことにもつながるでしょう。

口腔内の状態は全身の健康にもつながるため、歯科の知識だけでなくさまざまな病気に関する知識も身につけられます。

歯科衛生士のキャリアアップの選択肢は?

歯科衛生士は国家資格であり、また前述のとおり、より専門的な資格があります。

知識や経験を活かして日本歯周病学会認定歯科衛生士やインプラント専門歯科衛生士など、専門性の高い資格を取得すれば、活躍の幅がより広がるでしょう。

総合病院などに勤めている場合は、現場で長く働いたのち役職につく道もあります。

さらに、現場での経験や知識を活かして歯科衛生士学校の講師となる選択肢、フリーランスとして講演や出版活動に従事する選択肢もあります。

このように、歯科衛生士という職業には幅広い可能性があります。

歯科衛生士のメリット・デメリットは?

歯科衛生士は国家資格のため、出産や育児をきっかけに一度退職したとしても再就職しやすい点がメリットです。

女性の多い職種であることから、女性の働き方について理解が進んでいる職場が多く、自分のライフスタイルに合わせて働きやすい点もメリットでしょう。

他方、歯科衛生士は、患者さんの病気に関わる仕事ですから、常に感染症のリスクに気をつけなければなりません。

失敗の許されない医療現場で働く仕事であることから、神経をすり減らしやすいという苦労もあります。こうした点が、歯科衛生士のデメリットとして挙げられます。

歯科衛生士まとめ

病院の中でも歯医者が一番苦手という方も多いと思いますが、歯科衛生士はそんな方のために、患者に寄り添いながら処置することができる職業です。

歯科衛生士は資格さえあればどこでもいつでも働けるので、特に女性にはとてもおすすめできる仕事です。

少しでも興味を持った方は資格取得のための学校選びから始めてみてください!

監修者からのコメント

超高齢社会を迎えた日本において、歯科医療の持つ役割は非常に重要なものとなるでしょう。

また、歯科医院の数は、コンビニよりも多いといわれており、歯科衛生士の需要はとても多いといえます。

なお、歯科衛生士は、一度資格を取得すれば長く働ける一生ものの資格です。一度結婚・出産・育児などで職場を離れても復職しやすい環境にあります。

時給制のパートやアルバイトとして働くこともでき、特に女性には人気の職業です。

記事監修者ファイナンシャルプランナー
水上 克朗

大手金融機関に勤務し、支店長や理事(執行役員待遇)などを歴任。FPの知識を元に自身のライフプランを見直した経験を活かし、現在、会社勤務と並行して、ライフプラン、保険等アドバイスを行っている
運営サイト「定年までに知って得するお金の話」

この記事の執筆者
「法人派遣マッチング」ならびに
転職エージェント「♯就職しよう」運営
株式会社アドバンスフロー 代表取締役 中塚 章浩

大手人材サービス会社在籍で2,000名以上の就業に携わり、
「自分に合った派遣会社や人材紹介会社を選ぶ重要性」 を肌で感じてきました。この記事の執筆を通して、派遣会社や人材紹介会社を選ぶ際のミスマッチを少しでも解消できればと思っています。
現在、派遣会社と企業をつなぐ「法人派遣マッチング」と求職者と企業をつなぐ「転職エージェントサービス」を運営しており、それらから得られる最新情報をお伝えするべく、随時、記事の編集や更新も行っています。

経歴
パーソルテンプスタッフ株式会社に在籍後、2010年に株式会社アドバンスフローを設立し、求職者向け情報サイト「♯就職しよう」を運営。現在、#就職しようの執筆とともに、転職・就職などHR領域に関するサービスを多数展開中。 ・執筆者の詳しい経歴はコチラ
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