株式会社アドバンスフロー 代表取締役
中塚 章浩
著書「面接の疑問 Q&A」・Twitter
パーソルテンプスタッフ株式会社に約6年在籍し、現在は人材紹介会社「株式会社アドバンスフロー」の代表取締役。
のべ約2,000名もの転職支援を行い、求職者が希望する仕事を得られるよう尽力。人材業界16年の経験から「転職はしっかりとした情報が得られれば得られるほど、理想の職場を見つけられる」と確信し、多くの人が情報を得られるよう、記事の監修も行う。
歯科医師は高収入で開業医になれるチャンスも多いため人気の医師です。
そんな歯科医師を本気で目指そうとすると色々と気になることがありますよね?
歯科医師にまつわるさまざまな質問にこの記事はお答えしていきます。
歯科医師を目指している方がこの記事を読んで歯科医師について少しでも理解していただければと思います。
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目次
歯科医師になるには?
歯科医師になるには大学の歯学科もしくは歯科大学を卒業する必要があります。
卒業するまでには6年かかります。
その後、歯科医師国家試験に合格たうえで、所定の条件を満たして歯科医師資格(免許)を取得する必要があります。
歯科医師国家試験は、年1回、2日間にわたって実施されます。
筆記試験のみで、実技試験はありません。
受験資格は次のとおりです。
受験資格 (1)学校教育法(昭和22年法律第26号)に基づく大学において、歯学の正規の課程を修めて卒業した者 (2)歯科医師国家試験予備試験に合格した者で、合格した後1年以上の診療及び口腔(くう)衛生に関する実地修練を経たもの (3)外国の歯科医学校を卒業し、又は外国で歯科医師免許を得た者であって、厚生労働大臣が(1)又は(2)に掲げる者と同等以上の学力及び技能を有し、かつ、適当と認定したもの (4)沖縄の復帰に伴う厚生省関係法令の適用の特別措置等に関する政令(昭和47年政令第108号)第18条第1項の規定により歯科医師法の規定による歯科医師免許を受けたものとみなされる者であって、厚生労働大臣が認定したもの 出典:厚生労働省「歯科医師国家試験の施行について 4 受験資格」を元にして作成
歯科医師免許取得のためには、
- 歯科大学や大学の歯学部で6年間の教育を受けること
- 資格取得後、研修施設の指定を受けた病院・診療所などで1年以上の臨床研修を受けること
歯科医師になるための資格取得試験の難易度は?
歯科医師国家試験の出題内容は、人体の基本的な構造に関するものから、歯科医師として問われる専門的な分野まで及びます。
2018年に実施された第111回歯科医師国家試験より出題内容や合格基準が見直され、より高度な知識が求められるようになりました。
国家試験の全体合格率は、第110回試験が65.0%、第111回試験が64.5%、直近の第112回試験では63.7%とわずかながら減少傾向にあり、このことからも試験の難易度が上がっていると推定されます。
参考:厚生労働省「第110回歯科医師国家試験の合格発表について」
参考:厚生労働省「第111回歯科医師国家試験の合格発表について」
参考:厚生労働省「第112回歯科医師国家試験の合格発表について」
歯科医師になるための学校・学費は?
歯科医師になるためには前述のような修学が必要であり、大学の歯学部または歯科大学に進学して6年間の教育を受けるケースが基本的です。
歯科医師養成機関(大学)は国立11機関、公立1機関、私立17機関、計29機関あります。
参考:日本歯科医師会「歯科医師養成課程を持つ大学(歯科大学・歯学部)」
国公立の学費は文部科学省の標準額をもとに設定されて、2019年時点の入学料は282,000円、検定料17,000円、年間の授業料が535,800円程度です。
6年間で平均して総額約350万円前後の費用がかかります。
私立の場合は大学によって異なりますが、入学金や設備使用料などを合わせ6年間で平均して総額約3,000万円前後の費用がかかります。
このように、国公立と私立では費用に大きな差があることから国公立を希望する学生が多いため、国公立はそれだけ倍率が高い傾向にあります。
学費の支払いが困難である場合は、進学を断念する前に奨学金制度の利用を検討することができます。
医学系は特に奨学金制度が充実していますので、希望する大学のホームページで詳細を確認してください。
歯科医師の給料・年収は?
