今回はパーソナルトレーナーとして活躍中の松永健吾さんに取材し、パーソナルトレーナーになったきっかけや、独立してフリーのパーソナルトレーナーとなったころの活動内容、苦労した点や現在の集客方法、今後の活動展開などについてお話をうかがいました。
パーソナルトレーナーの仕事に興味をおもちの方は、ぜひ参考にしていただければ幸いです。
パーソナルトレーナー
松永健吾さん
■プロフィール
松永健吾(まつなが・けんご)
1986年生まれ。
北海道教育大学生涯教育課程生涯スポーツコースで生涯スポーツを専攻したのち、フィットネスクラブに勤務。
2012年にパーソナルトレーナーとして独立。
2017年にトークアプリによる「オンラインパーソナルトレーニング」を開始し軌道に乗り始める。
2018年には全国主要都市での出張トレーニングが連日満席の大盛況である。
2019年3月に「やせない理由はあなたのガマンにありました! 」を日本文芸社から出版している。
「食事に罪悪感を感じる」「どうしてもやせなくてストレス漬けの悪循環に陥っている」というダイエッターの悩みに寄り添い、一人ひとりに合ったやせやすい体づくりを提案。
受講生は国内だけでなく海外にも広がっている。
パーソナルトレーナー松永健吾さんへのインタビュー
Q.独立してフリーのパーソナルトレーナーになったきっかけは何ですか?
私はもともと、スポーツ関係の仕事に就きたいと思っていました。
それで最初はスポーツクラブでアルバイトとして働き、正社員を目指していたんです。
でも、「正社員登用はなかなかない」という噂があり、どうしようと思っていました。
そのときに、たまたまスポーツクラブで出会った介護施設の社長から「うちで何かやってみない?」と誘われて、介護施設で正社員として働きはじめました。
介護施設では、デイサービスの利用者さんにお昼の体操などの運動指導をしていたのですが、残念ながらイヤイヤ身体を動かすという方も多く、仕事をしているうちに
「『体を変えたい!』と本気で思っている人のサポートをしたい」と思うようになりました。
それがきっかけとなって介護施設の仕事を辞めてフリーのパーソナルトレーナーとして独立することを決めました。
Q.フリーとなったころはどのような活動をしていましたか?
フリーのパーソナルトレーナーを名乗って、すぐに顧客がつくわけではありません。
そこで再びスポーツクラブで働きながら、同じスポーツクラブ内でパーソナルトレーナーとしての活動もすることにしました。
スポーツクラブでの仕事はアルバイトとしての雇用契約で、バイトの時間帯は時給換算で給与が発生します。
パーソナルトレーナーの仕事は業務委託契約を結んで活動し、働く時間に対する時間給ではなく、1件ごとにバックマージンを得る形態でした。
スポーツクラブでバイトするなかで顧客に挨拶や声掛けをして顔を知ってもらい、パーソナルトレーナーとしての指名を受けられるようにしていました。
ただ、パーソナルトレーナーの仕事が増えるとバイトの時間が減ります。そうなると、新しく来る方に声掛けする時間がなくなるので、新しい顧客を獲得できなくなってしまうということもあります。
それでも、パーソナルトレーナーの仕事を増やしながら、バイトの時間を徐々に減らしていき、最終的にバイトの仕事を辞めました。
私は、今は全く別の方法で顧客を集めていますけど、こうした方法で徐々にフリーになっていく方が多いんじゃないですかね。
Q.今はどのように集客しているのですか?
今はinstagramやブログ、メルマガなどSNSを中心に使って発信しています。
といっても、私はそういうことが全くわからないし、教わりながらやったほうがいいなと思ったので、有料でコンサルティングしてもらっています。
ここ2~3年それを続けて、ようやく全国出張したりオンラインでパーソナルトレーニングをできるようになってきました。
スポーツクラブのパーソナルトレーニングは、ずっとご依頼いただいている既存の方しか受け付けていません。
Q.指導方法などの基礎知識や必要な資格は、学生時代に得たのですか?
いえ、大学で学んだ知識より、スポーツクラブや区の体育館で子供に体操を教えていた経験のほうが役に立っています。
資格は一応マニアックな資格をもっていますが、有名な資格がいくつかあるので、それは持っておくべきだと思います。
顧客に無理をさせて怪我をさせたりすることのないような指導内容を考える必要があるので、指導者として身体の基礎知識は習得しておくべきです。
そのために、指導者は資格をもっておくべきというか、資格を取れるくらいの知識が必要だと思っています。
また、知識の向上のために全国で開催されている講習会にも積極的に参加するようにしています。
Q.フリーのパーソナルトレーナーとなって一番大変だったことは何ですか?
画像引用元:松永さんのInstagramより
集客ですね。
トレーナーって結構職人気質の人が多くて、「腕を磨けば顧客は自然とついてくるだろう」と思っている人も多いんですよね。
でも、技術も集客も両方の知識がないとダメなんですよ。
実際、スポーツクラブに所属していた時代にはすごい売り上げをあげていたのに、自分でジムを開業してみると集客の知識がないから失敗するということも少なくありません。
ほかの業界からしたら「ビジネスが下手」な人が多いんです。
だから私は、集客については今もコンサルティングを受けてやっています。
Q.フリーでの活動はすべての仕事を自分自身で対応しなければならなくなりますが、苦痛に感じることはありますか?
画像引用元:松永さんのInstagramより
何もないです。
自分で商売をしているので何でも楽しいです。
スポーツクラブではただ立って1時間過ごしていたような経験もあって、苦痛なこともありました。
でも今は、何をしても自分の商売のプラスになると思えるので、苦痛に感じることがなくなりました。
独立してからは、やること全てがプラスになると捉えられるようになりました。
Q.体形維持は大変ではありませんか?
画像引用元:松永さんのInstagramより
そんなに大変じゃないです。
ムキムキにするつもりはないので。笑
トレーナーはあくまでもサポートする側なので自分の身体を見せて「売り」にしているわけではないので、必要以上に筋肉をつけるトレーニングはしていませんが、トレーニングの習慣はあります。
Q.今後どのような活動を考えていらっしゃるのですか?
パーソナルトレーナーとしてずっと今のペースで同じ仕事をしていくのではなく、育成にも力を入れていきたいと思っています。
最近では他業種からトレーニング業界に参入してきているところも多いですが、正しい身体の知識や怪我のないトレーニング方法を伝えていくことが必要だと感じています。
今はまだパーソナルトレーナーに興味のある方を集めている状況ですが、今後育成するためのセミナーを開催する予定です。
Q.最近のパーソナルトレーナーの流行についてどう思いますか?
なかには2~3か月といった短期間に劇的に痩せることを顧客に指導するトレーナーや、ボディコンテスト入賞のためにささみとブロッコリーだけを食べるような極端な食生活を強要するトレーナーもいます。
そうした指導は逆に健康被害を及ぼすことになりかねませんし、よくないと思います。
トレーニングを受ける方も、基礎知識がないままにメディアの情報にふれて振り回されてしまっている人もいるので、プロのトレーナーとしてSNSなどを通じてきちんとした情報を発信していかないといけないと思います。
松永健吾さんへのインタビューを終えて
今まで私は。「パーソナルトレーナーとは短期的なダイエットをしたいときに利用するもの」と思っていました。
しかし、松永健吾さんのパーソナルトレーニングは短期で結果を出すことが目標でありませんでした。
そして、お話をうかがっているうちに、「松永さんのトレーニングを受ければ、流行のダイエット法に振り回されず、極端な制限をすることなく、日々の5分のトレーニングを意識しながら理想の自分に近づいていく。そんなことが実現できるのではないか」と思いました。
パーソナルトレーニングを受ける私たちは、教えを受けるトレーナー次第で体形はもちろんのこと、メンタルや健康についての考え方も変わってきます。
したがって、パーソナルトレーナーの選び方が今後の自分の生き方に関わってくるといっても過言ではありません。
もしあなたがパーソナルトレーナーになりたいと思ったなら、あなた自身がどのようなパーソナルトレーナーになりたいかを考え、それをどのように伝えていきたいかを考えることが何より重要となります。
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