厚生労働省の調査によると、歯科医師の2018年度の平均的な月収は659,600円、平均年収は8,488,900円でした。
歯科医師の収入は、勤務医か開業医か、その規模や専門性によっても大きく異なります。
勤務医として安定収入を得ることもできますし、開業医として経営を軌道に乗せて収入を大幅に増やすこともできます。
いずれにしても、高い収入を得るためには、高い技術と専門性が求められる職業といえます。
歯科医師のやりがいとは?
歯科医師は一人ひとり専門分野をもっており、その技術も刻々と進歩しています。
自分が専門とする分野で、高い技術力をもって難しい治療をやり遂げた瞬間には、大きな達成感とやりがいを感じられます。
また、歯科医師のなかには開業医が多く、経営者としての仕事にも取り組めます。
診療所の経営を成功させることができれば、経営スキルが高まったことを実感でき、それが大きなやりがいとなるでしょう。
歯科医師の仕事内容は?
歯科医師の仕事内容は、口のなかの治療を行うことです。
虫歯や歯周病などを治療し、口腔内の健康を取り戻します。
予防のための活動に力を入れている歯科医師も多く、歯磨きの指導や、食生活のアドバイスなどを通じて、口腔内の病気を未然に防ぎます。
そのほか、歯並びの矯正やマウスピースの作成、顎関節症の治療なども歯科医師の仕事といったように、歯科医師の担当領域は幅広く、さまざまな悩みへの対応が求められます。
歯科医師の主な就職先は?
歯科医師の多くは全国各地の診療所に就職し、地域に密着した歯科治療を行っています。
大学付属病院などの病院に所属して働く歯科医師もおり、そこではより高度な治療が行われています。
医療機関以外では、教育機関や研究機関、一般企業などで働く歯科医師もいます。
こうした就職先で経験を積んでから診療所を開いて開業医になる歯科医師も多いです。
歯科医師の1日は?
≪一般的な歯科医師の一日のスケジュールをご紹介します。≫
7時30分出勤・カルテチェック |
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きちんと治療を進めるためには、事前準備が大切です。その一環として診療時間の前に、その日に診察する患者のカルテをチェックします。 |
8時00分 朝礼 |
出勤しているスタッフが集まって朝礼を行います。 情報共有や引き継ぎなどもそこで行います。 |
8時30分 午前の診療開始 |
続々と来院する予約患者に対し、スタッフ全員で協力しながら応対にあたります。 予約のない急患が来院した場合も可能な限り受け入れ、責任をもって対応します。 |
12時00分 昼礼 |
午前中の出来事や治療内容の振り返りと、午後の患者の情報を共有します。 ときには、院長がスタッフに対してアドバイスや注意をすることもあります。 |
12時15分 昼休み |
昼食をとります。 医師同士でディスカッションを行うこともあります。 |
14時00分 午後の診療開始 |
午後も多くの患者が来院します。 時間管理しながら診療にあたります。 |
18時00分 終礼 |
午後の診療の振り返りを共有し、 翌日の診療の準備を行います。 患者のいない時間を利用して、研修が行われることもあります。 |
19時00分 退勤 |
診察終了後に研修がある場合は、退勤時間が遅くなることもあります。 帰宅後はゆっくり休んで翌日の診療にそなえます。 |
歯科医師のつらいことは?
歯科医師の行う治療は、ときには痛みを伴います。
治療が長時間に及べば、患者が心身ともに疲弊してしまうことも。
そうしたことから、患者が不満を抱いてクレームを寄せるケースがあります。
理不尽な叱責を受けることもあって、つらいと感じることは多いです。
加えて、小規模な診療所の場合は歯科医師が不足し、長時間働き続けなければいけないこともあります。
激務で心身に大きな負担がかかるのはつらいことでしょう。
歯科医師に向いている人・向いていない人は?
狭い口腔内での治療を行う歯科医師の仕事には、手先の器用な人が向いています。
治療を受ける患者の感じ方は人それぞれであり、そうした人の気持ちによりそい、いたわることも大切ですので思いやりをもって接することも求められます。
開業医となる場合には、リーダーシップや協調性も必要となります。
反対に、向学心のない人には向いていないのが歯科医師の仕事です。
常に進歩する診療技術や専門知識をキャッチアップするためには常に勉強する姿勢が求められ、勉強会や研修などにも積極的に参加する必要があります。
診療所によっては子供の患者が多く、子供が嫌いという人にも向いていない仕事といえるでしょう。
朝から晩まで診療するため、体力がない人にも向いていません。
歯科医師になった人の志望動機は?
歯科医師の志望動機として多く見られるのが、「親が歯科医師であったこと」。
歯科医院を経営する親の働く姿を目にするなかで、その姿に憧れを抱いたというのが志望の理由です。
そのほか、「歯科医師のおかげで歯の悩みが解決して笑顔になれた。自分も人を笑顔にしたいと考えてこの仕事を選んだ」
「小さいころから手先が器用で、自分の特技を活かせる仕事として興味をもった」といったケースもあります。
「歯科医師にはさまざまな就職先があり、安定していると思ったから」という志望動機も少なくありません。
歯科医師の雇用形態は
歯科医師に多い開業医は、自分で診療所を開き、個人事業主として働きます。したがって、誰かに雇用されるものではありません。
診療所や病院などに雇用されて働く場合は、正社員またはその他の雇用形態で雇用契約を結ぶことになります。
その際の就業形態としては、「常勤医」「非常勤医」「スポット勤務」などがあります。
「常勤医」はフルタイムで勤務する歯科医師のことで、企業の正社員と似たような立場です。
「非常勤医」は特定の日時に就業するもので、アルバイトのようなかたちです。
「スポット勤務」は日雇いで勤務する働き方で、健康診断などで募集されることが多いです。
歯科医師の勤務時間や休日は?
歯科医師の勤務時間は、病院や診療所の診療時間に応じて決まります。
診療時間の多くは8時から19時というもので、場合によっては夜間に対応することもあります。
休日も同様で、病院・診療所の休診日として多い「水曜日」「土曜日の午後」「日曜日」などが休日となるケースが多いです。
休日診療を実施している医療機関では平日休みとなることが多いです。また、年末年始は基本的に休みとなるのが一般的です。
なお、水曜日の午後は、研究会や学会などの予定が入りやすいです。
そのため、病院・診療所が休診日であっても、休日とはならないことも少なくありません。
歯科医師の求人・転職状況は?
歯科診療所などをはじめとして、歯科医師の勤務先となる施設は数多く存在します。
そのため、求人需要も高く、転職は難しくないといえるでしょう。
しかし、特に都心は歯科医の生き残りが必死なので、そこを見極める必要はあります。
歯科医師の将来性は?
前述のとおり、歯科診療所は数も多く、将来性を不安視する声はたくさんあります。
しかし歯科医師は、「口腔外科専門医」「歯周病専門医」「小児歯科専門医」など、特定分野の専門医や認定医を目指すこともできます。
数多くの歯科医師が存在するなかで、ある分野に特化した専門医として働くことができれば、大きな強みになるでしょう。
各種専門医は、志望する学会に所属して臨床経験を積み、一定の基準を満たしたうえで試験に合格すれば資格を得ることができます。
いずれにしても、歯科医師として働き続けるには、そうした試験にかかわらず、日々進歩する医療に従事する者として生涯学習を続ける必要があります。
歯科医師の仕事で身につくスキルは?
歯科医師になるとさまざまな症例を扱うことになります。
その経験のなかで治療のスキルを高めていくことができますし、最新の治療方法などを勉強して新しい技術を身につけることも可能です。
幅広い年齢層の患者と接することによってコミュニケーション能力を高めることもできますし、診療所で勤務するのであれば院長の近くで経営を学ぶこともできます。
歯科医師のキャリアアップの選択肢は?
診療所などの施設で働いたあと、開業医になるケースが多くあります。
開業医を目指すのであれば、経営スキルの習得にも力を入れる必要があります。
そのほか、前述のように専門的な治療を提供するスペシャリストとしての専門性を高め、専門医・認定医の資格を取得しキャリアアップをすることもできます。
歯科医師のメリット・デメリットは?
歯科医師のメリットは、患者の苦痛を取り除くことにやりがいを感じられる点です。
特に口腔内の疾患は強い痛みを伴うものが多く、苦しんでいる人がたくさんいます。
そんな患者の悩みを解決すれば深く感謝され、達成感を得られるでしょう。
デメリットは、繊細な作業が要求され、心身に大きな負担がかかることです。
難しい症例に直面して苦労することも多く、場合によっては1時間以上の手術をするようなケースもあります。
歯科医師のまとめ
長く健康に暮らすためにも歯の健康は今とても重要視されています。
そんな歯の健康に携わり改善することができる歯科医はとてもやりがいのある職種ですが、資格を取得するために時間もお金もかかります。
しかし、長い将来を考えると奨学金制度などを利用してでも取得したい資格ではあります。
歯科医師になりたいと思った場合はまずは学校選びから始めることになりますが、もし行きたい附属病院があれば、その学校を選ぶことが近道です。
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